第3回 企業広報力調査(上場企業の広報担当責任者対象) 

2018年10月02日

企業広報戦略研究所(電通PR内)は、日本における企業の広報活動の実態や課題を探ることを目的に、本年4月から7月、上場企業3,651社の広報担当責任者を対象に調査を実施し、回答を得た518社のデータを独自の指標である「広報オクトパスモデル」で分析しました。

主な調査結果


1.8つの広報力全てが2016年比で伸長
  • 広報活動を支える力である「広報組織力」「危機管理力」が大きく伸びる
  • 課題だった「関係構築力」が改善し、「情報分析力」も大きく伸長
2.より一層ステークホルダーの多様化が進み、広報担当の業務テーマも広がる
  • 重要なステークホルダーでは「就活生・学生」が18.4ポイント伸びる
  • 広報担当の業務として「経営・事業戦略」「リクルーティング」が伸長
3.依然として『戦略・企画フェーズ』を強化したいと考える企業が多い
  • 「広報オクトパスモデル」8つの広報力でみると、最も強化したい広報力は「戦略構築力」
  • 「戦略構築力」の中でも「中・長期的広報戦略・広報計画を作成している」を強化したい企業が最も多い
「広報オクトパスモデル」前回調査(2016年)と今回調査(2018年)の比較

●広報活動を支える力である「広報組織力」「危機管理力」が大きく伸長
「広報組織力」が+6.9点、「危機管理力」が+5.0点となっており、広報活動を下支えする、広報活動の土台ともいうべき広報力のスコアの伸長がみられました。
背景には、「社外取締役制度やアドバイザリーボードを設置」「自社の経営リスクを継続的に予測している」など、広報を意識したリスク予測/予防が従来以上に強化されている傾向があると考えられます。

●課題だった「関係構築力」が改善し、「情報分析力」も大きく伸長
前回最も低いスコアだった「関係構築力」が+5.2点と改善しました。また「情報分析力」は前回+2.3点が今回+5.3点とさらに大きく伸長しました。
「トップと従業員が直接会う機会を設けている」「顧客や地域住民と直接(オフライン)的に交流する機会を設けている」など、従業員対応/社内活性化やステークホルダーとの直接交流などの実施率が高まったことが要因のようです。

調査結果


業種別ランキング
前回まで連続1位だった「電力・ガス」が2位となり、前回3位「食料品」が1位に
「サービス業」(12位→5位)と「建設」(14位→7位)が躍進

前回調査まで(2014年実施の第1回、2016年実施の第2回)と連続で1位だった「電力・ガス」が2位となり、前回3位だった「食料品」が1位となりました。「食料品」は前回よりも18.4点伸長した「危機管理力」をはじめ、「戦略構築力」「関係構築力」「広報組織力」で大幅な増加がみられました。一方、「電力・ガス」は「情報分析力」「情報発信力」が前回よりも大きく低下しています。

前回の結果から躍進した「サービス業」は、「情報発信力」「広報組織力」で10点以上伸長しています。
また、「建設」は、「戦略構築力」「情報発信力」「関係構築力」「広報組織力」と4つの広報力で10点以上伸長した結果、大きく順位を上げました。

「広報オクトパスモデル」前回調査(2016年)と今回調査(2018年)の比較

2018年の結果では、8つの広報力全てが2016年比で伸長しており、年々広報活動の重要性が増し、活性化している様子がみられます。2018年調査の各広報力の順位は、「情報発信力」(56.9点)、「情報収集力」(45.7点)、「広報組織力」(41.3点)で、これまでの調査結果と同様に、「情報を収集して発信する」という広報の基本となる活動がメインである傾向は変わっていないが、今回は特に、その他の広報力が強化される結果となりました。

前回調査(2016年実施)と比較をしてみると、「広報オクトパスモデル」8つの広報力のうち、広報活動の土台ともいうべき「広報組織力」(41.3点/+6.9点)「危機管理力」(32.6点/+5.0点)が高い伸びを示しています。また、前回最も低いスコアだった「関係構築力」が+5.2点と強化され、「情報分析力」は前回+2.3点が今回+5.3点とさらに伸長しました。

組織全体としていかに正確な情報を集約し伝えるかという昨今の情報環境変化に対応するために、これまでの広報活動のメインだった「情報を収集して発信する」活動に加えて、「組織全体として広報を意識したリスク予測/予防(防御)をする」と「正確な情報を確実に伝える」活動も強化されていることが分かりました。

より一層ステークホルダーの多様化が進み、広報担当の業務テーマも広がる
年々広報の重要性は増している

「重要なステークホルダー」について、前回調査と比較すると、「就活生・学生」が最も伸長(+18.4ポイント)しています。他に「メディア」(+8.9ポイント)、「ソーシャルメディア利用者」(+5.6ポイント)、前回最も伸長した「従業員とその家族」は今回も+4.9ポイント伸長しました。

「広報担当部署の業務テーマ」では、「経営戦略・事業戦略」(+16.8ポイント)、「リクルーティング」(+16.5ポイント)、「CSR」(+10.6ポイント)が大きく伸長しています。

ステークホルダーの多様化がより一層進むことに伴い、広報担当の業務テーマも広がっており、組織のあらゆる活動における広報の重要性が年々増していると考えられます。

今後強化したい広報活動

今後強化したい広報活動について、「広報オクトパスモデル」が示す8つの広報力でみると、最も強化したい広報力が「戦略構築力」、次いで「情報創造力」、「危機管理力」となっており、最も低かったのが「関係構築力」でした。

また、8つの広報力を細分化した80の広報活動の中で、今後最も強化したい活動は「中・長期的広報戦略・広報計画を作成している」になりました。次いで「広報戦略に沿ったPRメッセージ・ストーリーを策定している」「広報戦略は、経営戦略とリンクしている」が続き、『戦略・企画フェーズ』の項目が上位を占めています。

今後強化したい広報力・広報活動、どちらにおいても前回調査(2016年)から大きな変化はなく、依然として『戦略・企画フェーズ』を課題とし、強化したいと考える企業が多いことが分かりました。

調査概要


■調査期間:2018年4月30日~7月13日
■調査対象:『会社四季報 2018年』掲載時点の東証一部・二部、東証マザーズ、ジャスダック、札証、名証、福証に株式上場している企業(3,651社)
 cf.前回2016年調査:3,664社
■有効回答サンプル数:518社(回収率14.2%) cf.前回2016年調査:533社(回収率14.5%)
■調査方法:郵送・訪問留置調査
■調査主体:企業広報戦略研究所(株式会社電通パブリック リレーションズ内)
※調査項目は、前回調査から一部変更しております。

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[電通パブリックリレーションズ]
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