「HRコンピテンシー調査」 結果速報<Vol. 3> 

2016年01月28日
日本能率協会(JMA)は、米国The Ross School of Business at the University of MichiganとThe RBL Groupに所属するデイビッド・ウルリッチ教授らが、1987年からグローバルベースで展開してきた「HRコンピテンシー調査」において、日本で初めて、日本企業の調査への参画の取りまとめと結果分析を実施してきました。
本調査は、人事部門・部員の活動実態についてグローバル統一のアンケート調査を行い、現在のビジネス環境の中で人事が事業に貢献するために求められているコンピテンシーを明らかにするものです。その調査結果速報をお知らせします。
第3回目となる本速報では、9つの人事コンピテンシーがステークホルダーや事業指標に与える影響について報告します。

<ステークホルダーへの影響>

・9つのコンピテンシーが、各ステークホルダーにとってどれくらい重要かをみると、「Strategic Positioner」、つまり組織内外の事情を見極めて人事実務に結びつける能力が、概して、組織外のステークホルダーから求められていることがわかる。

・一方、組織内のステークホルダーからみると、「Credible Activist」、つまり有言実行する信頼できる人事が重要であることが、対照的である。

・当然のことながら、Compliance Managerとしての人事のコンピテンシーは、外部の規制機関から求められていることも本結果から読み取れる。


<事業・組織指標との相関>

・9つのコンピテンシーと、収益性、労働生産性、新製品・サービス開発、顧客満足、人材(従業員)を引き付ける力、法令順守という6つの事業に関わる指標との相関関係を分析した。

・「Strategic Positioner」と業績に直接的に関わる最初の3つの指標(収益性、労働生産性、新製品・サービス開発)の間に、高い相関が見られる。

・一方、職場で起こる様々な矛盾に対処する能力「Paradox Navigator」は、組織内のマネジメントに関する3つの指標(顧客満足、人材(従業員)を引き付ける力、法令順守)と結びついている。 

・ビジネスニーズに応じた人材マネジメントを行う「Human Capital Curator」が、人材(従業員)を引き付けること、および顧客満足には更にネガティブな影響を与えている。「人事部員が人材育成に注力するほど顧客満足度と従業員にとっての魅力度を下げる」という結果の解釈として、人材育成から人材獲得へのシフトなど諸々の事情が考えられるが、いずれにしても人事部員が組織内よりも組織の外へ目を向けて、事業そのものを重視すべきであるというメッセージを読み取ることができる。

・「Compliance Manager」と「Employee Attraction」の関係をみると、ときに法令順守が従業員にとっては窮屈に感じられることがマイナス評価につながっていることは想像できる。

・ただし、これら9つのコンピテンシーがそれぞれの事業・組織指標をどれくらい説明できるか、つまり影響を与えうるか、という数値を最下欄で確認してみると、人事部員がその能力と活動をもって、事業に直接的に影響を与えることの難しさ、あるいはそれをこのような調査で測定・見える化することの難しさも、明らかになったという事実も客観的に受け止める必要もある。


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[日本能率協会]
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