第18回世界CEO意識調査 日本分析版 

2015年04月22日
PwC Japanは、本年1月20日に世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に合わせて発表した「第18回世界CEO意識調査」における、日本企業のCEO(162人)の回答結果を、「第18回世界CEO意識調査 日本分析版:境界なき市場への挑戦‐変化し続ける市場で競争力を強化する」として発表。本調査は、2014年9月~12月初旬に、世界77カ国の主要企業の最高経営責任者(CEO)1,322人を対象に実施したもの。

【調査結果】

成長に対する自信、成長の機会と脅威

本調査が主要項目の一つとして毎年取り上げているCEOの「成長への自信」をみると、今後1年間に自社の売上が拡大する見通しについて「自信がある」と回答した日本のCEOは79%と、前年の調査結果(84%)から5%低下しました。世界全体では84%と前年比1%の低下にとどまったのに比べ、やや低下幅が大きい結果となりました。この要因として、今回の調査が、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動や夏場の天候不順の影響などで、GDP成長率が2四半期連続して低調となった時期と重なったことが考えられます。

一方で、今後の自社の成長機会について3年前と比較した場合、「3年前よりも今の方が成長機会が増えている」と回答した日本のCEOは78%と、世界全体の61%を大きく上回る結果となり、先行きに対して明るい見通しを持っていることが判明しました。また同時に、「脅威が増えている」と回答したCEOも72%と、世界全体の59%を上回りました。特に、人材の確保やエネルギーコスト、技術進歩のスピードに関する懸念が世界全体よりも高い結果となっています。

今後自社が成長する上で重視する国・地域として、世界全体では米国を挙げたCEOが38%で1位、次いで中国が34%で2位となり、この質問を始めて以降初めて米国が中国を上回ったのに対し、日本のCEOは57%が中国を挙げており、中国が引き続き1位となりました。しかし、日本においても中国を挙げる割合は前年より5%低下しており、一方で米国が前年の39%から52%に大きく上昇するなど、堅調な経済を反映し、米国を重視する傾向が強まっています。

また、世界全体のCEOが重視する国・地域で、日本は7位(8%)となっており、前年の8位(7%)より順位が上がりました。新興国の経済成長が鈍化する中で、日本では景気が拡大し企業の業績が好調に推移していることを反映しているものと思われます。

競争に打ち勝つためのキーワード「テクノロジー」「パートナーシップ」「ダイバーシティ」への対応

グローバル競争を勝ち抜いていくためのキーワードとして、今回の調査では「テクノロジー」「パートナーシップ」「ダイバーシティ」を取り上げています。これらのテーマに関する結果は以下のとおりです。

テクノロジー
テクノロジーの面で日本のCEOは、世界全体と同様にモバイル技術(83%)、データマイニングと分析(76%)を重視していることに加え、電池と電力技術(60%)、ロボット工学(51%)などの技術についても重要視しており、ものづくりに強みを持つ国として技術へのこだわりがみられました。
一方で、デジタル技術への投資によって成果を得る上で、「CEOがデジタル技術の利用を擁護すること」を「非常に重要である」、あるいは「多少重要である」と回答したCEOの割合が世界全体では86%であるのに対し、日本は71%と低い結果になりました。さらに、「デジタル技術が競争優位を築くための明確なビジョン」が同じく86%に対し77%、「成功基準の定義も含めた、熟考されたデジタル投資計画」が同じく83%に対し67%となるなど、デジタル技術に関する重要度の認識が、日本のCEOは世界全体と比べて低い水準となっています。

パートナーシップ
自社の競争力を活用する上でのパートナーシップの面では、日本のCEOは、合弁、戦略的提携、または非公式の連携や協業を実施する相手として競争相手(38%)、ビジネスネットワーク/業界団体(34%)が上位となり、顧客やサプライヤーが上位となった世界全体の結果とは異なっています。世界全体では川上や川下の企業と戦略的な提携をする傾向があるのに対して、日本のCEOは同業他社を重視する傾向がみられました。

過去3年間に自社の業界以外への参入を行った、あるいは参入を検討した業種として、世界全体では、テクノロジー(15%)、ヘルスケア・医療・ライフサイエンス(15%)、専門および企業向けサービス(14%)が上位となったのに対し、日本のCEOの回答は、ヘルスケア・医療・ライフサイエンス(26%)、専門および企業向けサービス(15%)、エネルギー・公益事業・鉱業(15%)、農業・林業・漁業(14%)が上位となりました。高齢化社会への移行、電力事業の自由化、成長分野としての農業への期待などの日本の状況が反映されたものと考えられます。

ダイバーシティ
人材の活用や多様性といった面では、日本のCEOは世界全体、特に米国に比べて取り組みに遅れている面がみられました。ダイバーシティやインクルージョン(多様性の受容)を推進する戦略があると回答した日本のCEOの割合は53%と、世界全体の64%より低い水準にとどまっています。鍵となる優秀な人材の確保を含め、人材戦略の重要度をより一層高めていく必要があります。


【調査方法】
PwC「第18回世界CEO意識調査」では、2014年の第4四半期(9月~12月初旬)に世界77カ国において1,322のインタビューを実施しました。地域ごとの内訳は、アジア太平洋459(日本を含む)、西欧330、北米147、中南米167、中欧・東欧125、アフリカおよび中東94となっています。
なお、日本のCEOからは郵送調査により合計で162の回答を得ており(調査期間:2014年10月~11月)、本プレスリリースにおける日本の回答に関する分析にはこの162の回答を集計した結果を用いています。世界全体の集計には、GDP比換算により、この162の回答のうち売上規模上位の80社の回答を含めています。

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[PwC]
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