レジャー白書2013 ~60代以上が余暇の主役へ 

2013年08月05日
日本生産性本部 余暇創研は、『レジャー白書 2013~やめる理由 はじめる理由―余暇活性化への道筋~』をとりまとめた。同白書は、余暇活動調査等をもとに、わが国における余暇の実態を需給双方の視点から総合的・時系列的にとりまとめている唯一のもので、1977 年の創刊以来通算 37 号目になる。

【調査結果概要】

日本人の余暇活動の現状 ~「国内観光旅行」「遊園地」が好調~


「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」(5,670 万人)が、東京スカイツリーの開業などもあり、前年に比べて90 万人増加し、2 年連続で参加人口の1 位となった。東京ディズニーリゾートなど各地のテーマパークが人気で、「遊園地」の参加人口は前年の2,100 万人から110 万人増えて2,210 万人となった。今回初めて調査した「SNS、ツイッターなどのデジタルコミュニケーション」の参加人口は2,510 万人にのぼった。

余暇関連産業・市場の動向 ~市場規模は前年比0.3%減~

2012 年の余暇市場は64 兆7,272 億円(前年比0.3%減)となり、ほぼ横ばいで推移した。
【スポーツ部門】ランニング、登山、キャンプ用品で買い替え・買い増し需要が伸びた。
【趣味・創作部門】テレビ・ビデオは激減しているが、カメラ、CD、映画が堅調。
【娯楽部門】パチンコ・公営競技が前年より伸びたが、一昨年の水準には届かず。
【観光・行楽部門】1991 年以来の4%台の大きな伸び。遊園地、乗用車、旅行が貢献。

特別レポート ~やめる理由 はじめる理由―余暇活性化への道筋~

● 1 人当たり参加種目数の推移をみると、過去10 年間で参加種目数が減少し、余暇活動の主役となる年代層が変化していることがわかった。
● 余暇活動をやめた理由としては「年齢や健康、体力にあわない」「費用が負担できない」などが多く、余暇活動を開始・再開した理由としては若年層で「テレビ、ネット、新聞などで見て」「周囲の人がやっているから」が多くなっている。

【調査結果詳細】

1 2012 年の余暇活動
「国内観光旅行」2 年連続首位


2012 年は、全般的に参加人口が減少する種目が多い中で、国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)が前年に比べ増加し、2 年連続で首位となった。竣工前から話題を集めていた東京スカイツリーには5月に開業後、予想を上回る来場者があり、関連の商業施設とともに新名所となった。10 月には東京駅の丸の内駅舎が開業当時の姿を復元して、独特のイルミネーションイベントが話題になった。観光の新しい移動手段として、複数のLCC(格安航空会社)が国内に就航し始めた。
東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパン、ハウステンボスなど各地のテーマパークの人気が続いているが、「遊園地」は参加人口が前年の2,100 万人から110 万人増え、前年の圏外(21 位)から19 位に入った。

余暇活動の参加人口上位20位
順位
余暇活動種目
万人
1
国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)
5,670
2
ドライブ
5,200
3
外食(日常的なものは除く)
5,170
4
映画(テレビは除く)
4,090
5
音楽鑑賞(CD、レコード、テープ、FMなど)
4,000
6
カラオケ
3,660
7
動物園、植物園、水族館、博物館
3,650
8
宝くじ
3,530
9
ビデオの鑑賞(レンタル含む)
3,420
10
園芸、庭いじり
3,100
11
テレビゲーム(家庭での)
3,080
12
トランプ、オセロ、カルタ、花札など
3,070
13
学習、調べもの
2,580
14
音楽会、コンサートなど
2,570
15
ジョギング、マラソン
2,450
16
バー、スナック、パブ、飲み屋
2,420
17
帰省旅行
2,370
18
体操(器具を使わないもの)
2,270
19
遊園地
2,210
20
写真の製作  (同数)
ピクニック、ハイキング、野外散歩
2,150

2 2012 年の余暇市場動向
市場規模は0.3%減、観光・行楽は好調


2012 年の余暇市場は64 兆7,272 億円(前年比0.3%減)となり、ほぼ横ばいで推移した。東日本大震災と原発事故の影響で、ほとんどの分野が売上げを減らした前年に対し、通常稼働に戻ってプラスになった分野もあるが、一昨年比では伸びてはいない。震災以外の要因が大きく作用し、大幅に減少した分野が目立つ。その中で、観光・行楽部門の好調さが際立っているのが2012 年の大きな特徴である。

スポーツ部門(前年比0.6%増)は5 年ぶりに拡大した。スポーツ用品はランニング用品、登山・キャンプ用品が引き続き堅調で買い換え・買い増し需要が伸びた。スポーツサプリメント市場も拡大。テニスクラブ・スクールとスキー場は、前年比では増えたが、一昨年比では減少した。

趣味・創作部門(前年比10.2%減)は大きな落ち込みとなった。家電エコポイント制度の終了と、地上デジタル放送への完全移行という2 大特需の反動でテレビとビデオが激減。伸びているのはミラーレス一眼カメラや、アルバム復調で14 年ぶりに増加のCD、史上最高の邦画バブル状態にある映画、大規模ツアーが数多く打たれた音楽会(コンサート)などだった。

娯楽部門(前年比0.7%増)は、パチンコ・パチスロと公営競技は前年より伸びたが、一昨年からは落ちている。テレビゲーム・ゲームソフト、ゲームセンターは減少、カラオケボックス(ルーム)は若干増加した。外食は若干増加し、新たな価格破壊ビジネスモデルが大きな話題となった。

観光・行楽部門(前年比4.5%増)は1991 年以来の4%台の伸びとなった。乗用車は、新エコカー減税・補助金の効果で大きく増加し、遊園地・テーマパークは過去最高水準の売上げを記録。旅行業も堅調で、海外旅行は円高も追い風となり、出国者数が史上最高を記録。日系LCC の相次ぐ就航も注目を浴びた。ホテルの客室稼働率は、震災前の数字を上回る。会員制リゾートクラブも伸びた。

3 過去10 年間の参加状況
60 代以上が余暇の主役へ


1 人当たり余暇活動参加種目数の推移を見ると、過去10 年間で種目数が減少し、かつ、余暇の主役となる年代層が変化していることがわかった。図表3 は、2002 年、2006 年、2009 年、2012 年における性・年代別の1 人当たり平均参加種目数である。男性の場合、2002 年時点では最も参加種目数が多いのは10 代の15.7 種目で、最も少ないのは60 代以上の10.2 種目であり、年代全体をみると、年齢が上がるにつれて種目数が減少する右肩下がりのグラフとなっていた。2006 年でも右肩下がりだが、2009 年は傾きがなくなり、2012 年は60 代以上が40 代に次いで最も多い年代に変化した。50 代から60 代以上はすでに2006 年から傾きの変化が始まっており、ちょうど団塊シニア世代が定年退職を迎え始める時期に当たる(2009 年に調査方法を訪問留置法からインターネット調査に移行)。

女性の場合も2002 年では10 代が最も多く、60 代以上が最も少なく、年齢が上がるにつれて種目数が減少する右肩下がりだったが、2012 年は、10 代が最も多い状況は変わらないものの、年代全体をみると40 代で底を打つ(U 字型の)曲線となっている。

これによって、年代間の相対的地位が一部逆転したことがわかる。特に男性でその傾向が顕著であり、2002 年時点では最も参加種目数が少なかった60 代以上が、若年層と同等かそれ以上に参加する年代となった。


【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国15 歳~79 歳男女
有効回収数:3,334(人)
調査時期:2013 年1 月

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[日本生産性本部]
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