アクセンチュア調査「銀行の役員に求められるテクノロジー分野の知見」 

2015年11月26日
アクセンチュアが行った最新調査によると、世界の大手銀行において、テクノロジー分野の知見をもつ役員の必要性が明らかになりました。

本調査「Bridging the Technology Gap in Financial Services Boardrooms(金融機関の経営層における技術的障壁の克服)」によると、世界の大手銀行において、テクノロジー分野に造詣の深い役員比率は6%、CEOでは3%と低迷していることが判明しました。また、5分の2以上(43%)の銀行では、テクノロジー分野の専門的な知見を持つ役員が不在であり、約3分の1(30%)の銀行では、テクノロジーに精通している役員は1名のみという状況でした。

なお日本では、テクノロジー分野の専門的な知見を持つ役員比率は7.5%と、世界の大手銀行での平均値を超えているものの、米国16%、英国14%には遅れをとっていることが明らかになりました。さらに、当該分野の知見をもつ役員の数では、半数の銀行で2名以上が在籍する一方で、約40%の銀行ではそのような役員が不在であり、テクノロジー活用に向けた銀行間での温度差が顕著に表れました。

本調査では、世界の大手銀行約100行に勤務する約2,000名の役員、および役員会に所属する上級役職者が持つ専門分野を分析しました。企業で上級技術職や同等職種を担った経験、またテクノロジー企業で上級職に従事した役職者を「テクノロジー分野の専門知見を持つ役員」と定義しています。

テクノロジー分野の知見を持つ役員比率は、米国と英国の銀行が他国に比べて高いことが判明しましたが、両国の銀行でさえ、テクノロジーに精通した役員比率は米国で16%、英国で14%、日本では7.5%という状況です。この役員比率については、中国、ブラジル、ギリシャ、イタリア、ロシアが最も低迷しています。中国の銀行では役員の1%未満、ブラジル、ギリシャ、イタリア、ロシアの銀行ではテクノロジーに精通した役員が不在という状況です。

本調査では、役員レベルでの「テクノロジー委員会」の設置を推奨しています。「テクノロジー委員会」は、リスク評価・監査委員会と同様の機能を果たし、役員にテクノロジー分野の理解を促すと同時に、主要なテクノロジーに関する意思決定を加速させる機能を担います。なお現在、大手銀行において「テクノロジー委員会」を設置している企業数は11%と低迷しています。

また、十分な情報に基づく意思決定を促す施策として、銀行の役員会が定期的な研修プログラムを個別に実施することで、全役員のテクノロジー分野における洞察力が向上すると本調査は結論付けています。このような研修プログラムでは、例えばテクノロジー分野の投資に対する判断能力を磨くために、具体的な事例を想定した研修が含まれます。


調査方法
アクセンチュアは、世界の大手銀行109行(資産ベース)に勤務する約1,925名の役員、および役員会に所属する上級役職者が持つ分野を分析しました。本調査の対象銀行は、欧州68行(ドイツ10行、フランス8行、スペイン8行、スカンジナビア地域8行(スウェーデン4行、デンマーク3行、ノルウェー1行)、英国7行、イタリア7行、オランダ4行、ギリシャ4行、ベルギー3行、オーストリア3行、アイルランド2行、ロシア2行、スイス2行)、アジア太平洋地域20行(日本8行、中国7行、オーストラリア5行)、北米18行(米国12行、カナダ6行)、南米3行(全てブラジル)です。

アクセンチュアは本調査において、現在または過去に勤務していた企業でCIO(最高情報責任者)やCTO(最高技術責任者)、またはCDO(最高デジタル責任者)といった上級技術職を担った役職者、およびテクノロジー企業にて上級職を担った役職者を「テクノロジー分野での専門経験を持つ役員」と定義しています。

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[アクセンチュア]
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