採用活動状況や就職指導状況に関する調査(企業採用担当者、大学就職指導担当者対象) 

2018年11月22日

学情は、隔月15日に発行している、学情レポート『COMPASS 2018年11月号』を11月15日にリリースいたしました。今回のレポートでは2つの特集を収録しておりますが、本リリースでは(特集1)『2019~20年卒採用の状況と展望、そして2021年卒採用は?』の一部内容をご紹介いたします。

学情レポート『COMPASS 2018年11月号』には、2018年8月~9月にかけて、東京・名古屋・大阪・福岡の4都市で開催した「就職講演会・名刺交換会」に来場いただいた多くの企業採用担当者ならびに大学就職指導担当者を対象に行った採用活動状況や就職指導状況に関するアンケート調査の結果を収録しています。

調査結果


1.企業アンケート結果

■2019年卒採用の状況について
採用活動のプレ期に各社が注力しているインターンシップ。実施企業は年々増加しており、さらに経団連の「採用選考に関する指針」において「5日間以上」と明記されていた日数要件が削除されたこともあり、今回の調査では実施企業が前年同時期比9.3ポイント増の61.8%となった。インターンシップはその後の本採用に向けた自社理解度向上や母集団形成を期待して実施されることも多いため、以降についてはインターンシップ実施企業と未実施企業でアンケート結果を比較し、インターンシップ実施が採用活動にどのような影響を及ぼしたのかを見てみる。

まず採用予定数に占める「内々定を出した人数」の割合であるが、採用予定数に対して「101%以上」の内々定を出した企業は、インターンシップ実施企業では62.6%に達しているのに対し、インターンシップ未実施企業は35.3%と、30ポイント近く差が開いている。採用予定数に占める「内々定承諾者数」の割合についても概ね同様の傾向が見られ、インターンシップを通じての学生との早期接触が採用活動に寄与していることがうかがえる。なお、全体で見ると、採用予定数に対して「101%以上」内々定を出した企業は53.7%であるのに対し、内々定承諾者数が「101%以上」の企業はわずか7.0%、承諾者数を「81%以上」まで広げても28.4%に留まる。内々定辞退を見越して多めに内々定を出すものの、想定を超える辞退が発生したり、結論を保留にする学生がいたりと、一筋縄ではいかない採用状況であると言える。

6月の選考解禁から3ヵ月ほど経った時点での今回の調査では、各社の活動状況は、「既に終了」は3割弱の29.3%に留まり、64.2%が「継続中」である。インターンシップの実施別で見ると、「既に終了」はインターンシップ実施企業が32.4%と、未実施企業(20.3%)を12.1ポイント上回っており、ここからも本採用に対してインターンシップ実施が奏功したことが読み取れる。

2018年卒採用と比較した活動の進捗については、「苦戦+やや苦戦」(54.9%)が「順調+やや順調」(24.2%)を30.7ポイント上回っており、前年度以上に苦戦を強いられる企業が多い。インターンシップ実施別で見ると、「順調+やや順調」はインターンシップ実施企業(26.1%)が未実施企業(20.6%)を5.5ポイント上回る一方で、「苦戦+やや苦戦」は未実施企業(59.3%)が実施企業(51.8%)を7.5ポイント上回っている。インターンシップ実施の有無によらず順調よりも苦戦と回答した企業が多いものの、インターンシップ実施がその後の採用活動を後押ししていることがわかる。それぞれの進捗状況に至った理由も聞いたところ、順調という企業からは「インターンシップ実施が効果的だった」「早期の活動に力を割いたことがその後に繋がった」といった声が目立つ。一方で苦戦した企業からは「母集団形成がうまくいかなかった」という声が多く挙げられた。超売り手市場とも言われる中、採用広報スタートから内々定出しまでが駆け足で進められ、学生のエントリー数も大きく減少。母集団形成に苦戦することは必至とも言える環境下で、インターンシップが多少なりともそれを補う役割を果たすこととなった。

採用活動を優位に進める上で欠かせないインターンシップだが、実施には課題もある。どのような課題があるか聞いたところ、インターンシップ実施の有無を問わず、1位に挙げられたのが「マンパワー不足」だ。学生募集から応募者管理、選考、当日の運営、実施後のフォローまで、相応の労力が必要となる。まして本採用と実施時期が並行する場合、少人数の人事担当者だけで対応するのは至難の技だろう。特に未実施企業の3分の2は「マンパワー不足」を課題としており、インターンシップに人を割けないことが大きな障壁となっている。インターンシップ実施企業では、続いて「学生が集まらない」(43.1%)が僅差で2位となった。前年同時期調査の35.8%から7.3ポイント増加しており、インターンシップの日数要件削除等も相まって実施企業が増加した結果、学生募集に苦労するケースも出てきたと言える。

■2020年卒採用の展望について
2020年卒採用に関するアンケート結果を見ると、各社の採用意欲には一層の高まりが見られる。採用予定数の見通し(前年度比)については、「並」が64.8%と過半数を占めるものの、「増やす」(21.4%)が「減らす」(3.1%)を18.3ポイント上回り、増加基調にある。採用予算(前年度比)についても、「増やす(「101~119%」「120%以上」の合計)」(30.4%)が「減らす(「80~99%」「51~79%」「50%以下」の合計)」(7.2%)を23.2ポイント上回る。採用予定数、採用予算の両側面から次年度の新卒採用に向けた各社の積極的な姿勢がうかがえる。

インターンシップの実施意欲も旺盛だ。2020年卒学生を主対象とするインターンシップの実施(予定)の有無について、「実施している・実施予定あり」が74.1%と、4社中3社に達している。前述の2019年卒学生を主対象とするインターンシップ実施企業=61.8%を12.3ポイント上回り、実施企業の増加が見込まれる。実施(予定)時期については「2018年12月~2019年1月」が64.6%で最多となり、「2019年2月」(55.7%)、「2018年7~9月」(54.9%)と続く。前年度調査でも見られた傾向であるが、夏期よりも冬期に実施する企業が多く、その後の採用を意識した時期設定が行われている。

2. 大学アンケート結果

■2019年卒および2020年卒学生の状況について
企業の採用意欲の高まりを受け、2019年卒学生の就職活動環境は売り手市場にいっそうの拍車が掛かった。各大学へ調査した内々定状況(前年度比)は「非常に良い~少し良い」が64.3%と、「悪い~少し悪い」(2.5%)を大幅に上回った。今年度は例年にも増して内々定を獲得しやすい環境であったと言える。一方で、就職相談件数についても「非常に増えた~少し増えた」(29.5%)が「減った~少し減った」(16.7%)を12.8ポイント上回っている。相談内容としては、前年度同様、「内々定辞退の仕方」「複数の内々定先の絞り込み方」「内々定先から就活終了を求められた際の対応」など、内々定獲得後のものが目立った。大学キャリアセンターからは「自分で決められない学生が増えた」という声も多く聞かれ、容易に内々定を得られてしまう状況が、かえって学生を悩ませることに繋がっている。

学生たちが就職活動スタート前にインターンシップに参加することは既に一般化しているが、2020年卒学生の参加意欲は一層高まっている。各大学で前期に実施された「インターンシップに関する就職ガイダンス」の参加学生数(前年度比)は、「増えた~少し増えた」が53.3%。半数以上の大学で参加者が増加している。「インターンシップ以外の就職ガイダンス」については、「減った~少し減った」(23.1%)が「増えた~少し増えた」(21.8%)を上回っており、インターンシップへの関心は高まるものの、それ以外のテーマに対する必要性をなかなか感じられないという状況も生じている。

調査概要


●調査対象:全国の企業採用担当者、大学就職指導担当者
●有効回答数:企業担当者1,533件/大学担当者328件
●調査方法:「就職講演会・名刺交換会」来場者へのアンケート配布・回収
●調査期間:
 東京/2018年9月4日~9月7日
 名古屋/2018年9月10日~9月13日
 大阪/2018年8月28日~8月31日
 福岡/2018年9月7日~9月11日

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