全国Uターン移住実態調査(実際にUターン移住を経験した20〜60代男女対象) 

2018年02月21日
電通は、地方創生によるUターンが加速する中、全国64都市に現在在住し、実際にUターン移住を経験した20〜60代の男女1,714人を対象に、「全国Uターン移住実態調査」を行いました。

なお、本調査でのUターン移住者とは、出身地を出て首都圏(東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県)で生活をした後、現在は自らの意思で自分または配偶者の出身地およびその周辺で暮らしている人のことを指し、転勤などの外的要因によるUターンは含まれておりません。

調査結果によると、Uターン移住のきっかけとして、ストレス、親、郷土愛と大きく3つの要因が影響していることが分かりました。「首都圏はずっと住める/住む場所ではない」(28.1%)などの、首都圏生活の魅力の低減とストレス。「両親の近くに住みたくて」(24.5%)などの親のこと。そして「離れてみて改めて地元の魅力を再認識して」(14.5%)という郷土愛です。

Uターン移住者の不安材料は「仕事」や「お金」に関することが挙がりましたが、移住後の具体化とともにその不安度が軽減されていきます。「上京時」「移住前」「移住直後」「現在」の4つのフェーズでそれぞれの生活満足度を10点満点で聞いたところ、「上京時」は満足度8~10の「かなり満足度が高い人」が4割もいたのが、東京にいる間に27.7%まで下降。しかし、移住後の「現在」を見ると満足度の高い人は48.2%と、多くの人がUターン後に生活満足度が高まっていることがわかりました。

このほか、主な調査結果は以下のとおりです。

・Uターン移住者の5割以上がいずれ戻るつもりで上京
・約6割が思い立って半年以内に踏み切っている
・Uターン理由は、若年層は東京ストレス、働き盛り・熟年層は親の事情

【調査結果】

①U ターン出現率は東高西低
人口あたりの U ターン者の出現率を算出すると、東北が 7.1%と一番高く、近畿が 1.7%と一番低くなり、東高西低の傾向が見られます。全国(64 都市)平均は 3.6%です[図 1]。

②U ターン移住者の 5 割以上がいずれ戻るつもりで上京
U ターン移住者が首都圏に住み始めたきっかけは、「大学入学/通うため」(38.4%)、「初めての就職/就職先に通うため」(24.7%)という理由が上位で、進学や就職で首都圏に上京するケースが多くなっています[図 2-1]。元々首都圏に永住する意識はそれほど高くなく、「最終的には出身地に戻る予定で、その時期の目途なども考えていた」(26.1%)と、「いつかは出身地に戻る予定だが、時期等までは考えていなかった」(30.7%)を合わせると半数以上(56.9%)がいずれ戻るつもりで上京しています[図 2-2]。

③U ターン移住の平均年齢は、36.7 歳
首都圏から U ターン移住した時点での年齢は、平均で 36.7 歳となりました。
首都圏で暮らした年数を聞くと、「5 年以上」(45.7%)が多くなっています[図 3]。
※移住した時の年齢は、「現在の年齢」-「移住からの経過時間(年齢幅の中央値)」で算出。

④U ターン移住前の未婚率が高い
移住した時と現在の婚姻状況を調べてみました。すると、移住した時は 75.2%が未婚ですが、現在の未婚率は 46.2%となり、U ターン移住後に約 3 割(29.0%)が結婚しています[図 4]。
※参考:37 歳の東京都の未婚率は 32.1%です。

⑤U ターン意向は既婚の場合、妻の意向がやや強い
U ターン移住者と配偶者の出身地を見ると、配偶者と同郷が 51.3%、出身が異なるのが 48.7%ですが、出身が異なる場合、妻の故郷へ U ターンするのは 26.0%で、夫の故郷に U ターンする(22.7%)よりもやや多くなっています[図 5]。

⑥約 6 割が思い立って半年以内に踏み切っている
U ターン移住に対する不安は完全には拭いきれないものの、移住を思い立ってから実行するまでは「半年未満」(59.9%)が 6 割を占めています[図 6]。

⑦移住のきっかけは、ストレスと親のためと郷土愛
U ターン移住のきっかけを聞くと、
・第 1 が「両親の近くに住みたくて」(24.5%)、「両親が高齢になって/病気になって」(24.4%)など親のことです。
・第 2 が「首都圏はずっと住める/住む場所ではない」(28.1%)、「せわしない首都圏での生活や、人間関係にストレスが募って」(20.7%)、「首都圏での生活を一通り堪能して/一段落して新鮮さを感じなくなって」(14.3%)、「このまま首都圏にいたままでいいのかと漠然と感じて」(14.0%)など、首都圏生活の魅力の低減とストレス。
・そして第 3 は郷土愛です。「離れてみて改めて地元の魅力を再認識して」(14.5%)、「郷土愛がつのってきて」(11.7%)などの意見が見られました[図 7]。

⑧U ターンのきっかけを年代別にみると、若年層は東京ストレス、働き盛り・熟年層は親の事情
U ターン移住を考え始めたきっかけを聞くと、
・20〜34 歳の若年層は、「両親の近くに住みたくて」(27.1%)が高いものの、「首都圏はずっと住める/住む場所ではないと思って」(26.6%)、「せわしない首都圏での生活や、人間関係にストレスが募って」(22.7%)など東京に対するストレスが大きくなっています。
・対して、働き盛りの 35〜54 歳では「両親が高齢になって/病気になって」(31.5%)、「両親の近くに住みたくて」(23.1%)など親の事情によるものが大きくなっています。
・また、55〜64 歳の熟年世代では「両親が高齢になって/病気になって」(43.7%)と、「退職して」(43.1%)をきっかけに U ターンする人も増えています[表 1]。
それぞれの理由をカテゴリーで分けると、20〜34 歳の若年層は「東京ストレス」(47.0%)で、働き盛りの 35〜54 歳は「親の事情」(56.9%)か「東京ストレス」(47.3%)が U ターン移住のきっかけですが、55〜64 歳の熟年世代では「親の事情」(56.5%)に次いで「人間らしい生活」(31.0%)を望んで U ターン移住しています[図 8]。※年代は U ターン時の年齢

⑨U ターン検討時期の不安材料は、仕事とお金のこと
※年代は U ターン時の年齢
U ターン移住を検討しているとき、どんな不安を感じたのかを聞いてみました。
・20〜34 歳の若年層は、「自分が求める職種の仕事がない/なさそう」(18.5%)、「仕事の種類・幅が少ない/少なそう」(17.1%)と仕事のこと。
・35~54 歳の働き盛り世代も、「仕事の種類・幅が少ない/少なそう」(21.0%)、「自分が求める職種の仕事が少ない/なさそう」(17.7%)と仕事のこと。
・55~64 歳の熟年世代は、仕事のことより暮らしぶりがどうなるかの方が気になるようです。「移住後の生活費/やりくり」(19.1%)、「情報量が少ない」(17.6%)ことへの不安が比較的高いのですが、「特になし」(57.7%)と他の世代に比べると不安度は低くなっています[表 2]。

⑩仕事の不安度も次第に減少していく
U ターン移住を「思い立ち」「検討し」「決心し」「移住後の現在」の 4 つの段階で、不安度がどのように変化したのか聞いた結果、「働き口が充実しているか」、「給与予水準を維持できるか」、「スキルを活かす仕事ができるか」の 3 項目について見ると、いずれも不安度は軽減されていくことがわかります[図 9]。

⑪U ターン移住すると、生活満足度は高くなる
「上京時」、「移住前」、「移住直後」、「現在」の 4 つの段階でそれぞれの生活満足度を 10 点満点で聞いたところ、「上京時」は満足度 8~10 の人が 41.4%いたのが、「移住前」に 27.7%まで下降。しかし、「現在」を見ると満足度の高い人は 48.2%となっています。多くの人が U ターン後に生活満足が高まっていることがわかります[図 10]。


<調査概要>
・タイトル:全国Uターン移住実態調査
・実施時期:2017年10月19日(木)~11月13日(月)
・調査手法:インターネット調査
・調査会社:株式会社電通マクロミルインサイト
・調査対象:20〜60代のUターン移住者1,741名

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[電通]
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