防災対策に関する調査(20歳以上男女対象) 

2017年08月23日
アサヒグループホールディングスは、全国の20歳以上の男女を対象に「防災対策」をテーマに調査を実施。

【調査結果サマリー】

・全体の7割近くが「防災意識を持つ」-シニア層ほど危機意識が高い
・3割以上が「意識なし」-頻度が多すぎて「災害慣れした」という声も
・身近な危険のトップは「地震」-予想される「南海トラフ地震」を懸念する声も
・「集中豪雨」「河川の氾濫」など、2年前よりも「大雨の被害」を強く意識
・半数以上が「(自分の家や地域は)安全な場所」と回答-高台、地盤固いので
・4割近くは「防災グッズを準備」-危機感が薄れている? 過去調査よりも減少
・災害時の必須アイテムは「水」「懐中電灯」「ラジオ」-停電に備え「明かり」は必須
・胃袋満たす「食料」と共に、ストレスを軽減させる「甘いお菓子」も

【調査結果】

全体の7割近くが「防災意識を持つ」-シニア層ほど危機意識が高い

まず、皆さんの防災に対する意識を見ていきましょう。「近年、災害が温暖化の影響もあって相次いで起こっているので、防災アプリで常にチェックしている」(女性40代、京都府)など、「かなり強く意識している」と回答した人は19.2%。さらに「まあまあ意識している」という声も50.1%を数え、全体の7割近くの人びとが「防災意識」を持ち続けていることが明らかとなりました。自由回答の中には「最近、色々な所でゲリラ豪雨、地震などが起こり、よくニュースで目にする事が多いから」(女性30代、大阪府)など、九州北部地方では甚大な被害が出るなど、今夏は全国的に雨量が多く、ニュースでも頻繁に目にする機会が増えているため、自然災害への危機意識を高めている人も少なくありませんでした。

年代別で「かなり強く意識している」「まあまあ意識している」という声を見てみると、最も回答が高かったのは70代以上で90.3%。次に60代で84.9%、20代で76.5%と続き、シニア層と若者層では突然やって来る災害に対する危機意識の高さが見られました。その一方、働き盛りの50代で58.1%、40代で63.6%と意識が低く、仕事や子育てに忙しい年代であるせいか、防災まで手が回っていない状況がうかがえます。

3割以上が「意識なし」-頻度が多すぎて「災害慣れした」という声も

その反面、「あまり意識していない」(26.2%)、「全く意識していない」(4.5%)という声も3割以上を占めました。主な理由は「比較的自然災害の少ない地域に住んでいるので、あまり意識していない」(女性50代、大分県)など、危険を感じるほどの災害に遭遇したことがなく、実感がないという声。一方で「東日本大震災時の状況を経験して分かっているので、特に意識してはいない」(女性60代、宮城県)など、怖い経験を一度経験したからこそ、必要以上に意識しないという声。また自由回答の中には「日本は自然災害のとても起こりやすい国、日本人は災害の多さに少し慣れみたいなものを持ってしまっているので」(男性40代、神奈川県)など、頻度が多すぎて「災害慣れ」してしまったという人もいました。

身近な危険のトップは「地震」-予想される「南海トラフ地震」を懸念する声も

7割近くの人びとが防災意識を持つことが判りましたが、皆さんが「身近な危険」と感じている災害は何でしょうか。最も回答が多かったのは「地震」(76.0%)でした。「近い将来、起こると言われている南海・東南海地震に備えて」(女性30代、大阪府)など、南海トラフ地震等、巨大地震が近い将来予測されているエリアも多く、常に不安を感じているという声。自由回答の中には「熊本で地震を経験して、すごく怖くて、電気、ガス、水のありがたさを再確認しました」(女性30代、熊本県)など、身をもって経験して、より防災意識が高まったという人もいました。

身近に感じる災害は?
1 地震 76.0%
2 台風 57.1%
3 集中豪雨 49.4%
4 河川の氾濫・洪水 18.1%
5 落雷 15.6%
6 爆発・火災 10.4%
7 竜巻 10.2%
8 津波 7.6%
9 地盤沈下・土砂崩れ 6.2%
10 噴火 3.7%
MA(複数回答)/n=646人

2位は「台風」(57.1%)。「台風がよく来る鹿児島県に住んでいるので」(男性40代、鹿児島県)、「海が近く海抜が低い地域なので、台風と大潮が重なると道路や庭まで冠水してしまう」(男性50代、広島県)など、台風の通り道や、川・海沿いの地域では猛威をふるう台風の被害を不安視する声。また中には「高層マンションに住んでいるので台風の時風が強く身近な危険と感じる」(女性40代、神奈川県)など、昨今のタワーマンションの増加で、強風を心配する住人もいました。さらに「最近は集中豪雨による危険が頻繁に発生しているので一番注意している」(男性60代、愛知県)など、3位「集中豪雨」(49.4%)、 5位にも「落雷」(15.6%)が続き、夏場に集中する台風・ゲリラ雷雨を「身近な危険」と感じている人が目立ちました。天気予報の精度が高まり、警報や注意などの速報が出やすくなったとはいえ、自然の猛威から完全に逃れることができません。

豪雨に伴い、「居住近くに河川があり、局地的な集中豪雨で川の氾濫を一番意識している」(男性70代、山口県)など、4位に「河川の氾濫・洪水」(18.1%)、9 位に「地盤沈下・土砂崩れ」(6.2%)が続き、川・海沿い、山沿いでの二次被害の発生に注意する人もいました。「地震」「豪雨」を警戒する声が多かった一方で、「噴火」(3.7%)は10位に留まりました。日本は世界有数の「火山大国」ですが、地震や台風に比べると頻度が少ないせいか、「噴火」を意識している人は意外に多くないことがうかがえます。

「集中豪雨」「河川の氾濫」など、2年前よりも「大雨の被害」を強く意識

2年前に実施した同調査と比較してみると、「地震」(2017年=76.0%、2015年=80.5%)「台風」(2017年=57.1%、2015年=61.9%)、「落雷」(2017年=15.6%、2015年=22.7%)、「爆発・火災」(2017年=10.4%、2015年=16.7%)などの数値が減少傾向。その一方で、「集中豪雨」(2017年=49.4%、2015年=39.6%)、「河川の氾濫・洪水」(2017年=18.1%、2015年=16.5%)の数値が増加していることが明らかとなりました。ここ数年、1時間に100mmを超える「集中豪雨」の頻度が増え、それに伴う二次被害も拡大しています。進路が予測できる台風なら避難する準備もできますが、次々と発生する積乱雲は予測ができず、私たち人間にとっては打つ手のない状況となっています。

半数以上が「(自分の家や地域は)安全な場所」と回答-高台、地盤固いので

ここまで「身近な危険」を見てきましたが、現在、皆さんの住む家や地域は、自然災害に対して安全な場所なのでしょうか。「とても危険な場所だと感じている」と回答した人は7.1%。さらに「やや危険な場所だと感じている」という声も28.0%を数え、全体の3割以上の人びとが「危険な場所」と感じながらも日々の暮らしを送っていることが判ります。自由回答の中には「地震で原発が破壊されたらアウト、富士山噴火も脅威。何の対策も出来ていないのが現状」(男性50代、静岡県)、「0m地帯と言われている場所なので、河川の氾濫が怖いですし、住宅も密集しているので火災も怖い」(女性50代、東京都)など、危険なエリアと理解しつつも、対策を講じられずにいるという人も少なくありませんでした。

その反面、「どちらかといえば安全な場所と感じている」(51.6%)、「とても安全な場所だと感じている」(4.9%)という声は半数以上を占めました。主な理由は「住んでいる所は地盤が固く、高台のてっぺんなので、地震や水害には強いので何も心配していない」(女性60代、宮城県)、「ハザードマップで安全。また近くに大きな公園や学校もあり、避難場所もある」(男性30代、東京都)など、高台や地盤の固い土地に住んでいる人は、比較的に安心して暮らしていることがうかがえます。また地域は安心ながら、中には「周りに防災公園があるので避難場所には恵まれているが、住まいは築が古いアパートなので、大きな地震きたら倒壊の恐れがある」(女性30代、千葉県)など、自宅の老朽化を心配する人もいました。

4割近くは「防災グッズを準備」-危機感が薄れている? 過去調査よりも減少

3割以上の人びとが「危険な場所で暮らしている」という認識を持つことが判りましたが、万が一の災害に備えて、「防災グッズ」の準備をしている各ご家庭はどの位あるのでしょうか。「阪神大震災を経験してから少しずつ揃え始めました。トイレを使えなくなると困るので、黒いゴミ袋とペットのトイレシートも買いました」(女性30代、大阪府)など、「以前から防災袋や、防災に備える様々な準備をしている」と回答した人は40.5%。自由回答の中には「子どもが強い食物アレルギーがあり、飲み物も食べ物も制限がかなりある。なので、いざという時のために常温保存できる離乳食や、飲める飲み物など数日分いつもストックし期限を確認している」(女性30代、愛知県)など、アレルギーや持病などを持つ人は、避難所で支給される食事等が食べられないケースもあり、常備薬や特別な食事を用意している人もいました。

その一方で、「『準備をしなければ』と考えているものの、まだ行っていない」という声は50.2%。「準備しなければと思う一方、何をどれ位用意しなければいけないのか、置き場所は…!?と色々考えているとなかなか動けず、準備出来ていません」(女性30代、大阪府)など、とても多くの人びとが必要を感じながらも「準備不足を自覚している」ことが判ります。中には「なかなか準備しようという気にはなれない。心のどこかで、『自分の所は大丈夫』と思っているからかもしれない」(女性30代、石川県)など、「特に準備をするつもりはない」(9.3%)という人もいました。

また、防災グッズの準備に関する声の中には「特に食料はチェックすると期限が切れていることが多い」(女性40代、栃木県)、「東日本大震災の後、ヘルメットなど買い揃えましたが、その後はチェックしていない。いつでも持ち出せる準備が必要だと感じている」(女性50代、神奈川県)など、防災グッズは一度用意すれば終わりでなく、定期的なメンテナンスが意外に手間であると感じている人もいました。

過去調査によれば、「以前から防災袋や、防災に備える様々な準備をしている」という声は、日本大震災の翌年である2012年で42.6%、熊本地震直後の2016年で46.4%と高い数値を示しましたが、大きな地震から少し間の空いた2015年、今回の調査(2017年)では40%台前半まで減少していることが明らかとなりました。自由回答の中には「大震災から時間が経ち、危機感が薄れていることもあり、もう一度考え直さなくてはと思っている」(女性40代、福島県)など、「喉元すぎれば熱さ忘れる」という言葉がありますが、災害直後は気合いを入れて準備していた人も、時間の経過と共に意識が薄れていることがうかがえます。

災害時の必須アイテムは「水」「懐中電灯」「ラジオ」-停電に備え「明かり」は必須

災害に備えて、皆さんが日ごろから家で準備している「防災グッズ」を具体的に見ていきましょう。最も回答が多かったのは「飲料水(ペットボトル、缶など)」(82.3%)でした。「水があれば、とりあえず何とかなると思うので常に備蓄している」(女性30代、栃木県)、「地震後3日間の飲料水として、2Lベットボトル10本を用意している」(男性50代、東京都)など、生命維持に最低必要な「飲料水」を備蓄しているという声。さらに自由回答の中には「火が出る事を想定し、湯舟には毎朝水をはる事を日課としている また電気が止まった時、水栓トイレに水が給水されなくなる事も含めて」(男性60代、愛知県)など、飲み水のほか、トイレの水や火災時の消化用として、浴槽には常に水を溜めているというご家庭も少なくありませんでした。

日ごろから準備している「防災グッズ」は?
1 飲料水(ペットボトル、缶など) 82.3%
2 懐中電灯・ロウソク 80.8%
3 非常用の食料(缶詰、カンパンなど) 66.4%
4 携帯ラジオ・テレビ 64.9%
5 電池 58.1%
6 軍手 46.4%
7 ティッシュ・トイレットぺーパー 43.8%
8 タオル 40.8%
9 お菓子(チョコレート、キャンディーなど) 38.9%
10 ライター・マッチ 34.0%
MA(複数回答)/n=265人(「準備している」と回答した人)

2位は「懐中電灯・ロウソク」(80.8%)。「停電が起こった時、困らないように懐中電灯やライターを準備している」(女性30代、山口県)、「雷が多い地域なので、停電になったとき用に懐中電灯は各部屋に準備している」(女性30代、栃木県)など、停電時に備えて「懐中電灯」を常備する声。東日本大震災では原発停止に伴い、輪番停電(計画停電)が実施され、電気のある暮らしの有り難みを思い知った人も多かったことでしょう。地震に限らず、台風や雷雨などでも夜間に停電を引き起こすことがあり、懐中電灯やランタンなどは必要不可欠なアイテムと言えます。「懐中電灯」と同じく電化製品では、4位に「携帯ラジオ・テレビ」(64.9%)がランクイン。「情報を得ることが最優先」(男性60代、神奈川県)、「ラジオと懐中電灯が一緒になっている物を持っている」(女性40代、大阪府)など、停電と同時に情報が遮断され、世の中の様子や最新情報を入手する術がなくなってしまうため、水や懐中電灯と共に「携帯ラジオ」の準備を重視する人が目立ちました。また「懐中電灯」「携帯ラジオ」と一緒に5位「電池」(58.1%)をセットで揃えるなど、避難が数日にわたることを想定し「電池切れ対策」に備える人もいました。

胃袋満たす「食料」と共に、ストレスを軽減させる「甘いお菓子」も

続いて、3位は「 非常用の食料(缶詰、カンパンなど)」(66.4%)。「缶詰やレトルト食品、キャンプ用品(寝袋やガスコンロ他)などがある。誰の手を借りなくても、10日程度は生きられるはず」(男性50代、茨城県)など、日持ちする缶詰類を常備するという声。中でも「カップ麺をある程度買っておいて、食べて減ったら買い足している」(男性30代、東京都)など、湯を入れるだけで食べられる「カップ麺」を、非常食として買いそろえている人も少なくありませんでした。食事のほか、9位には「お菓子(チョコレート、キャンディーなど)」(38.9%)がランクイン。「チョコレートやクッキー、ビスケット、ジュースなどは、人よりも常備数が多いと思う」(女性40代、広島県)など、カロリーの高い甘いお菓子やジュースを買い込んでいるという声。チョコレートやキャンディだけで、山での遭難者が生き延びたという例は多いですが、甘いお菓子は量の割に効率の良いサバイバル食と言えます。また、阪神・淡路大震災や東日本大震災の避難先では、「甘いお菓子」が心をほっとさせ、ストレスを軽減させたというエピソードもあり、お菓子は災害時に何かと役立つようです。

そのほか、7位に「ティッシュ・トイレットぺーパー」(43.8%)、8位に「タオル」(40.8%)が挙げられました。トイレ時のティッシュをはじめ、汚れ拭きや止血、防寒にも使えるタオルなどは、あれば何かと役立つという声。特に災害時は水が使えない場面も多いため、「ウェットティッシュ」を備えて置くのも良さそうです。

今回は「防災の日」を控え、皆さんの防災意識や対策の実態をアンケートしました。「(防災意識を)かなり強く意識している」「まあまあ意識している」という声は7割近く。一方で「あまり意識していない」「全く意識していない」という声も3割以上を占めました。自由回答の中には「日本人は災害の多さに、少し慣れみたいなものを持ってしまっている」(男性40代、神奈川県)など、「災害慣れ」する日本人の防災意識の現状も見え隠れする結果となりました。また、「身近な危険として感じている災害」では、2年前よりも「集中豪雨」「河川の氾濫・洪水」を挙げる声が増加。最近、頻度が高まる「ゲリラ雷雨」、それに伴う二次被害を警戒する人が増えていることが明らかとなりました。


【調査概要】
調査対象:全国の20歳以上の男女
有効回答数:667人
調査方法:インターネット調査
調査期間:2017年8月16日~8月22日

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[アサヒグループホールディングス]
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