中国で台頭するFIT(個人旅行者)の実態調査 

2016年06月01日
「TripAdvisor®」(トリップアドバイザー)は、調査会社フォーカスライトに委託を行い、3000人を超えるアウトバウンド中国人旅行者から得た彼らの行動・消費パターン、嗜好等についての調査結果を発表しました。

「China Unbounded:The Rapid Rise of China’s Outbound Millions」と題されたこの調査は、中国本土のアウトバウンド旅行者を多面的に捉え、中でも特に中国で台頭するFIT(Free Independent Traveler:個人旅行者)に着目し、その最新動向を明らかにしました。

Chinese National Tourism Administrationの発表によると、2015年の中国人のレジャー旅行市場は前年比20%増となり、120万人が海外旅行に出かけました。

【調査結果】

■中国人FITはどんな人たち?
- 若く、高学歴で裕福な層


調査結果は、中国のFIT層が若く、高学歴で、比較的豊かであることを示しました。FIT旅行者のうち89%は18歳から44歳のグループに属しており、中でも25歳から34歳のグループが最も多く全体の41%を占めました。77%の中国人FITは学士号かそれ以上の学歴を有しており、月額252,000円以上の収入を得ていました。 調査に回答したFIT旅行者の4分1以上(28%)は広東省に住んでいて、次いで上海、四川省、北京、江蘇省に住んでいました。

中国人FITはアウトバウンド旅行に積極的です。これまでFIT旅行者が中国本土から外に旅行した回数は平均5.5回で、調査対象者全体の平均である5.2回を上回りました。中国人FITの英語力は総じて高く、21%の人が「英語でのコミュニケーションに問題はない」、41%の人が「英語は概ね理解できる」と回答していました。彼らは非常に自立しており、昔ながらの典型的なパッケージツアーやエスコート付のグループツアーに参加するのではなく、自分で計画を立てることを好みます。

■中国人FITの旅行先の傾向
– 思い立ったら即出発? 約2割の人が出発当日から6日前にかけて行き先を決定
– 旅行のピークシーズンは10月
– 直近のアウトバウンドレジャー訪問先、1位は日本


中国人FITは旅行計画を非常に短時間で行うようです。3割(32%)の人たちが直近の旅行について、行き先を出発の1週間前から2週間前に決めていました。なんと、1週間未満(出発当日から6日前にかけて)に行き先を決めると回答した人も18%いました。合計すると50%の中国人FITは行き先を2週間以内に決めていました。

中国人旅行者にとってのアウトバウンド旅行シーズンは5月から始まり、10月初旬の国慶節がピークとなるようです。中国人FIT旅行者の77%は5月から10月の間にアウトバウンド旅行をしていました。うち3割(29%)は10月中の旅行でした。直近のアウトバウンド旅行について聞いたところ、3分の1(34%)の中国人FITは3泊以内の行程となっていました。4~6泊の行程だったという人は40%で、26%の人は7泊かそれ以上の行程だったと回答しました。

中国人FITの90%以上はアウトバウンド旅行の際、大中華圏、およびその他のアジア諸国へ旅行していました。直近のレジャー旅行の行先を聞いたところ、最も多かったのは日本、次いでタイ、韓国の順でした。

直近のアウトバウンドレジャー旅行における訪問先
1.    日本
2.    タイ
3.    韓国
4.    アメリカ合衆国
5.    マレーシア
6.    シンガポール
7.    フランス
8.    イギリス
9.    イタリア
10.  カナダ

過去12か月以内にヨーロッパを訪れた旅行者から人気だった行き先は、フランス、イギリス、イタリア、ドイツ、オランダ、およびスペインでした。中国人FITが米国で多く訪れたのは、ニューヨーク州、カリフォルニア州、コロンビア特別区(ワシントンD.C.)、ハワイ州、そして、ワシントン州でした。

■中国人FITが旅行に求めるものは?
-ショッピングは旅の主要アクティビティだが、行き先の選定には「目的地が安全」であることが何より重要


調査によると、42%の中国人FITは「ショッピング」は旅行の中で重要なモチベーションであると回答していました。特に日本・韓国に行く旅行者にとって、ショッピングは欠かせないアクティビティのようです。とはいえ、「行き先を決める上で重視する要素」では、ショッピングはさほど重視されていませんでした。つまり、旅行者たちは旅先でショッピングをしたいと思っているものの、行き先の選定には他の要素がより強く影響していました。

行き先を決める上で最も重要な3つの要素として挙げられたのは、(1)目的地が安全、またはそこの政情が安定していること(65%の人たちが「行き先を選定する上で非常に重要」と回答)、(2)公害が少なく、清潔な環境であること(36%が「非常に重要」と回答)、(3)自然があること(35%が「非常に重要」と回答)が挙げられました。オーストラリアとニュージーランドはこの二か国を訪れたことがある中国人FITからこれらの要素で最も高く評価されていました。

旅行に行く理由を尋ねた際には、中国人FITの56%は「日常生活から離れてリラックスするため」と回答していました。これは主に東南アジアへ旅行する人たちに当てはまるようです。また、47%の人たちは「自然、文化、歴史的な観光地を見るため」と回答していました。

■中国人FITの消費
-旅行中の財布の紐は緩い? ショッピングに平均11万5千円使っていたことが判明


中国人FITは平均して1回の旅行につき297,600円を消費していました。29%の人は、直近の海外旅行で336,000円以上使ったと回答していました。大都市圏在住の中国人FITは一回の旅行あたりの消費額がより多い傾向にありました。最も消費額が多かったのは北京在住の旅行者で一回あたりの平均消費額が444,200円、  次いで四川省在住の旅行者で平均消費額は372,200円、そして上海在住の旅行者で平均消費額は370,900円という結果でした。

中国人FIT旅行者の消費の中で、ショッピングが占める割合は非常に大きく、直近の海外旅行において平均で115,100円を買い物に使っていたことが分かりました。特にアメリカ合衆国とカナダに行った際の買い物の金額は大きく、この2か国を訪れた人は平均して295,300円も使っていました。ショッピングに次いで中国人FITの消費額が大きかったのは「航空券」(75,500円)、そして「宿泊費」(51,700円)でした。なお、中国人FITが食事にかけた金額の平均は34,900円でした。

今後2年間の旅行傾向について尋ねたところ、今後も東アジア地域への短距離旅行に行くと回答した中国人FITは引き続き多かったものの、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド、北米への長距離旅行に対する興味関心も高く見受けられました。約半数(49%)のアウトバウンド中国人FITは、過去12か月よりも今後2年の方がより沢山旅行をするつもりであると回答していました。そして今後2年間の方により旅行をすると回答した人たちのうちの52%は海外にいる間に「より長い旅行をするつもりである」と答え、54%は「より消費をするつもりである」と回答していました。


【調査方法】China Unbounded:The Rapid Rise of China’s Outbound Millions
調査期間:2015年11月2日~17日
実施機関:フォーカスライト社 (部分的にトリップアドバイザーが調査費用を負担)
調査手法:オンライン調査
有効回答者数:3,043名
対象者:18歳以上の中国人男女。中国本土から過去1年間に少なくとも1回以上のレジャー旅行をした人で、旅のプランニングに能動的に関わった人。有効回答者のうちFIT旅行者は1,043名。

※中国本土からの「アウトバウンド旅行」には、香港・マカオ・台湾への旅行も含む。

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[トリップアドバイザー]
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