2016年の旅行動向見通し 

2015年12月16日
JTBは、2016 年の旅行市場についての見通し調査の結果をまとめました。この調査は、1 泊以上の日本人の旅行(ビジネス・帰省を含む)と訪日外国人について、各種経済動向予測、旅行消費者購買行動調査、観光関連動向等から推計したもので、1981 年の調査開始以来 36 回目となります。

【2016年】

総旅行人数(延べ人数) 3 億 980 万人 +0.7%
国内旅行人数 2 億 9,360 万人 +0.7%
海外旅行人数 1,620 万人 +0.3%

平均消費額
国内旅行平均消費額 35,540 円 +2.0%
海外旅行平均消費額 274,900 円 ±0.0%

旅行総消費額 14 兆 8,830 億円 +1.9%
国内旅行消費額 10 兆 4,300 億円 +2.6%
海外旅行消費額 4 兆 4,530 億円 +0.3%

平均旅行回数 2.48 回 +0.03回 2.45 回 +0.05回 2.40 回

訪日外国人数 2,350 万人 +19.0%


1. 国内の経済環境も落ち着き、興味のあることには積極的に出費する傾向。
円安基調で訪日旅行には好環境が続く


2015 年は、原材料高などによる物価の上昇が緩やかになり、ガソリン価格が下がるなど、経済環境は落ち着きを見せました。雇用環境も堅調な状況が当面続く見込みであることから、一時の緊縮ムードは弱まると考えられます。コーヒーの第三の波と言われるマイクロ・ブリュー・コーヒーや、徹底的に軽さを追求した紙パック式掃除機などもヒットとなりましたが、少し価格は高くても納得のいくモノやコトへの消費は今後も活発化しそうです。また、消費税が 10%に引き上げられる 2017 年の 4 月以前に欲しいものやしたいことには消費しておこうという人々も少なくないことが予想されます。
企業の業績は概ね堅調に推移する見込みで、大手企業を中心に給与や賞与を上げる動きも見られることも、個人消費にとっては明るい材料となるでしょう。
また、2016 年はリオデジャネイロ五輪が開催となり、東京五輪に向けた動きが本格的になりそうです。観光産業は建設産業と共に経済効果が期待される分野であり、様々な業界からの新規参入もますます増加すると考えられます。競争の激化も予想されますが、多様な産業が交わり、相乗効果を生み出すことによって、五輪後に観光業界が更なる飛躍を遂げるスタートの年となることが期待されます。
為替レートについては円安基調で、訪日外国人旅行者にとっては日本へ旅行しやすい環境が続く見込みです。

2.未婚層を中心に旅行意欲は堅調の見込み。海外旅行へも意欲

消費者アンケートの結果から 2016 年の旅行意欲を見てみると、「旅行の支出を増やしたい」が 1 ポイント増、「減らしたい」が 1.3 ポイント減となりました。現在の生活については、既婚層では「普段の生活費も趣味等も節約」の割合が高くなりますが、未婚男性では「普段も趣味等も節約していない」、未婚女性では「普段は切り詰め趣味等にはお金を惜しまない」がそれぞれ高く、未婚層を中心に、旅行などレジャー性の高い消費への意欲は堅調であると考えられます。
国内旅行と海外旅行については、国内旅行の回数が「増える」が 0.3 ポイント減少する一方、海外旅行の回数が「増える」は 0.6 ポイント増加しており、2015 年に海外旅行を控えた分、2016 年には海外旅行をしたいという気持ちもみられます。

3.8月11日が「山の日」に制定され、20年ぶりに国民の祝日が増加

2016 年の連休の日並びに関しては、GW・正月を除く週末の 3 連休が 6 回と 2015 年と同じとなります。
GWは 4 月 29 日(金)~5 月 1 日(日)までと 5 月 3 日(火)~5 月 5 日(木)までの 2 回の 3 連休となり、2015 年のような 5 連休はありませんが、5 月 2 日を休めば 7 連休、6 日を休めば 6 連休も取りやすい日程となります。後半の 5 連休に集中した 2015 年と比較すると 2016 年は日程が分散しそうです。
また 20 年ぶりに国民の祝日である「山の日」が制定されます。もともと夏休みである人も少なくありませんが、11 日と 13~14 日の週末を合わせてお盆休みを取る人も多いと予想されます。一方、2015 年のような大型連休(シルバーウィーク)ではないことから、9 月に遅い夏休みを取る動きは弱まる見込みです。

4.ミレニアル(新世紀)世代が新しい潮流に

ミレニアル世代と呼ばれる現在 20 代後半~30 代にかけた世代が世界的に注目を集めており、2014 年のダボス会議(世界経済フォーラム)でも、「デジタル社会に適応し、今後の消費を大きく変える“新しい”消費者」として大きく取り上げられました。世界的にみると、ミレニアル世代の人口が今後大きく増加するとともに、アジアなどの新興国においては、社会や経済の発展と共に国内外の企業で高収入を得るミレニアル世代が増加していること、若い頃から SNS などデジタル社会の影響を受けていること、などが、その背景です。JTB総合研究所が毎年実施している「スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査」(*1)では、日本のミレニアル世代も「昔の知り合いと SNS でつながって再び交流するようになった」「SNSの投稿を見て行ってみたいと思った場所へ出かけた」「SNS で知った情報で良いと思ったものを購入した」などの割合が高く(表 4)、SNS が消費や旅行の大きなきっかけとなるなど、これまでにはない側面を持つことが明らかとなりました。日本ではシニアに注目されがちですが、新興国では、海外旅行を楽しむ層も若い世代が中心です。訪日外国人旅行者も含め、ミレニアル世代を取り巻く様々な動きには、今後も注目が集まりそうです。

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