世界各国の主要都市においてデジタル決済利用増加が与える経済的影響 

2017年10月16日
Visa Inc.は、Visaが委託し、Roubini ThoughtLab(ルビーニ・ソート・ラボ)が独自に調査した、世界各国の主要都市においてデジタル決済利用増加が与える経済的影響の結果を発表しました。

本調査では、調査を実施した100都市において、カードやモバイルといった電子決済の利用拡大により年間で最大4,700億米ドルの純便益を生み出すと予測しています。この金額はこれらの都市の平均GDPの3パーセントに相当します。

「キャッシュレスシティ:デジタル決済がもたらす恩恵の実現」とは、「キャッシュレス化の達成可能レベル」に近づく都市における潜在的な利便性を数値化する独特の調査です。「キャッシュレス化の達成可能レベル」とは、ある都市の総人口によるデジタル決済利用量が、その都市の現在のデジタル決済利用者の上位10%の決済利用量に近づいた状態として定義されています。本調査は、現金の利用をなくすことに焦点を当てたものではなく、飛躍的に利用が拡大するデジタル決済の潜在的な利便性と費用の数値化を目的としたものです。

本調査は、現金の利用を抑えることで、3つの主なグループ(消費者、事業者、政府)において即時的かつ長期的な便益が生じると予測しています。本調査によると、これらの包括的かつ直接的な純便益は、調査を行った100都市全体で約4,700億米ドルにまで達する可能性があるとしています。

・ 調査対象100都市の消費者は、年間280億ドル近くに及ぶ直接的な純便益を達成する可能性があります。この効果は、最大32億時間に及ぶ銀行業、小売業、運送業における業務時間の短縮や、現金にまつわる犯罪の低下といった要因によってもたらされるとしています。

・ 調査対象100都市の事業者は、年間3,120億ドルを超える直接的な純便益を達成する可能性があります。この効果は、最大31億時間に及ぶ決済の入金・送金の処理時間の短縮や、オンラインや店舗における顧客層の拡大による売上増加といった要因によりもたらされるとしています。本調査ではさらに、現金や小切手の場合、1ドル受領するごとに事業者側に7.1セントのコストが発生しますが、デジタル決済の場合1ドルの受領に対するコストは5セントである点も指摘しています。

・ 調査対象100都市の政府では、年間1,300億ドル近くの直接的な純便益を達成する可能性があります。この効果は、税収の増加、経済成長の促進、管理の効率化による費用の削減、さらに現金にまつわる犯罪の低下に基づく犯罪関連の司法費用の低減といった要因によってもたらされるとしています。


調査方法
大手経済調査会社で証拠に基づくサービスを提供するRoubini Thoughtlabは、2016年にデジタル決済の普及率が異なる6つの都市(東京・シカゴ・ストックホルム・サンパウロ・バンコク・ラゴス)において消費者3000人と企業900社を対象に調査を行いました。本調査では、利用やアクセプタンスの状況、現金および電子マネーへの費用便益効果を調べました。さらに調査対象の特定の層や経済データに基づく調査結果を別の94都市にあてはめ、各都市において、キャッシュレスな経済社会への移行が消費者や企業に与える影響を調べました。またその他の情報も利用し、本調査では政府に対して予測される影響を特定することもできました。本調査では世界銀行、経済協力開発機構、およびその他の世界的に評価の高い二次データソースを用いて調査結果の内容を補完し、全体的な調査結果をまとめました。全英経済研究所世界モデル(NiGEM:さまざまな中央銀行およびその他の金融機関で使用されている経済モデル)を使用して、デジタル決済への移行が100都市のそれぞれに与える「触媒」効果(経済成長、生産性、雇用、賃金)を予測しました。本調査はVisaが委託し、Roubini Thoughtlabが独立して調査の実施、調査結果の管理および分析を行いました。

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