COP21の認知・理解に関する調査(社会問題に関心がある20代~50代の男女対象) 

2015年11月25日
生活者の意識・実態に関する調査を行うトレンド総研は、「COP21の認知度」や「地球温暖化対策の理解度」について調査を実施しました。
20代~50代の男女3,000名を対象に行った事前調査において「社会問題に関心がある」と回答した人の中から、無作為に抽出した500名を本調査の調査対象としました。

【調査結果】

◆ 社会問題の関心度が高い人でも、COP21 の認知度は僅か16%… 求められる理解の促進

はじめに、COP21(国連気候変動枠組条約第21 回締約国会議)の説明を行った上で、「今年2015 年12 月、フランスのパリにてCOP21 が開催されることを知っていますか?」とたずねました。その結果、「知っている」と回答した人は僅かに16%。社会問題に関心がある人においても、COP21 が開催されることを知らない人が8 割以上を占めるということが分かりました。

また、「知っている」と回答した人を対象に、自由回答形式で「COP21 について思うこと」を答えてもらったところ、COP21への期待を感じさせる回答が多かったのが印象的でした。代表的なところでは、「これから成人していく子どもたちの未来を守る対策を、世界共通の利益として打ち立てて欲しい。(千葉県・50 歳女性)」、「地球温暖化対策に対して、世界各国で足並みを揃える良い機会になって欲しいと思う。(愛知県・36 歳男性)」、「温室効果ガス削減の意識、目標の国際的な基準を作り、同じゴールに向けてスタートできることを願っている。(神奈川県・24 歳女性)」といった回答があげられます。

地球温暖化対策は、経済にも大きく影響します。電気料金の値上がりなど、人々の日常生活に及ぼす影響も少なくありません。生活者の理解を得なければ、十分な対策を行うことは難しいでしょう。そうした観点で考えると、今回のCOP21 の認知度は非常に低い結果でした。日本における温暖化対策を十分に推し進めるためにも、今後、COP21 をはじめとする地球温暖化対策に関する話題をより多くの人に浸透させ、より深い理解を促すことが必要です。

◆ 日本政府が目指す“電源構成のベストミックス”… 寄せられる期待と、その実態とは!?

前段の通り、本調査では、COP21 の認知度が非常に低いことが分かりました。しかし、地球温暖化対策への意欲が低いという訳ではないようです。「地球温暖化と温室効果ガスの排出量への関心」についてたずねると、「関心がある」と回答した人は72%と、7 割以上を占めます。COP21 の認知度の低さとは裏腹に、非常に高いスコアを誇ることが分かります。

それでは、地球温暖化対策を推し進めるためには、どうすれば良いのでしょうか。
「2030 年までに2013 年比26%の温室効果ガスの排出量削減」という目標を掲げる日本政府は、温室効果ガスの排出量が多い火力発電の発電量を減らし、再生可能エネルギーや原子力発電による発電に切り替えていくことを目指しています。しかし、どんな発電方法もメリットとデメリットの両方を抱えており、その実現にはいくつもの課題があるのが現状です。

クリーンなイメージが強く、温室効果ガスの排出量削減に期待が寄せられる再生可能エネルギーも、その発電コストは火力発電の数倍です。経済的な負担を軽視することはできません。価格競争力が弱い再生可能エネルギーの導入を促すために、「固定価格買い取り制度(FIT)」という仕組みが導入されていますが、その負担を支払うのは生活者たちです。2015年度の負担額は、世帯当たり年間5,688円。1カ月に500 円弱で、しかも、今後20 年間は金額が増え続けていきます。

今回の調査では、「地球温暖化対策のために自身の家庭で負担できる1カ月当たりの費用」をたずねましたが、最多の回答は「101 円~500 円」(19%)。以下、「501 円~1,000 円」(18%)、「0 円」(12%)と続きます。「自身の家庭では、1 カ月に500 円より多くの負担を行えない」という人も41%と、半数に迫ります。再生可能エネルギーの拡大に向けたハードルの高さがうかがえる結果と言えるでしょう。

一方、原子力発電については、安倍首相が「原子力を重要なベースロード電源として安全性を前提に活用していく」と説明しましたが、その安全性を問う声は依然大きいままです。しかし、安全基準や廃棄物処理に課題を抱える原子力発電も、“ゼロ・エミッション”と呼ばれるように、直接的な温室効果ガスの排出がないという長所があります。こうした各発電方法のメリット・デメリットを組み合わせることでできる最適な発電方法の組み合わせ“電源構成のベストミックス”の実現こそが、地球温暖化対策の大切な第一歩なのです。

しかし、社会問題に関心がある人たちにとっても、一つひとつの発電方法のメリット・デメリットについては十分な理解が伴っていないようです。例えば、「温室効果ガスの排出量が少ないと思う発電方法」として上位にあげられたのは、「太陽光発電」(61%)、「水力発電」(52%)、「地熱発電」(51%)。「原子力発電」については42%にとどまり、実態とはかけ離れた結果となったと言えるでしょう。

確かに、原子力発電の運用には課題もあります。しかし、安全性において適切に運用できるのであれば、温室効果ガスの抑制という点では非常に有用であることは間違いありません。こうした点が正しく理解されなければ、電源構成のベストミックスを実現することは難しいでしょう。温室効果ガスの削減目標もかないません。日本における温室効果ガスの削減を実現するためにも、地球温暖化対策に関する正しい理解を促す必要があります。そのためには、科学的根拠に基づいた、積極的、かつ、適正な情報発信が求められるのではないでしょうか。


【調査概要】
調査名:地球温暖化対策とCOP21に関する調査
調査対象:事前調査において「社会問題に関心がある」と回答した20歳~59歳の男女500名
 ※事前調査は、3,000名を対象に実施。性別・年代別に均等割付。
 ※本調査の調査対象は、事前調査で「社会問題に関心がある」と回答した人から無作為抽出。
調査期間:2015年10月30日(金)~2015年11月5日(木)
調査方法:インターネット調査
調査実施機関:楽天リサーチ株式会社

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[トレンド総研]
 マイページ TOP