マーサージャパンは、マーサー『2016年世界生計費調査-都市ランキング』を発表。

不安定なグローバルマーケットや安全保障に関わる問題が顕在化する中で、競争力を維持し事業を拡大するため、企業はグローバル戦略を強化している。しかしながら、海外派遣者報酬コストへの影響を含め、抱えている課題に対して対応策が整っている企業は少ない。今年で22年目となるマーサーの「世界生計費調査」では、海外に派遣する社員の海外派遣者報酬コストに影響を与える、為替変動や物価上昇、変動し易い住居費などの要因に着目している。

【調査結果】

・海外駐在員にとって最も物価が高い都市は香港、最も低い都市はウィントフック(ナミビア)

・アジア、アフリカの都市がランキング上位を占める

・米ドルに対する日本円価値の上昇の影響により東京(5位)、大阪(22位)の順位が大きく上昇

・キンシャサ(コンゴ)の順位が大きく上昇

・中国主要都市の順位は下降

・米国主要都市の順位は上昇

・海外派遣者の需要は引き続き高く、適正な報酬を決定するためのデータの重要性が増す


マーサーの2016年世界生計費調査によると、香港が海外駐在員にとって最も物価が高い都市となり、ルアンダ(アンゴラ)が2位となった。3位と4位は昨年と同じく、チューリッヒとシンガポールとなり、東京の順位は昨年よりも6上がり5位となった。昨年は13位だったキンシャサ(コンゴ)が6位になり、初めてトップ10に入った。

海外駐在員にとって最も物価が高い都市トップ10に入ったその他の都市は、上海(7位)、ジュネーブ(8位)、ンジャメナ(9位)、北京(10位)となった。一方、海外駐在員にとって最も物価が低い都市は、ナミビアのウィントフック(209位)、南アフリカのケープタウン(208位)、キルギスのビシュケク(207位)との結果になった。

マーサーの「世界生計費調査」は、世界で最も包括的な生計費調査の一つであり、多国籍企業や政府機関が海外駐在員の報酬・手当を設定する際に利用されている。今回発表のランキングは、ニューヨークをベースとし、ニューヨークを100とした場合の各都市の指数を比較している。基軸通貨は米ドルとしている。

この調査は、5大陸209都市において住居費、交通費、食料、衣料、家庭用品、娯楽費用などを含む200品目以上の価格を調査し、それぞれを比較している。

【地域別分析】

◆南北アメリカ
他地域の都市の順位が大きく下がったことに加え、米ドルがその他の主要通貨に対して上昇したことにより、米国の都市の順位が上がった。この地域で最も順位が高い都市であるニューヨークは順位を5上げて11位となった。サンフランシスコ(26位)は11、ロサンゼルス(27位)は9、シアトル(83位)は23順位が上がった。その他の米国の主要都市の順位は、ホノルル(37位)が15、ワシントンDC(38位)が12、ボストン(47位)は17上がった。ポートランド(117位)とノースカロライナ州のウィンストンセーレム(182位)は、昨年に引続き米国で海外駐在員にとって物価が低い調査都市であった。

南アメリカでは、昨年から順位が22下がったにもかかわらず、ブエノスアイレス(41位)が最も物価の高い都市となった。その後に順位を22上げたサンファンとプエルトリコ(共に67位)が続いた。

ブラジルやアルゼンチン、ウルグアイなど南アメリカのその他の都市の多くは、物価が上昇したにも関わらず、米ドルに対して自国通貨が下落したことにより順位が下がった。特に、サンパウロ(128位)とリオデジャネイロ(156位)は物価が非常に上昇しているが、それぞれの順位は昨年から88、89と大きく下がった。リマ(141位)は19、ボゴタ(190位)の順位は42下がった。南アメリカで最も物価が低い都市はマナグア(192位)であった。ベネズエラのカラカスは、公定為替レートが複数存在する複雑な状況にあり、選択する為替レートによって順位が大きく変わるため、マーサーでは今年もランキングから除外した。

カナダの都市は、主にカナダドルが米ドルに対して下落していることにより、今年も順位を下げた。カナダで最も順位が高いバンクーバー(142位)は順位が23下がった。トロント(143位)は17、モントリオール(155位)とカルガリー(162位)の順位はそれぞれ15と16下がった。

◆ヨーロッパ・中東・アフリカ
ヨーロッパの2都市が海外駐在員にとって最も物価が高い都市トップ10にランクインした。グローバルランキングで3位のチューリッヒがヨーロッパでは最も物価が高い都市となり、昨年から順位を3下げたジェノバ(8位)が続いた。米ドルに対してスイスフランが下落したためにベルン(13位)の順位は4下がった。

ヨーロッパの一部の都市は米ドルに対してユーロが安定しているため、大きな順位の変動はなかった。パリ(44位)、ミラノ(50位)、ウィーン(54位)、ローマ(58位)の順位は昨年から相対的に変化がなく、さらにコペンハーゲン(24位)、サンクトペテルブルグ(152位)も同じ順位となった。

その他の都市では米ドルに対して現地通貨が大幅に下落したため、オスロ(59位)の順位は21、モスクワ(67位)の順位は17下がった。イギリスのロンドン(17位)とバーミンガム(96位)はそれぞれ5と16順位を下げた一方で、ドイツのミュンヘン(77位)、フランクフルト(88位)、デュッセルドルフ(107位)の順位は上がった。

東ヨーロッパや中央ヨーロッパにおいてはキエフ(176位)の順位が8、ティラナ(186位)が12上がった。
 
中東では、テルアビブ(19位)が昨年に引き続き、海外駐在員にとって最も物価が高い都市となり、その後にドバイ(21位)、アブダビ(25位)、ベイルート(50位)が続いた。ジッダ(121位)は順位を30上げたが、引き続きこの地域で最も物価が低い都市となった。

グローバルのトップではなくなったものの、アンゴラのルアンダ(2位)は引き続きアフリカ地域では最も物価が高い都市であった。続いて昨年から順位を7上げたキンシャサ(6位)、その後に順位を1上げたンジャメナ(9位)、7上げたナイジェリアのラゴス(13位)となった。順位を3下げたナミビアのウィントフック(209位)がアフリカ地域およびグローバルで最も物価が高い都市となった。

◆アジア・太平洋
昨年1位だったルアンダは現地通貨の下落により順位が下がり、香港(1位)がグローバルにおいても最も物価が高い都市となった。シンガポール(4位)は昨年と変わらず、順位が6上がった。 東京(5位)、上海(7位)、北京(10位)と続く。深セン(12位)の順位は2つ上がった一方で、ソウル(15位)の順位は7、広州の順位は3下がった。

インドでは、ムンバイ(82位)が最も物価が高い都市であり、その後にニューデリー(130位)、チェンナイ(158位)と続く。ベンガルール(180位)とコルカタ(194位)はインドで物価が低い都市となった。その他のアジアの都市では、バンコク(74位)は29、クアラルンプール(151位)は38、ハノイ(106位)は20順位を下げた。バクー(172位)の順位は100ポイントを超えて下がり、今回グローバルで最も変動した。トルクメニスタンのアシガバードの順位は61上がった。

対米ドルに対する現地通貨価値の下落により、オーストラリアの都市の順位は大きく下がった。ブリスベン(96位)とキャンベラ(98位)の順位はそれぞれ30と34下がり、オーストラリアで最も物価が高い都市であるシドニー(42位)の順位は11、メルボルン(71位)の順位は24下がった。


2016年マーサー世界生計費調査について
マーサーの世界生計費調査は、世界で最も包括的な生計費調査の一つであり、多国籍企業や政府機関が海外駐在員の報酬・手当を設定する際に利用されています。一般的な物価指数を測るものではありません。今回発表のランキングは、プレスリリース用にニューヨークをベースとし、ニューヨークを100とした場合の、各都市の指数を比較し、基軸通貨は、米ドルとしています。

掲載されている生計費および住居費の数値は、すべて2016年3月にマーサーが実施した世界生計費調査に基づくものです。為替は2016年2月の平均レートを使用しており、品目はマーサーの国際人用バスケットをベースとしています。

このデータは、政府機関や多国籍な企業が従業員を海外に派遣する際に、海外駐在員の購買力を補償するために利用されています。また、住居費に関するデータは、海外駐在員の現地における住居手当を決定する際に利用されています。調査対象都市は、企業や政府機関からの要望により選択されたものです。

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