科学技術と社会に関する世論調査(18歳以上の方対象) 

2017年11月27日
内閣府は、科学技術と社会に関する世論調査を実施。調査対象は全国18歳以上の日本国籍を有する者。

【調査結果】

1.科学技術に関する関心

(1) 科学技術に関する関心
 科学技術についてのニュースや話題に関心があるか聞いたところ、「関心がある」とする者の割合が60.7%(「関心がある」26.1%+「ある程度関心がある」34.6%)、「関心がない」とする者の割合が38.4%(「あまり関心がない」25.5%+「関心がない」12.9%)となっている。
 性別に見ると、「関心がある」とする者の割合は男性で、「関心がない」とする者の割合は女性で、それぞれ高くなっている。
 年齢別に見ると、「関心がある」とする者の割合は60歳代で、「関心がない」とする者の割合は18~29歳で、それぞれ高くなっている。

(2) 科学技術に関する情報の入手経路
 ふだん科学技術に関する情報をどこから得ているか聞いたところ、「テレビ」を挙げた者の割合が83.2%と最も高く、以下、「新聞」(40.5%)、「インターネット」(37.2%)などの順となっている。(複数回答、上位3項目)
 都市規模別に見ると、「インターネット」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
 性別に見ると、「テレビ」を挙げた者の割合は女性で、「新聞」、「インターネット」を挙げた者の割合は男性で、それぞれ高くなっている。
 年齢別に見ると、「テレビ」を挙げた者の割合は60歳代で、「新聞」を挙げた者の割合は60歳代、70歳以上で、「インターネット」を挙げた者の割合は18~29歳から50歳代で、それぞれ高くなっている。

(3) 科学者や技術者の話への関心
 機会があれば、科学者や技術者の話を聞いてみたいと思うか聞いたところ、「聞いてみたい」とする者の割合が47.1%(「聞いてみたい」18.2%+「できれば聞いてみたい」29.0%)、「聞いてみたいとは思わない」とする者の割合が51.3%(「あまり聞いてみたいとは思わない」32.2%+「聞いてみたいとは思わない」19.0%)となっている。
 都市規模別に見ると、「聞いてみたい」とする者の割合は大都市で、「聞いてみたいとは思わない」とする者の割合は町村で、それぞれ高くなっている。
 性別に見ると、「聞いてみたい」とする者の割合は男性で、「聞いてみたいとは思わない」とする者の割合は女性で、それぞれ高くなっている。
 年齢別に見ると、「聞いてみたい」とする者の割合は18~29歳で高くなっている。

(4) 科学者や技術者の話への信頼
 科学者や技術者の話は信頼できると思うか聞いたところ、「信頼できる」とする者の割合が78.6%(「信頼できる」23.3%+「どちらかというと信頼できる」55.2%)、「信頼できない」とする者の割合が15.0%(「あまり信頼できない」12.7%+「信頼できない」2.2%)となっている。
 都市規模別に見ると、大きな差異はみられない。

2.科学技術に対する意識

(1) 科学技術に関する意見への認識
 1 現在の日本の科学技術は諸外国に比べ進んでいる
 「「現在」の日本の科学技術は、諸外国に比べ進んでいる」という意見についてどう思うか聞いたところ、「そう思う」とする者の割合が72.6%(「そう思う」31.1%+「どちらかというとそう思う」41.5%)、「そう思わない」とする者の割合が22.2%(「あまりそう思わない」17.6%+「そう思わない」4.5%)となっている。
 性別に見ると、「そう思う」とする者の割合は男性で、「そう思わない」とする者の割合は女性で、それぞれ高くなっている。
 年齢別に見ると、「そう思わない」とする者の割合は30歳代で高くなっている。

2 10年後の日本の科学技術は諸外国に比べ進んでいる
 「「10年後」の日本の科学技術は、諸外国に比べ進んでいる」という意見についてどう思うか聞いたところ、「そう思う」とする者の割合が60.5%(「そう思う」23.8%+「どちらかというとそう思う」36.7%)、「そう思わない」とする者の割合が32.2%(「あまりそう思わない」26.1%+「そう思わない」6.1%)となっている。
 年齢別に見ると、「そう思わない」とする者の割合は30歳代、40歳代で高くなっている。

3 理科や数学の授業は、科学的センスを育てるのに役立っている
 「学校での理科や数学の授業は、生徒の科学的センスを育てるのに役立っている」という意見についてどう思うか聞いたところ、「そう思う」とする者の割合が43.1%(「そう思う」16.0%+「どちらかというとそう思う」27.1%)、「そう思わない」とする者の割合が47.9%(「あまりそう思わない」36.9%+「そう思わない」11.0%)となっている。
 年齢別に見ると、「そう思う」とする者の割合は70歳以上で、「そう思わない」とする者の割合は30歳代から50歳代で、それぞれ高くなっている。

4 社会の新たな問題は、科学技術の発展によって解決される
 「資源・エネルギー問題、環境問題、水、食糧問題、感染症問題などの社会の新たな問題は、さらなる科学技術の発展によって解決される」という意見についてどう思うか聞いたところ、「そう思う」とする者の割合が73.7%(「そう思う」30.0%+「どちらかというとそう思う」43.7%)、「そう思わない」とする者の割合が20.7%(「あまりそう思わない」16.8%+「そう思わない」4.0%)となっている。
 都市規模別に見ると、「そう思う」とする者の割合は中都市で高くなっている。

5 科学技術政策の検討には、一般の国民の関わりが必要
 「科学技術に関する政策の検討には、科学者や政府だけでなく、一般の国民の関わりがより一層必要となってくる」という意見についてどう思うか聞いたところ、「そう思う」とする者の割合が79.0%(「そう思う」41.9%+「どちらかというとそう思う」37.2%)、「そう思わない」とする者の割合が15.2%(「あまりそう思わない」11.9%+「そう思わない」3.3%)となっている。
 年齢別に見ると、「そう思う」とする者の割合は50歳代で高くなっている。

6 再生医療に関する科学技術イノベーションにより、治療技術が進歩する
 「人間の様々な組織や臓器に成長するiPS細胞など、再生医療に関する科学技術イノベーションにより、病気やけがなどの治療技術が進歩する」という意見についてどう思うか聞いたところ、「そう思う」とする者の割合が90.7%(「そう思う」61.3%+「どちらかというとそう思う」29.3%)、「そう思わない」とする者の割合が4.6%(「あまりそう思わない」3.7%+「そう思わない」0.9%)となっている。
 年齢別に見ると、「そう思う」とする者の割合は18~29歳から40歳代で高くなっている。

(2) 科学技術の発展で不安を感じること
 科学技術の発展に伴い、どのようなことに不安を感じるか聞いたところ、「サイバーテロ、不正アクセスなどのIT犯罪」を挙げた者の割合が61.0%と最も高く、以下、「地球温暖化や自然環境破壊などの地球環境問題」(52.2%)、「遺伝子組換え食品、原子力発電などの安全性」(49.5%)、「クローン人間を生み出すこと、兵器への利用などに関する倫理的な問題」(43.7%)などの順となっている。(複数回答、上位4項目)
 都市規模別に見ると、「地球温暖化や自然環境破壊などの地球環境問題」、「遺伝子組換え食品、原子力発電などの安全性」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
 性別に見ると、「地球温暖化や自然環境破壊などの地球環境問題」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
 年齢別に見ると、「サイバーテロ、不正アクセスなどのIT犯罪」を挙げた者の割合は40歳代から60歳代で、「地球温暖化や自然環境破壊などの地球環境問題」、「遺伝子組換え食品、原子力発電などの安全性」を挙げた者の割合は60歳代で、「クローン人間を生み出すこと、兵器への利用などに関する倫理的な問題」を挙げた者の割合は50歳代、60歳代で、それぞれ高くなっている。

(3) 科学技術の発展によるプラス面とマイナス面
 科学技術の発展には、プラス面とマイナス面があると言われているが、全体的に見た場合、そのどちらが多いと思うか聞いたところ、「プラス面が多い」とする者の割合が52.5%(「プラス面が多い」17.3%+「どちらかというとプラス面が多い」35.2%)、「両方同じくらいである」と答えた者の割合が35.7%、「マイナス面が多い」とする者の割合が6.9%(「どちらかというとマイナス面が多い」5.7%+「マイナス面が多い」1.2%)となっている。
 性別に見ると、「プラス面が多い」とする者の割合は男性で、「両方同じくらいである」と答えた者の割合は女性で、それぞれ高くなっている。

3.科学技術の貢献を期待する分野

(1) 科学技術が貢献すべき分野
 科学技術が今後どのような分野に貢献すべきだと思うか聞いたところ、「地球環境の保全に関する分野」を挙げた者の割合が61.8%、「生命に関する科学技術や医療分野」を挙げた者の割合が61.4%、「資源・エネルギーの開発や貯蔵に関する分野」を挙げた者の割合が57.7%と高く、以下、「食料(農林水産物)分野」(42.6%)、「防災、防犯などの社会の安全・安心に関する分野」(41.2%)、「宇宙、海洋の開拓に関する分野」(37.3%)などの順となっている。(複数回答、上位6項目)
 都市規模別に見ると、「生命に関する科学技術や医療分野」、「資源・エネルギーの開発や貯蔵に関する分野」、「食料(農林水産物)分野」、「宇宙、海洋の開拓に関する分野」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
 性別に見ると、「食料(農林水産物)分野」、「宇宙、海洋の開拓に関する分野」を挙げた者の割合は男性で高くなっている。
 年齢別に見ると、「地球環境の保全に関する分野」を挙げた者の割合は50歳代、60歳代で、「生命に関する科学技術や医療分野」を挙げた者の割合は18~29歳、40歳代、50歳代で、「資源・エネルギーの開発や貯蔵に関する分野」を挙げた者の割合は50歳代で、「食料(農林水産物)分野」を挙げた者の割合は60歳代で、「防災、防犯などの社会の安全・安心に関する分野」を挙げた者の割合は40歳代で、「宇宙、海洋の開拓に関する分野」を挙げた者の割合は40歳代から60歳代で、それぞれ高くなっている。

4.科学技術の発展のために必要な政策

(1) 科学技術の発展のために必要な政策
 科学技術の発展に、国の政策として必要なことはどのようなことだと思うか聞いたところ、「若手の科学者や技術者の育成」を挙げた者の割合が71.0%と最も高く、以下、「研究や開発資金の支援」(59.5%)、「研究開発成果の事業化や実用化の推進」(43.0%)、「学生の大学授業料の減免や生活費の補助」(34.6%)、「外国人の科学者等の受け入れ、日本の科学者や留学生の派遣など、国際化の推進」(30.9%)などの順となっている。(複数回答、上位5項目)
 都市規模別に見ると、「研究や開発資金の支援」、「学生の大学授業料の減免や生活費の補助」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
 性別に見ると、「若手の科学者や技術者の育成」、「研究や開発資金の支援」、「研究開発成果の事業化や実用化の推進」、「外国人の科学者等の受け入れ、日本の科学者や留学生の派遣など、国際化の推進」を挙げた者の割合は男性で高くなっている。
 年齢別に見ると、「若手の科学者や技術者の育成」を挙げた者の割合は60歳代で、「研究や開発資金の支援」を挙げた者の割合は50歳代、60歳代で、「研究開発成果の事業化や実用化の推進」、「学生の大学授業料の減免や生活費の補助」を挙げた者の割合は40歳代で、「外国人の科学者等の受け入れ、日本の科学者や留学生の派遣など、国際化の推進」を挙げた者の割合は18~29歳、50歳代で、それぞれ高くなっている。

5.女性科学者の進出に向けた国民の意識

(1) 女性科学者の割合が低い理由
 日本は、科学者に占める女性の割合が特に低い水準にあるが、その理由は何だと思うか聞いたところ、「出産や育児による研究の中断からの復職は難しいと思うから」を挙げた者の割合が68.2%と最も高く、以下、「科学者の職場では、女性は孤立・苦労しそうだから」(36.8%)、「女性は、理科、数学、科学などに向かない、というイメージがあるから」(25.1%)、「あこがれたり、尊敬できる女性科学者が少ないから」(24.9%)などの順となっている。(複数回答、上位4項目)
 都市規模別に見ると、「科学者の職場では、女性は孤立・苦労しそうだから」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
 性別に見ると、「出産や育児による研究の中断からの復職は難しいと思うから」、「科学者の職場では、女性は孤立・苦労しそうだから」、「女性は、理科、数学、科学などに向かない、というイメージがあるから」を挙げた者の割合は女性で、「あこがれたり、尊敬できる女性科学者が少ないから」を挙げた者の割合は男性で、それぞれ高くなっている。
 年齢別に見ると、「科学者の職場では、女性は孤立・苦労しそうだから」を挙げた者の割合は30歳代、50歳代で、「あこがれたり、尊敬できる女性科学者が少ないから」を挙げた者の割合は30歳代で、それぞれ高くなっている。

(2) 女性科学者を増やすために力を入れること
 日本の科学者や技術者に占める女性の割合を増やすために、今後、国はどのようなことに力を入れて行くべきと思うか聞いたところ、「子育てや介護中であっても研究が続けられるよう支援する」を挙げた者の割合が69.8%と最も高く、以下、「子育てや介護などでいったん辞めた科学者や技術者の再就職を支援する」(59.8%)、「従来、女性が少なかった分野(工学など)への女性の進出を支援する」(43.5%)、「大学や研究開発機関などの教授や管理職への女性の登用を支援する」(40.8%)などの順となっている。(複数回答、上位4項目)
 性別に見ると、「子育てや介護中であっても研究が続けられるよう支援する」、「子育てや介護などでいったん辞めた科学者や技術者の再就職を支援する」、「大学や研究開発機関などの教授や管理職への女性の登用を支援する」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
 年齢別に見ると、「子育てや介護中であっても研究が続けられるよう支援する」、「子育てや介護などでいったん辞めた科学者や技術者の再就職を支援する」を挙げた者の割合は30歳代から50歳代で、「大学や研究開発機関などの教授や管理職への女性の登用を支援する」を挙げた者の割合は60歳代で、それぞれ高くなっている。


【調査概要】
調査目的:科学技術と社会に関する国民の意識を把握し、今後の施策の参考とする。
関係省庁:文部科学省
調査対象:
(1)母集団:全国18歳以上の日本国籍を有する者
(2)標本数:3,000人
(3)抽出方法:層化2段無作為抽出法
調査時期:平成29年9月14日~9月24日
調査方法:調査員による個別面接聴取法
調査実施機関:一般社団法人 新情報センター
回収結果:
(1)有効回収数(率) 1,765人(58.8%)
(2)調査不能数(率) 1,235人(41.2%)

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[内閣府]
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