痛み止め薬の使用実態と患者意識に関する全国調査(長く続く痛みを抱える20歳以上男女対象) 

2015年12月02日
ファイザーは、長く続く痛みを抱える日本全国の20歳以上の男女9,400名※1を対象に、インターネット調査を実施。
長く続く痛みはQOL(Quality of Life=生活の質)の低下や就労困難を引き起こし、社会的損失を伴うこともあります。痛みの治療として、痛み止め薬は市販薬もあり身近な存在ですが、「痛みの種類」に応じた正しい付き合い方が求められます。そこで今回は、長く続く痛みを抱える人の治療薬の服用実態について探り、その背景にある意識や考え方について検証を行いました。(調査期間:2015年11月4日~11月9日)

※1 本調査における長く続く痛みを抱える人の定義:「週2回以上の頻度で痛みが起こる」、且つ「1ヶ月以上痛みが続いている」人

【調査結果サマリー】

不適切な薬の服用実態

・長く続く痛みを抱えている人で痛み止め(飲み薬)を処方された際に、医師や薬剤師から「効能・効果について説明を受けた」と回答した人は半数にとどまる(50.6%)。

・治療のために医師が処方した痛み止め(飲み薬)を服用する際、6割を超える人が、医師が指示した服用の仕方を守れておらず(62.7%)、7割が余った薬を保存し、症状が出た時に自分の判断で服用(67.6%)。

・医師が処方した痛み止め(飲み薬)の服用を自己判断で中断したことがある人は、62.1%存在。中断の理由は、3割が「痛みが軽減したから」と回答(26.9%)。次いで「症状が改善しなかったと感じた」(20.0%)が続く。


痛み止め薬に対する理解不足・不安

・処方薬の作用について、71.4%の人が「痛み止めの薬は飲み続けると効かなくなる」と思っている。6割の人が「服用する薬の種類を増やすことを提案されたら、症状が悪化したと考える」と回答(63.4%)。

・長く続く痛みを抱えている人で、「医師に勧められたとしても痛み止め薬の量や種類を増やすことに抵抗感がある」と回答した人は4割(38.4%)。

・抵抗感の理由は、「薬の種類を少なくした方が、体への負担が少ない」(92.0%)、「たくさんの種類の薬を服用し続けると、副作用が心配」(91.3%)、「薬に依存してしまうのが怖い」(88.4%)。


痛みの種類とその治療への認識

・神経が要因となる慢性的な痛み(神経障害性疼痛)の疑いがある人は18.9%存在。

・7割の人が、神経障害性疼痛を認知している(67.9%)。

・神経障害性疼痛には、市販薬が効きにくいということを知っている人は3割にとどまる(29.0%)


薬剤師への相談経験


・日常的な服薬管理を担う調剤薬局の薬剤師へ、痛み止め薬について相談している人は4割にとどまる(38.4%)。

・薬剤師へ相談したことがない人の理由は、「医師から説明を受けたので、相談しなくてよいと思った」(24.0%)が最多、「インターネットで調べられる」(14.0%)、「必要があれば薬剤師が説明してくれる」(11.6%)が続く。


【調査結果】

不適切な薬の服用実態

■長く続く痛みを抱えた人で痛み止め(飲み薬)を処方された際に、医師や薬剤師から「効能・効果について説明を受けた」と回答した人は半数にとどまる(50.6%)。

長く続く痛みを抱える人のうち、医師が処方した痛み止め(飲み薬)を服用した経験がある4,457人を対象に、医師や薬剤師から説明を受けた内容について尋ねたところ、「用法・用量」が最多で56.7%(2,529人)、「効能・効果」は50.6%(2,254人)にとどまりました。その他、「副作用の可能性がある症状」25.0%(1,113人)、「してはいけないこと・生活上の注意」19.2%(855人)、「併用してはいけない薬」14.1%(627人)と、重要な内容でも、説明を受けたと回答した人は限られていました。

■治療のために医師が処方した痛み止め(飲み薬)を服用する際、6割を超える人が、医師が指示した服用の仕方を守れておらず(62.7%)、7割が余った薬を保存し、症状が出た時に自分の判断で服用(67.6%)。

長く続く痛みを抱える人のうち、医師が処方した痛み止め(飲み薬)を服用した経験がある4,457人を対象に、痛み止め薬を服用する際の経験について尋ねたところ、「仕事や外出、飲み忘れなどで医師が指示した服用の仕方を守れない」経験がある人は、「毎回ある」3.2%(144人)、「しばしばある」15.1%(675人)、「たまにある」44.3%(1,975人)をあわせると62.7%(2,794人)にのぼりました。また、残薬に関しては、「以前処方された薬が余っていても、定期的に通院して薬をもらう」経験がある人は60.4%(2,693人)、「余った薬を保存しておき、似たような症状が出た時に自己判断で服用する」経験がある人は67.6%(3,012人)も存在することが分かりました。その他、併用・増量に関しては、「痛みが改善しなかったら、薬局・薬店で買える痛み止め薬を併用する」人は31.7%(1,412人)、「痛みが改善しなかったら他の医療機関からも痛み止め薬を処方してもらい併用する」人は28.9%(1,290人)、「痛みが改善しなかったら、時間を空けずに何度も服用する」人は28.7%(1,281人)と、3人に1人の割合で、自己判断での不適切な服用に至っている実態が明らかになりました。

■医師が処方した痛み止め(飲み薬)の服用を自己判断で中断したことがある人は、62.1%存在。
中断の理由は、3割が「痛みが軽減したから」と回答(26.9%)。次いで「症状が改善しなかったと感じた」(20.0%)が続く。

長く続く痛みを抱える人のうち、医師が処方した痛み止め(飲み薬)を服用した経験がある4,457人を対象に、治療の途中でも自己判断で痛み止め薬の服用を中断した経験について尋ねたところ、「毎回ある」5.0%(224人)、「しばしばある」19.2%(856人)、「たまにある」37.9%(1,689人)をあわせると、経験者は62.1%(2,769人)にのぼることが明らかになりました。自己判断で痛み止め薬の服用を中断したことのある2,769人に、その理由を尋ねたところ、「その時には症状が改善して痛みが完全になくなったから」と回答した人は10.0%(277人)のみでした。一方、「その時には症状が改善して痛みが軽減したから」26.9%(744人)、「薬を服用しても症状が改善しなかったように感じたから」20.0%(553人)、「薬を服用し続けたら、効果が薄れてきたと感じたから」5.3%(146人)と、痛みが残っているにもかかわらず服用中断に至った人は52.1%(1,443人)でした。また、「できるだけ薬には頼りたくなかったから」14.6%(404人)、「副作用が心配だから」6.3%(174人)と、薬に対する不信や不安を理由とする層もみられました。

痛み止め薬に対する理解不足・不安

■処方薬の作用について、71.4%の人が「痛み止めの薬は飲み続けると効かなくなる」と思っている。6割の人が「服用する薬の種類を増やすことを提案されたら、症状が悪化したと考える」と回答(63.4%)。

長く続く痛みを抱える人のうち、医師が処方した痛み止め(飲み薬)を服用した経験がある4,457人を対象に、痛み止め薬の作用に関する考えを尋ねたところ、「痛み止めの薬は飲み続けると効かなくなる」と考える人は、「はい」21.4%(952人)、「どちらかといえばはい」50.0%(2,229人)をあわせて71.4%(3,181人)にのぼりました。また、「医師から服用する薬の量を増やすことを提案されたら、薬が効きにくくなったのだと考える」と回答した人は、「はい」14.4%(643人)、「どちらかといえばはい」47.6%(2,120人)をあわせて62.0%(2,763人)となり、「医師から服用する薬の種類を増やすことを提案されたら、症状が悪化したのだと考える」と回答した人は63.4%(2,824人)でした。一方、「貼り薬は副作用がないので安心だ」と考える人は54.6%(2,435人)を占めました。このように、痛み止め薬の種類やその作用について、思い込みや誤った解釈をしている人が少なくないことが示されました。

■長く続く痛みを抱えている人で、「医師に勧められたとしても痛み止め薬の量や種類を増やすことに抵抗感がある」と回答した人は4割(38.4%)。

長く続く痛みを抱える人のうち、医師が処方した痛み止め(飲み薬)を服用した経験がある4,457人を対象に、医師に薬の量や種類を増やすことを勧められる場合の抵抗感について尋ねたところ、38.4%(1,712人)が「抵抗がある」と回答しました。

■抵抗感の理由は、「薬の種類を少なくした方が、体への負担が少ない」(92.0%)、「たくさんの種類の薬を服用し続けると、副作用が心配」(91.3%)、「薬に依存してしまうのが怖い」(88.4%)。

処方薬の量や種類を増やすことに抵抗感を持つ1,712人を対象に、その理由を尋ねたところ、「服用する薬の種類を少なくした方が、身体への負担が少ないから」と回答した人は、「はい」46.7%(800人)、「どちらかといえばはい」45.3%(775人)をあわせて92.0%(1,575人)にのぼり、「服用する薬の量を少なくした方が、身体への負担が少ないから」と回答した人も90.9%(1,557人)となりました。また、「たくさんの種類の薬を服用し続けると、副作用が起きるのが心配だから」91.3%(1,563人)、「たくさんの量の薬を服用し続けると、副作用が起きるのが心配だから」90.5%(1,549人)と副作用を理由とする人や、「薬に依存してしまうのが怖いから」88.4%(1,514人)と依存性に対して不安を抱いている人も多いことが分かりました。

痛みの種類とその治療への認識

■神経が要因となる慢性的な痛み(神経障害性疼痛)の疑いがある人は18.9%存在。

長く続く痛みを抱える人9,400人を対象に、「神経障害性疼痛のスクリーニングツール(簡易調査票)※2」に沿ってスクリーニングを実施したところ、神経障害性疼痛の疑いがある人は18.9%(1,776人)と、5人に1人の割合にのぼることが分かりました。
※2 (神経障害性疼痛診療ガイドブック小川節郎 編集1 南山堂:2010,付録)より

■7割の人が、神経障害性疼痛を認知している(67.9%)。

長く続く痛みを抱える人9,400人を対象に、知っている痛みの種類について尋ねたところ、神経障害性疼痛を認知している人は、「よく知っている」20.2%(1,898人)、「聞いたことがある」47.8%(4,489人)をあわせて、67.9%(6,387人)でした。

■神経障害性疼痛には、市販薬が効きにくいということを知っている人は3割にとどまる(29.0%)。

長く続く痛みを抱える人9,400人を対象に、痛みの治療方法について尋ねたところ、「『神経障害性の痛み』には、薬局・薬店で買える薬が効かないこと」について、「よく知っている」8.5%(803人)、「聞いたことがある」20.5%(1,924人)をあわせても、29.0%(2,727人)にとどまることが分かりました。さらに、「『痛みの種類』によっては、複数種類の薬(炎症性の痛み止めや、神経性の痛み止め)を一緒に用いると痛みを抑えやすくなること」を認知している人は38.1%(3,578人)、「『痛み止め』の種類によっては、薬の量を増やすことで痛みを抑えやすくなること」を認知している人は46.4%(4,358人)という結果となり、薬の種類や量は痛みの種類に応じて変わることが未だ十分に理解されていない実態が明らかになりました。

■「痛みがあっても普通に日常生活を送ることができればよい」という考え方(58.2%)よりも、「痛みは完全に取り除きたい」という考え方を持つ人(89.2%)が多い。

長く続く痛みを抱える人9,400人を対象に、痛みの捉え方について尋ねたところ、「痛みがあっても、普通に日常生活が送ることができればよい」との考えは、「とてもそう思う」7.0%(662人)、「そう思う」51.1%(4,808人)をあわせて58.2%(5,470人)にみられました。一方、「痛みは完全に取り除きたい」との考えは、「とてもそう思う」45.8%(4,309人)、「そう思う」43.4%(4,075人)をあわせて89.2%(8,384人)にのぼりました。また、「痛みによって日常に支障がある事を理解してもらいたい」との考えは、78.1%(7,345人)にみられた反面、「痛みのつらさは、他人からは理解しがたい」との考えは87.7%(8,241人)にのぼり、他者からは見えない慢性的な痛みを抱える人の内面の葛藤がうかがえる結果となりました。

薬剤師への相談経験

日常的な服薬管理を担う調剤薬局の薬剤師へ、痛み止め薬について相談している人は4割にとどまる(38.4%)。

長く続く痛みを抱える人9,400人を対象に、調剤薬局の薬剤師への痛み止め薬に関する相談経験について尋ねたところ、「いつも相談している」3.2%(301人)、「しばしば相談している」8.1%(759人)、「たまに相談している」27.1%(2,552人)をあわせても38.4%(3,612人)にとどまりました。長く続く痛みを抱えていても、痛み止め薬について薬剤師への相談経験がない人は、相談経験者の約1.6倍となることが明らかとなりました。

薬剤師へ相談したことがない人の理由は、「医師から説明を受けたので、相談しなくてよいと思った」(24.0%)が最多、「インターネットで調べられる」(14.0%)、「必要があれば薬剤師が説明してくれる」(11.6%)が続く。

長く続く痛みを抱える人のうち、調剤薬局の薬剤師への痛み止め薬に関する相談経験のない5,788人を対象に、相談しなかった理由について尋ねたところ、「治療を受けている医師から説明を聞いていたので、相談しなくてもよいと思った」が24.0%(1,389人)と最多。一方、「あとでインターネットなどで調べられるので、相談しなくてもよいと思った」14.0%(812人)、「必要があれば薬剤師の方から詳しく話をしてくれると思っていた」11.6%(672人)という結果もみられ、消極的なコミュニケーション姿勢の一端がうかがえました。


【調査概要】
調査対象:長く続く痛みを抱える※全国の20歳以上の男女9,400名
 ※ 本調査における長く続く痛みを抱える人の定義
 「週2回以上の頻度で痛みが起こる」、「1ヶ月以上痛みが続いている」人
調査方法:インターネットアンケート調査
調査の実施日:2015年11月4日(水)~11月9日(月)

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