2018年世界生計費調査(Cost of Living Survey) ‐都市ランキング 

2018年06月26日

世界最大級の組織・人事コンサルティング会社、マーサーは、「2018年世界生計費調査(Cost of Living Survey) – 都市ランキング」の結果を発表した。

マーサーの世界生計費調査では、香港が昨年のルアンダを抜いて駐在員にとって最も物価が高い都市の1位となった。2位と3位はそれぞれ東京とチューリッヒ、続く4位は前年より1つ順位を上げたシンガポールとなり、駐在員にとって最も物価の高い5都市のうち4つをアジアの都市が占める結果となった。

  • 海外駐在員にとって最も物価が高い都市は香港、最も低い都市はタシケント(ウズベキスタン)
  • 東京は3位から2位に上昇
  • 米ドルに対する他の主要通貨価値上昇の影響により米国都市の順位は下降
  • 多国籍企業は人材配置に重点を置いてグローバルビジネスの変化に対応
  • 適材適所によって人員と海外派遣戦略を調整することの重要性が増加
  • 海外赴任者を適切に処遇し、コストを管理することが重要

デジタル時代や高齢化、高スキル人材不足、および予測のつかない政治・経済状況の結果、Future of Work(フューチャー・オブ・ワーク)/働き方の変化に伴い、グローバルビジネスの様相も変化している。多国籍企業は、人材配置に重点を置き、海外赴任者の報酬パッケージのコストを評価することによって、この変化に対応している。今年で24年目となるマーサーの世界生計費調査によると、住宅市場の不安定性、低いインフレ率、物価変動などは世界のさまざまな都市でビジネスを行うコストに影響を及ぼす要因となっている。

今年のマーサーの世界生計費調査では、香港が昨年のルアンダを抜いて駐在員にとって最も物価が高い都市の1位となった。2位と3位はそれぞれ東京とチューリッヒ、続く4位は前年より1つ順位を上げたシンガポールとなり、駐在員にとって最も物価の高い5都市のうち4つをアジアの都市が占める結果となった。

2018年 マーサー世界生計費調査
都市ランキング(上位10都市)

都市 国
1 香港 香港SAR
2 東京 日本
3 チューリッヒ スイス
4 シンガポール シンガポール
5 ソウル 韓国
6 ルアンダ アンゴラ
7 上海 中国
8 ンジャメナ チャド
9 北京 中国
10 ベルン スイス

駐在員にとって物価が高い都市トップ10には、ソウル(5位)、ルアンダ(6位)、上海(7位)、ンジャメナ(8位)、北京(9位)、ベルン(10位)が入った。一方で、駐在員にとって最も物価が低い都市は、タシケント(209位)、チュニス(208位)、ビシュケク(207位)となった。

マーサーの「世界生計費調査」は世界で最も包括的な生計費調査の一つであり、多国籍企業や政府機関が海外駐在員の報酬・手当を設定する際に利用されている。今回発表のランキングはニューヨークをベースとし、ニューヨークを100とした場合の各都市の指数を比較している。基軸通貨は米ドルとしている。
この調査は、世界209 都市において、住居費、交通費、食料、衣料、家庭用品、娯楽費用などを含む200品目以上の価格を調査し、それぞれを比較している。

【地域別分析】

◆南北アメリカ

ヨーロッパの経済が着実に回復したことで世界の他の主要通貨に対する米ドルの価値が下がったために、米国の都市は全体的に順位を下げた。南北アメリカ地域のトップとなったニューヨークは、昨年から4つ順位を下げて13位となった。サンフランシスコ(28位)とロサンゼルス(35位)はそれぞれ前年より7、12と順位を下げ、シカゴ(51位)は20順位を下げた。米国の他の主要都市としては、ワシントンD.C.(56位)が17、マイアミ(60位)とボストン(70位)はいずれも19順位を下げた。ポートランド(130位)とウィンストンセーレム(161位)は、引き続き、米国の調査都市の中で最も物価が低い都市となった。

南アメリカの中では、サンパウロ(58位)が前年より32順位を下げたにもかかわらず、最も物価の高い都市となった。2位はサンチアゴ(69位)となった。その他の南アメリカの都市の多くは、ブラジルやアルゼンチン、ウルグアイなどの国で物価が上昇しているにもかかわらず、順位を下げることとなった。特にリオデジャネイロ(99位)は、順位が43急落した。リマ(132位)は28、ボゴタ(168位)は15順位を下げた。南アメリカで最も物価が低いのはテグシガルパ(201位)であった。ベネズエラのカラカスは、通貨の状況が複雑であり、選択する為替レートによって順位が大きく変わるため、今年もランキングから除外した。

カナダでもほとんどの都市が順位を下げたが、この国で最も物価の高い都市であるトロント(109位)は、海外駐在員向けの住宅賃料の上昇により10順位を上げた。バンクーバー(109位)は2つ、モントリオール(147位)とカルガリー(154位)はそれぞれ18と11順位を下げた。

◆ヨーロッパ・中東・アフリカ

駐在員にとって最も物価の高い都市トップ10にはヨーロッパの2都市がランクインしている。グローバルランキングで3位のチューリッヒが引き続きヨーロッパで最も物価の高い都市となり、これに次ぐのがベルン(10位)となった。ジュネーブ(11位)は、この都市の住宅市場価格に低下傾向が見られるなどの要因により、前年より4つ順位を下げた。全般的に西ヨーロッパの都市は、米ドルに対する現地通貨高および物価上昇により、全都市で順位を上げている。特にドイツの都市は今年のランキングの中で上昇幅が最も大きい都市に名を連ね、フランクフルト(68位)とベルリン(71位)は49順位を上げ、ミュンヘン(57位)は41上げた。イギリスでは、バーミンガム(128位)が昨年より19、ベルファスト(152位)が18、アバディーン(134位)が12順位を上げた。ロンドンは10上がって19位となった。

その他の順位を上げた都市には、昨年より28上げたパリ(34位)、34上げたローマ(46位)、47上げたマドリッド(64位)、39上げたウィーン(39位)などがある。一方で、東ヨーロッパと中央ヨーロッパでは、米ドルに対して現地通貨が下落したため、いくつかの都市が順位を下げた。モスクワ(17位)、サンクトペテルブルグ(49位)、キエフ(173位)はそれぞれ4、14、10と順位を落とした。

中東では、駐在員にとって最も物価の高い都市は引き続きテルアビブ(16位)となった。これにドバイ(26位)、アブダビ(40位)、リヤド(45位)が続いた。カイロ(188位)は依然として、中東地域で最も物価の低い都市となった。

アフリカでは、アンゴラのルアンダ(6位)がグローバルランキング1位から順位を落としたものの、アフリカ地域では依然として最も物価の高い都市であった。これに7順位を上げたンジャメナ(8位)が続いた。次いで14順位を上げたリーブルビル(18位)、11順位を上げたコンゴのブラザビル(19位)がアフリカの都市の中で最も物価の高い都市となった。

前年より10順位を上げたウズベキスタンのタシケント(209位)は、このヨーロッパ・中東・アフリカ地域および全世界で最も物価の低い都市となった。

◆アジア・太平洋

ルアンダにおける住宅市場の下降傾向などにより、都市の順位が下がった結果、香港(1位)がアジア・太平洋地域および全世界で駐在員にとって最も物価の高い都市となった。これに東京(2位)、シンガポール(4位)、ソウル(5位)、上海(7位)、北京(9位)と続いた。

インドでは、ムンバイ(55位)が最も物価が高い都市となり、これにニューデリー(103位)とチェンナイ(144位)が続いた。コルカタ(182位)とベンガルール(170位)はインドで最も物価が低い都市となった。アジアのその他の都市では、バンコク(52位)が昨年より15、クアラルンプール(145位)が20順位を上げた一方、ハノイ(137位)は37順位を落とした。この地域で駐在員にとって最も物価の低い都市は、引き続きビシュケク(207位)とタシケント(209位)となった。

今年はオーストラリアの都市が順位を下げた。ブリスベン(84位)は13、パース(61位)は11順位を下げ、オーストラリアの中で駐在員にとって最も物価が高い都市であるシドニー(29位)も比較的下げ幅は小さいものの5順位を下げた。メルボルンは12順位を下げて58位となった。

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[マーサー]
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