第5回 日本の医療に関する意識調査 

2015年01月26日
日医総研は、第5回 日本の医療に関する意識調査を実施。
超高齢社会の中、安心して医療を受けられ、健康で長寿を全うできる地域社会の構築が求められている。本調査は、医療の受け手である国民の意識やニーズを把握し、基礎資料を作成することを目的としている。

【調査結果サマリー】

① 地域医療の整備

国民が考える最重要課題は長期入院のための体制整備、2 番目は救急医療
【重点課題】国民が考える医療の重点課題(複数回答)は、「長期入院できる施設の整備」(56.4%)であった。前回調査に比べて入院のための施設整備が重要課題と考える人の割合が増加した。2 番目は「救急医療の体制整備」(49.6%)で、40 代以下の国民の間では最重要課題となっていた。

医療に関する不安の地域格差が依然として見られる
【不安】国民の 66.2%は、地域や国全体で人口減少と少子高齢化が進んでいることに対して不安を感じていた。また、「希望する場所で最期を迎えられる」、「医療と介護の一貫サービス」、「地域でのリハビリ」、「地域での高水準のがん治療」について不安を持つ人が、それぞれ約 4 割を占めた。都市規模の小さい町村など地方部の住民の間では不安が高い傾向がみられた。

② かかりつけ医への期待

最初にかかりつけ医など決まった医師の受診を望む人は 7 割、かかりつけ医に高い期待
【受診のあり方】「最初にかかりつけ医など決まった医師を受診する」ことを望む人が、7 割を占め、かかりつけ医がいる人はその割合がより高い傾向がみられた。専門医への紹介(93.3%)に加え、幅広く診ること(82.0%)、予防などの健康管理(79.0%)、在宅医療(59.8%)や看取り(47.9%)など、国民は、かかりつけ医に対して多くの要望を持っている。この期待に応えるための医療側のさらなる対応が望まれる。かかりつけ医を持つ人を増やすための情報提供も重要である。

かかりつけ医のタイプは主治医が半数も、幅広くあるいは総合的に診る医師も半数
【かかりつけ医】面接調査では全体の53.7%がかかりつけ医がいると回答し、高齢者の間では8割にのぼった。身近なかかりつけ医がいる人のうち、48.8%はその医師が「病気の主治医」(のみ)であるが、「幅広く診てもらう医師」、「総合的に診てくれる医師」と認識している割合も合わせると50.4%にのぼった。

③ 医療の中身への要望


医療満足度は高く、医師患者関係の向上が示された
【満足度】受けた医療の満足度は高く、日本の医療全般に対する満足度は 69.5%で上昇傾向がみられた。患者を尊重する個別性のある医療を受けていると回答した割合も66.8%で上昇傾向がみられた。これらの状況は、国民の理解向上と医療側の努力による、全般的な医師患者関係の向上を示すものと思われる。

国民の7割は所得に関係なく同じ医療を望むが、2割は所得による格差を容認
【所得水準と医療の中身】72.0%の国民は、所得の高い低いに関わらず受けられる医療の中身が同じがよいと考えていた。一方、17.2%の人は所得によって受けられる医療の中身が異なることはやむを得ないと考えていた。所得水準の高い人ほど容認する傾向がみられ、一定の割合の国民が容認としていることがわかった。

④ 在宅医療と介護サービスの確保

在宅医療へのニーズの高まり
【かかりつけ医への期待】かかりつけ医に期待することとして、在宅医療をあげた人は第2回(2006年)では4割であったが、本調査では6割に増加している。75歳以上の高齢者については約7割を占めた。在宅医療への理解が高まっており、その整備が急務となっている。

介護される場所として自宅(居宅)を望む人の間でも外部介護サービスの要望は高い
【介護】自身に介護が必要となった場合、自宅で介護を受けることを望む人が 47.0%で約半数を占めた。それらの人のうち、介護サービスの担い手として、家族の介護が主でなく、外部の介護サービスを主として望む人が 42.5%を占めた。今後の介護サービスのニーズの急増を示している。

⑤ 国民の健康増進

国民の健康意識はかかりつけ医の有無と関連
【日常の健康管理】健康のために日常的に気を付けている人は、年齢・健康状態を調整しても、かかりつけ医がいる人ほどそれぞれの項目についてより多くの人が気を付けている傾向がみられた。医療提供者あるいは行政による国民の健康増進への働きかけが重要であることを示唆している。

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[日医総研]
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