「高年齢者(シニア)雇用」についての調査(人事担当者対象) 

2014年08月28日
エン・ジャパンが運営する人事担当者向け中途採用支援サイト「エン 人事のミカタ」上でサイト利用者の325名を対象に「高年齢者(シニア)雇用」についてアンケート調査を実施。

【調査結果概要】

急速な高齢化の進行や、厚生年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、2013年4月に「改正 高年齢者雇用安定法」が施行されました。そこで今回は、高年齢者雇用についての各社の取り組み状況や実態を伺いました。施行された法案では、定年や雇用延長に関しても言及されていますが、実際に各社が定めている定年年齢は「60歳」という従来通りの意見が大多数を占めました。今後の高年齢者雇用についても、「法定義務の範囲を超え、自主的に対応していく」と積極的な姿勢を示した人事の方は9%に留まりました。2025年には年金の支給年齢が65歳からになりますが、高年齢者の雇用継続は、メリットがまだ見えづらく、定年延長などの制度設計に苦慮している様子がうかがえます。

高年齢者を雇用する目的は、半数以上の人事の方が「経験した知識の活用」「スキル・ノウハウの伝承」と回答。実際に貢献している内容としては、「経験を活かした戦力」(62%)という意見が最多に。次いで「スキルやノウハウの伝承」(44%)「若手人材の育成」(31%)という回答が上がり、目的通りの雇用関係を実現できているようです。一方、高年齢者の「処遇」や「モチベーションの持たせ方」について困っていると回答した企業もあり、未だ手探りな様子が見受けられます。現在、人手不足から女性や高年齢者の活用が検討されていますが、道半ばのようです。

【調査結果詳細】

1:年金支給年齢が引き上がる中、76%の企業の定年年齢は60歳。

「2013年4月に施行された“改正 高年齢者雇用安定法”をご存知ですか?」と伺ったところ、「よく知っている」(26%)「大まかには知っている」(46%)という意見が72%となり、ほとんどの方が内容を理解していることが分かりました。この法案の中では、『定年の引き上げ』『継続雇用制度の導入』『定年の廃止』のいずれかを義務化するよう求められています。そこで、「貴社の定年年齢は何歳ですか?」と質問をしたところ、「60歳」が76%と大多数を占めました。2025年には定年年齢が65歳まで引き上げられますが、現状では定年が65歳以上、または定年を設定していない会社は2割に留まりました。

2:高年齢者雇用で法定義務の範囲を超えて、積極的に対応する企業は9%。

「今後、高年齢者雇用についてどのような対応をお考えですか?」と伺うと、「法定義務の範囲を超え、自主的に対応していく」という積極的な姿勢を示した方は、9%。具体的には『個人の能力が発揮できる方には、執行役員への昇格なども含め、継続できる環境作りを行っている』『能力のある人については、65歳以降も雇用』などの取り組みをしているようです。『若手がなかなか育たない』『少子化に対応する有力な手立ての1つ』などの理由も垣間見えました。

「法定義務の範囲で対応していく」(51%)「状況をみて対応を検討する」(34%)という意見はあわせて85%と、ほとんどの企業があくまでもコンプライアンスを意識した対応に留まっているようです。具体的には『法定義務を超えて一律に基準を設定することは、経営的な視点から得策とはいえない。個別契約によって対応すればいいことだと考えている』『必ずしも全員が戦力として残ってほしい人材とは言えない可能性もあるため』『若い社員の発想力と活動力を生かしたいので、新規採用を減らしたくない』などの声があがっています。「高年齢者雇用に際し、助成金やサービスを利用したことはありますか?」という質問には、71%の方が「わからない」と回答。高年齢者雇用を促進する行政サービスの認知がまだまだ薄いこともうかがえます。

3:高年齢者を雇用する目的の第1位は「経験した知識の活用」、第2位は「スキルやノウハウの伝承」、第3位は「高年齢者雇用安定法の遵守」。

改めて「高年齢者(55歳以上)雇用の目的は何ですか?」と伺ったところ、最も多かった意見は「経験した知識の活用」(66%)。次に「スキルやノウハウの伝承」(51%)が上がりました。一方で、「高年齢者雇用安定法の遵守」(40%)というやや後ろ向きな意見も上がり、すべての企業が積極的に取り組んでいるわけではないようです。

4:高年齢者が貢献していること、第1位は「経験した知識を活かした戦力化」。困っていることは「処遇決定」「戦力化やモチベーションのもたせ方」。

「貴社の高年齢者層は、どのような面で貢献していますか?」という質問では62%と過半数の方が「経験した知識を活かした戦力化」を選択しました。企業の雇用目的にマッチした貢献をしているようです。また「スキルやノウハウの伝承」(44%)「若手人材の育成」(31%)が第2位・第3位に続き、後継者育成にも大きく貢献していることが分かりました。実際に『定年後に新入社員研修担当を行ってもうなど、若年層への教育面で役立っている』『ベテランの経験がゆえに分かることやアドバイスなど、他の中間層の先輩にもらえないことがもらえ、自身の業務に活かせる』という声が寄せられています。

反面、「高年齢者雇用について困っていることはありますか?」と伺ったところ、「なし」(36%)という意見が最も多く、次いで「継続雇用後の処遇決定」(30%)「戦力化やモチベーションのもたせ方」(27%)となりました。まだまだ前例が少ない中で、今後各社の工夫が求められそうです。


【調査概要】
調査方法:インターネットによるアンケート
調査対象:「エン 人事のミカタ」を利用している人事担当者 325名
調査期間: 2014年5月28日 ~ 2014年7月1日

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[エン・ジャパン]
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