60代の雇用・生活調査(60~69歳の男女対象) 

2015年01月30日
労働政策研究・研修機構は、「60代の雇用・生活調査」結果を発表。

本調査は、急速な高齢化の中で、働く意欲と能力のある高齢者が、その能力を発揮して、希望すればいくつになっても働くことができるような就業環境の整備を図ることが重要な課題となっている。そうした課題を踏まえて、今後の高齢者に関する労働政策立案のための基礎資料として広く活用することを目的として、高齢者の就業や生活に関する実態や意識等を調査したものである。

【調査結果のポイント】

<60 代男性の就業・・・60 代になっても何らかの形で働いている人が増加>
・男性について、55 歳時に雇用者であった人の数を 100 として、その後の就業状況を追跡・指数化して平成 21 年に実施した同様の調査(以下「H21 調査」という。)と比べた変化をみると、65~69歳層において定年後継続雇用の割合が目立って上昇(17.2→24.0)するとともに、定年直後に無業であった割合の低下(60~64 歳層:18.2→13.0/65~69 歳層:28.4→18.4)、定年を経験した人が 60歳台後半で引退している割合の低下(28.3→24.5)、定年を経験していない人においても 65~69 歳層で 55 歳時と同じ会社で勤務している割合の上昇(6.1→10.8)などがみられている(p5、図表 2)。

<定年後の雇用継続における仕事の変化と賃金の変化・・・賃金低下に納得している人が多いが、納得していない人もいる>
・定年到達時の雇用継続の前後で、8割程度が職業(大分類)に変化はなかったとしている一方、仕事の内容については、責任の重さが変わったとする人が 35.9%いるなど変わったとする人も多く、変わっていないとする人は 50.3%となっている(p8、図表 8 及び p9、図表 9)。
・また、その前後で賃金が減少したとする人が8割程度を占め(p9、図表 10)、減少したとする人の半数超が賃金減少幅は2~5割であったとしている(p10、図表 11)。賃金が下がったことについて、「雇用が確保されるのだからやむを得ない」(48.5%)など納得しているとする人が多いものの、「仕事がほとんど変わってないのに賃金が下がるのはおかしい」(30.2%)など疑義を持つ人も 60~64歳層を中心に少なくない(p11、図表 13)。

<定年退職等の際に継続して働かず、仕事から離れてしまうと再就職は難しい>
・定年時や定年の前等に 55 歳当時の企業を退職し、ある程度時を経て再就職をした人に、再就職先の見つかり具合を尋ねたところ、「すぐに見つかった」は 24.2%であり、「しばらく職探しをした」が7割(70.7%)に上っている(p15、図表 22)。また、そうした再就職をした人の満足度をみると、「あまり満足していない」が 35.0%であり、満足していない理由は「労働条件がかえって悪くなった」が 55.2%などとなっている(p16、図表 25 及び p17、図表 26)。

<現在の就業と年金受給・・・就業率は上昇する一方、男性・60~64 歳層で年金受給割合低下>
・調査時点で仕事をもっている人の割合(就業率)は、55.4%(男性:62.6%、女性:47.3%)であり、H21 調査の 52.1%(同 60.7%、42.7%)に比べ就業率は総じて上昇している(p17、図表 27)。
・仕事をしている動機のうちもっとも主なものを尋ねた結果は、「経済上の理由」(58.8%)がもっとも多くなっており、H21 調査との比較において仕事をしている人計では「経済上の理由」の割合(60.0%→58.8%)はやや低下しているのに対して、雇用者に限ると、その割合(61.8%→62.8%)がわずかながら上昇している(p21、図表 33)
・調査時現在において公的年金を受給している割合(受給割合)は 80.1%であり、60~64 歳層では66.6%、65~69 歳層では 95.4%となっている。H21 調査からは総じて受給割合は上昇している(計で 77.1%→80.1%)中で、男性・60~64 歳層では低下している(63.3%→59.5%)。とりわけ、現在雇用者である男性・60~64 歳層は、H21 調査から 8.0%ポイント(63.0%→55.0%)とやや大きな低下となっている。(p23、図表 35)。

<65 歳以降の就業意向・・・仕事をしてきている人の今後の就業意欲は高い>
・60~64 歳層で現在仕事をしている人に 65 歳以降に仕事をする意向を尋ねたところ、「すでに働くことが(ほぼ)決まっている」が 15.9%あるものの、「まだ決めていない/わからない」が 31.4%ともっとも多く、次いで「採用してくれる職場があるなら、ぜひ働きたい」13.5%となっている。「仕事はしたくない/仕事からは引退するつもり」は 11.7%にとどまっている。(p26、図表 42)。
・「採用してくれる職場があればぜひ働く」とした人に、今の職場で引き続き就業する意向を尋ねたところ、「就業規則上 65 歳までと定められているので、別の会社を探さなければならない」(35.3%)と「就業規則上 65 歳を超えても働けるので働き続けたいと思っている」(34.6%)とがほぼ拮抗している(p27、図表 43)。
・65~69 歳層で現在仕事をしている人に 70 歳以降に仕事をする意向を尋ねたところ、「生きがいや健康のために、元気な限り働きたい」が 30.8%でもっとも多く、次いで「まだ決めていない。わからない」(23.4%)、「年金だけでは生活ができないので、なお働かねばならない」(18.9%)などとなっており、「もう十分に働いたので、引退して好きなことを楽しみたい」は 10.4%にとどまっている(p27、図表 44)。
・現在仕事をしている人に体力の低下等で仕事上不都合を感じることの有無を尋ねたところ、「体力等の衰えはあるが、仕事をする上では特に不都合はない」が 47.7%と半数近くを占め、「そうした体力等の問題はまだ余り感じたことがない」(23.2%)と合わせて7割程度が不都合は感じていない(p28、図表 45)。

<現在の生計状態と今後の不安・・・現在はまあまあだが将来には不安を持つ人が多い>
・生計の状態を尋ねたところ、「余裕はないが、普通に生活している限り特に問題はない」が 64.0%と 3 分の 2 近くを占めている(p28、図表 46)。一方、将来の不安について尋ねたところ、「特にない」が 35.0%である中で、不安としては「生活費の不安がある」が 33.8%ともっとも多く、次いで「病気がちなので不安」(19.2%)などとなっている(p30、図表 48)。


【調査概要】
・調査対象 60~69歳の 5,000 人(個人を対象)
 60~64歳 男性 2,000 人、女性 1,300 人
 65~69歳 男性 1,000 人、女性 700 人
・調査対象者の抽出方法 住民基本台帳から、層化二段階抽出
・調査時期 平成 26 年 7~8 月
・有効回答 3,244 人(有効回収率:64.9%)

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[労働政策研究・研修機構]
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