2016~2017年度における国内CtoC(個人間取引)市場調査 

2018年06月04日

矢野経済研究所は、2016~2017年度における国内CtoC(個人間取引)市場を調査し、現況、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。

<CtoC(個人間取引)市場とは>
本調査におけるCtoC(個人間取引)市場は、個人が他の個人と、自身の所有物の売買や、サービスの依頼などの取引を直接行う市場を指す。同市場における「CtoCビジネス」とは、参入事業者が、取引プラットフォームの提供のみを行い、販売管理等への指導などに関与しないものとする。

また本調査の対象は、バザーやフリーマーケットなども含むCtoC市場全般ではなく、基本的に取引プラットフォームがインターネット上(アプリ・サイト)で展開されているCtoCサービスとし、個人間融資などの金融サービスや金券売買は対象外とする。

1.市場概況

2016年度のCtoC(個人間取引)市場は、若年層や主婦層を中心に、手軽に商品が売買できるフリマアプリの認知の拡がりとともに利用が引き続き拡大、メルカリなどの大手事業者を中心に物販分野における市場拡大を牽引している。また、旅行・宿泊(民泊)、スペースシェアなど、ホテルや時間貸し駐車場のような物件・スペースが近年不足している分野でもCtoCビジネス事業者の新規参入は増えている。

2016年度における物販分野全体のCtoC市場規模は流通総額ベースで6,568億円と推計した。また同年度のサービス分野においては、分野別に成約総額ベースで、旅行・宿泊(民泊)は429億円、スペースシェア(駐車場や農地、空きスペースなどのレンタル)は45億円、カーシェアリングは11億円、家事代行・ベビーシッターは14億円、教育・生涯学習は24億円と推計した。

2.注目トピック

中古品買取・販売業者の市場参入が拡大
近年は主に物販分野で中古品買取・販売事業者などがCtoC(個人間取引)市場に参入するケースが目立つようになった。

物販分野における事業者参入の背景としては、フリマアプリの急成長により、中古品の出品や購入先を個人間取引に奪われることで本業に伸び悩みが生じていることに脅威を感じていることが挙げられる。特に若年層や主婦層のような消費者層が、所有物の処分にCtoCサービスを利用し始めているという消費者動向の変化を受けて、こうした需要獲得の狙いがあるものとみる。

中古車やブランド品等を取り扱う中古品買取・販売事業者は、個人間取引における商品ブランドの真贋鑑定や商品の発送・引渡し代行のような付加サービスの提供、また自社(事業者)サイトでもCtoCサービスで登録された商品の購入を受け付けるなど、多様なサービスを提供している。こうした事業者は、物流センターなどの自社設備や販路といった強みを活かし、既存のCtoCサービスとの差別化を図っている。

3.将来展望

国内CtoC(個人間取引)市場は、売買価格の安い中古品やサービスを個人間で流通させることから、既存の市場において直接競合する対象がなく、今後も市場全体では拡大基調で推移すると考える。

物販分野では個人創作物などの独自商品の売買、サービス分野においてはスキルシェア(個人の知見や経験、技能などの提供)など物品や建物などの元手が不要でサービス提供者の参入の敷居が低い領域は、ユーザーの増加で取引機会の拡大を予測する。

一方で、物販分野では、宅配買取など売買の利便性で既存の事業者サービスに劣る要素が多いホームファッション商品や、少子化のなか、ベビー・キッズ商品のように、購入者層自体の減少が進む商品分野で、市場が縮小に転じる可能性がある。

また、サービス分野では、民泊ビジネスのように、今後もサービス自体の需要の拡大が見込まれるが、法改正や既存の法律や条例の適用による規制で、事業者(法人)以外のサービス提供が難しくなることから、縮小に転じる懸念のある分野もあるものとみる。

調査概要


調査期間: 2018年1月~4月
調査対象: CtoCサービス運営企業
調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに企業アンケート調査を併用

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[矢野経済研究所]
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