2016年昇給率調査(アジア太平洋地域版) 

2016年10月04日
ウイリス・タワーズワトソンが実施した昇給率調査によると、アジア太平洋地域全体の2017年昇給率は、5.9%と今年の5.8%からわずかに上向くものの、経済成長が鈍化する中で雇用主がコスト抑制に努めていることから、実際には同地域における昇給予算への広範な下押し圧力を反映した数字になると予想されます。

2016年の昇給率は6.4%と予想されていましたが、実績値は5.8%にとどまり、2012年以降で初めて6%を下回りました(図1参照)。2017年も同様の傾向が続いた場合には、実質賃金は調査対象企業の予想値である5.9%を大きく下回ると見込まれます。そうなれば、3年連続で昇給予算は縮小することになります。

ウイリス・タワーズワトソンの2016年昇給率調査結果レポート アジア太平洋地域版では、3%という同地域の平均インフレ率を考慮した実質ベースでの2017年の予想昇給率は2.9%となり、2016年の3.5%から縮小傾向が示されています。

本調査は幅広い産業における各種従業員グループを対象としており、今後1年間の年間基本給与を予測するための指針を企業に提供することを目的としています。調査対象の産業には、テクノロジー、金融サービス、製薬・ヘルスサイエンス、化学、エネルギー・天然資源、メディア、小売、建設・エンジニアリング、運輸、消費財等が含まれます。


本調査の対象であるアジア太平洋地域の22市場のうち、2017年における実質ベースでの基本給の上昇幅が2016年よりも拡大すると見込まれるのは、スリランカ、インドネシア、中国、カンボジア、香港、台湾の6市場にとどまっています(図2参照)。

2017年の昇給率上位国は、パキスタン(10.2%)、バングラデシュ(10%)、インド(10%)が並びますが、実質ベースの昇給率はそれぞれ5%、4.2%、4.3%にとどまる見通しです。

インフレ率を考慮しない場合には、東アジアと東南アジアで基本給の上昇率が最も大きくなるのはベトナムの9.6%で、インドネシア(9.0%)、中国(7.0%)が続きます。一方で、日本は最も低い昇給率となります(2.3%)。

香港とシンガポールは名目ベースの昇給率はいずれも4.0%と予想されますが、香港の予測インフレ率(2.3%)はシンガポール(0.8%)よりもはるかに高いため、香港の実質ベースでの昇給率(1.7%)はシンガポール(3.2%)よりも大幅に低くなる見込みです。

本調査は、予算の制約が強まる中で、企業は高いパフォーマンスを上げている従業員に対し、昇給予算を重点的に配分している様子を示しています。昇給予算の37.6%がハイパフォーマーに配分され、残りの33.7%が「平均より上」の従業員に、29.2%が「平均」の従業員に充てられていることが分かります(図3参照)。


本調査について:
2016年昇給率調査結果レポート アジア太平洋地域版(2016 Asia Pacific Salary Budget Planning Report)は、ウイリス・タワーズワトソンのデータサービス部門が年2回実施している調査の結果です。今回の調査は、各企業が2017年の報酬計画を策定する時期に合わせて実施したもので、幅広い産業セクターと、工場などの現場労働者から役員レベルまで様々な職階の従業員の給与配分や動向と給与審査について調査しました。

今回の調査は2016年7月に実施され、アジア太平洋地域の22ヵ国・地域の企業から約4,000件の回答が寄せられました。

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[ウイリス・タワーズワトソン]
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