婦人科疾患・ヘルスケアに関する認知・実態調査(15~59歳の女性対象) 

2016年02月22日
バイエル薬品は、15~59歳の一般女性516名を対象とした婦人科疾患・ヘルスケアに関する認知・実態調査を実施いたしました。

【調査結果サマリー】

・「月経(生理)痛」「妊孕性<にんようせい>(妊娠する能力)」「閉経」などの女性の健康に関する一般的な質問に対し、半数以上の女性が正しく回答できなかった。

・婦人科疾患に罹患している女性において “症状を自覚してから 1 年以内の各疾患別受診率”は最も高い疾患でも 30%。婦人科受診への抵抗感や疾患の進行リスクに関する認識不足が明らかに。

・女性特有の疾患やヘルスケアに関する知識について早期に理解したいというニーズは高く、中・高校生の年代で詳しく理解しておいたほうがよいと考える女性は約 8 割にのぼった。


【調査結果】

一般女性の健康・ヘルスケアに関する認識について :
女性の健康に関する一般的な質問に不正解、あるいは「わからない」と回答する女性は多い


15~59 歳の一般女性 516 名に対し、女性の健康に関する一般的な記述に関して、それぞれ 3 つの選択肢(正しい/誤っている/わからない)からふさわしいと思うものを尋ねたところ、最も正答率が低かった記述は「閉経後にも排卵することがある(23.6%)」、最も高かったのは「カンジタなどの腟炎は生理がくると治る(57.9%)」となりました。

■全体の正答率は約 2~6 割、10 代で低い傾向
女性の健康に関する一般的な記述に関して、10 代女性の正答率(誤っていると回答した割合)は各年代の中でも低く、若年層の知識・理解不足がうかがえます。10 代の正答率は、「カンジダなどの腟炎は生理がくると治る(34.6%)」、「出産すると体質が変わり、生理痛がなおる(29.8%)」、「生理がある間、妊娠力は維持できる(28.8%)」などで低値となりました。

■ 閉経後にも排卵することがある :“誤っている” と正しく答えた女性は 23.6%
「閉経後にも排卵することがある」かどうかについて尋ねたところ、64.9%の女性が「わからない」と回答。「閉経と排卵の関係性」に関して、自身の理解不足を感じている女性が多いことがわかりました。閉経とは月経が永久に停止することを指します。具体的には、1 年間月経がないことを確認して初めて閉経したといえます。排卵すべき卵子がなくなっている状態ですので、確実に閉経した後に排卵することはありません。

■出産すると体質が変わり、生理(月経)痛がなおる :“誤っている” と正しく答えた女性は 38.4%
「出産すると体質が変わり、生理(月経)痛がなおる」かどうかについてを尋ねたところ、61.7%の女性が正しく回答できない結果となりました。原因によっては、妊娠出産後に生理痛がひどくなる場合もあり注意が必要です。生理痛には機能性(原因となる病気がないもの)や器質性(子宮関連の病気に伴うもの)があります。症状がひどくて日常生活に支障をきたす場合には月経困難症といい、治療対象となります。

■生理がある間、妊娠力は維持できる :“誤っている” と正しく答えた女性は 5 割弱
「生理がある間、妊娠力は維持できる」かどうかを尋ねたところ、「誤っている」と正しく回答した女性は 45.7%にとどまりました。「生理がある間、何歳でも妊娠できる」と考えている女性も少なくないことがうかがえます。女性は年齢とともに卵胞数の数が減少し、妊娠する能力が低下します。40 代後半になると、月経が規則的にあっても排卵がないこともあります。また、子宮内膜症や性感染症が原因で不妊になるケースも増えています。産みたいときに産めるように、日ごろから自分自身の健康と体について正しく理解することが大切です。

婦人科疾患に関する認知: 各疾患の詳細を 3 つともすべて知っている女性は子宮内膜症で 13.4%と最も低く、最も高い子宮筋腫でも 24.0%

15~59 歳の一般女性 516 名に対し、婦人科疾患の詳細に関する記述について「知っていたか」どうかを尋ねたところ、各疾患の詳細を 3 つともすべて知っている女性は子宮内膜症で 13.4%と最も低く、最も高い子宮筋腫でも 24.0%にとどまりました。

■月経困難症に関する知識:子宮内膜症への進行リスクに関する認知は 24.2%
月経困難症の特徴的な記述に関する認知では、“月経困難症の主たる症状である生理痛”や“放置すると子宮内膜症になる可能性がある”などの認知はそれぞれ 31.8%、24.2%と低く、3 つともすべて知っている女性は 16.7%にとどまりました。生理痛が高頻度にみられる女性では、将来の子宮内膜症発症のリスクが 2.6 倍高くなることが知られています。
※1) 月経困難症の原因疾患として、子宮内膜症が隠れていることが多いので、「生理が重い」と感じている場合には早めに婦人科を受診することが大切です。※1)Treloar SA:Am J Obstet Gynecol 202(6),534.e1-6, 2010

■子宮内膜症に関する知識:不妊症や卵巣がんのリスクに関する認知は 34.7%
子宮内膜症の特徴的な記述について、“進行すると不妊症や卵巣がんに関するリスク”に関する認知は34.7%と低く、3 つともすべて知っている女性は13.4%にとどまりました。子宮内膜症は子宮内膜が子宮以外の場所で発育・増殖する病気で、主な症状は激しい月経痛と不妊です。原因不明の不妊症患者の約 50%に子宮内膜症が存在するといわれています。病状が進むと周辺組織との癒着がひどくなったり、卵巣や卵管に障害を招き、不妊の原因になります。
また子宮内膜症、特に卵巣チョコレート嚢胞(子宮内膜症が卵巣に発生)のある女性では、卵巣癌の発生するリスクが高くなることが知られています。完治させることが難しく閉経まで長く付き合っていく病気ですが、適切な治療方法を選択することで上手にコントロールすることができます。

■過多月経に関する知識:原因となる婦人科疾患に関する認知は 27.7%
過多月経の特徴的な記述について、“女性の貧血の原因に多い”ことや“過多月経の原因にはホルモン分泌異常や子宮の病気がある”などの認知はそれぞれ 36.0%、27.7%であり、3 つともすべて知っている女性は 17.8%にとどまりました。過多月経の原因となる子宮の病気がある場合と、原因となる病気がなく体内のホルモンや血液の状態が影響している場合とがあります。原因となる主な子宮の病気には、子宮筋腫、子宮腺筋症などがあり、生殖年齢の女性に多くみられます。
また過多月経により貧血状態になることで心臓に負担がかかり、動悸、息切れなどを引き起こします。放置せずに早めに医療機関を受診することが大切です。

■子宮筋腫に関する知識: 50 代では 6 割以上、若年層との差が大きい
子宮筋腫の特徴的な記述に関する認知では、主な症状や治療方針などの認知は約 4 割であり、3 つともすべて知っている女性は 24.0%にとどまりました。50 代以上では 6 割以上の認知がある一方で、10 代の若年層では 2 割弱と年代差が大きくみられました。子宮筋腫は女性ホルモンのエストロゲンが関与している病気で閉経後は小さくなります。婦人科の病気の中で最も多く、成人女性の 4 人に 1 人がかかるといわれています。症状の程度や筋腫の大きさやできた場所、今後の妊娠・出産予定などを考慮したうえで治療方針が決定されます。

■女性特有の疾患やヘルスケアに関する知識について、早期に理解したいというニーズは高い
15~59 歳の一般女性 516 名に対し、「女性特有の健康問題や疾患について、中・高校生の年代で詳しく理解しておいたほうがよいと思うか」と質問したところ、約 8 割の女性が「とてもそう思う」「ややそう思う」と回答。女性特有の疾患やヘルスケアに関する知識について、早期に理解したいというニーズは高いことがわかりました。具体的な理由には、「体調に不安を感じたときに学生時代に受けた授業を思い出したことで受診のきっかけになる」「知っていれば予防や受診するなどの対処ができる」「早期発見につながる」などがあがりました。

婦人科疾患別受診率について
各疾患の受診率は約 5~8 割、「月経困難症」が 53.1%と最も低い。


15~59 歳の一般女性 516 名に対し、これまでに「月経困難症・過多月経・月経周期異常・子宮筋腫子宮内膜症」などの婦人科疾患にかかったことがあるかを尋ねたところ、約 2 割の女性に婦人科疾患の罹患経験がありました。

■婦人科疾患別受診率について、“症状を自覚してから 1 年以内の各疾患別受診率”は 3 割以下と低い。
各疾患に罹患経験のある女性(n=154)に各疾患別に医療機関を受診した時期を尋ねたところ、“症状を自覚してから 1 年以内の受診率”は最も高い疾患(周期異常)でも 30%と低く、適切に対処していない女性が多いことが懸念される結果となりました。また全体の受診率も約 5~8 割程度にとどまり、月経困難症が 53.1%と最も低い受診率となりました。

■婦人科疾患での日常生活への影響について、過多月経、月経困難症で 9 割を超える。
各疾患に罹患経験のある女性(n=154)に「婦人科疾患にかかってどの程度日常生活に影響があったか」と質問したところ、過多月経/月経困難症の罹患経験者ではそれぞれ 95.0%、90.6%が「とても影響があった」「やや影響があった」と回答しており、9 割以上の女性が日常生活に制限をきたしており、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)が低下していることがわかりました。

■婦人科疾患について詳しく知っている女性の半数が「よかったことがある」と回答。
婦人科疾患にかかる前、または現在いずれかの疾患を詳しく知っている女性(n=128)に、「婦人科疾患を詳しく知っていたことでよかったことはあった」かどうかを尋ねたところ、約半数の女性が「よかったことがあった」と回答。具体的なエピソードとしては、「自分で判断できるので安心できた」「冷静に対処できた」「妊娠の準備ができた」などがあがりました。


【調査概要】
対象:15~59 歳の女性
地域:全国
方法:インターネットによるアンケート調査
時期:2015 年 12 月 2 日~12 月 4 日
有効サンプル数:516 名

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