2018年自然災害被災者に聞いた、防災についての調査(子育て世帯対象) 

2019年02月25日

DCMホールディングスは、「2018年自然災害被災者に聞いた、防災についてのアンケート」を実施しました。2018年の自然災害で停電や断水、ガスの停止に遭われた子育て世帯を対象とし、事前の備えや実際に役に立ったもの、また災害後の認識や備えの変化について調査を行いましたので、調査結果をお知らせいたします。

調査結果


1. 被災時の避難状況
「自宅で過ごした」が約7割、「避難所利用」は1割以下に。

 被災時の避難の状況を尋ねたところ、「自宅で過ごした」と回答した人は68%を占め、これに対して、「避難所を利用した」と回答した人はわずか7%となりました。子育て世帯は「まわりに迷惑がかかる」と避難所に行くのをためらう傾向が指摘されている他、阪神・淡路大震災以降、建物の耐震性が高くなったことも理由と考えられます。これまでの「非常持ち出し袋」などの防災グッズは、避難することを前提とした品揃えでしたが、子育て世帯では自宅での災害対策が重要ということがわかりました。

2.被災前の防災グッズの備蓄状況
9割以上の人は防災グッズを「用意していなかった」「不十分だった」。

  被災前の防災グッズの備蓄について尋ねたところ、「用意していて、十分に役に立った」と回答した人はわずか9%に留まり、「用意していたが、不十分だった」「用意しないといけないと思っていたが用意していなかった」「用意していなかった」と回答した人は合わせて91%と、9割以上の人が防災グッズを用意していない、または用意していたが不十分だったと感じていることがわかりました。

■コラム1■  約30年前から「備えていなかった」は変化なし
 消防科学総合センターが2007年に発表した調査によると、阪神・淡路大震災(1995年1月)以降、震度6(6弱)以上の6件の災害を経験した人に「自分の経験した大地震の際、自宅に『非常用持ち出し袋』を備えていたか」と尋ねたところ、90.1%の人が「備えていなかった」と回答しています。今回実施した調査結果と比較し、約30年経過しても具体的な備えにつながっていないということが浮き彫りになりました。

3.被災後の意識の変化
約9割が被災後、備えに対する考え方が「変わった」と回答。

被災後の災害への備えに対する意識の変化について尋ねたところ、「変わった」と回答した人は89%を占めていることがわかりました。

4.災害に必要な備え
備えのトップは「モバイルバッテリー」。

 災害時に必要な備えについて、発災後の3日間で「あってよかったもの」「なくて困ったもの」、災害を経験し「これは絶対用意すべきと感じたもの」は何か尋ねたところ(複数回答可)、「モバイルバッテリー」84%、次いで「水」「電池」51%、「ランタン」47%、「保存食」44%という結果になりました。安否の確認、災害状況の確認だけでなく病院情報の収集や学校との連絡等のためにスマートフォンを使用していると考えられ、モバイルバッテリーはスマートフォンの使用頻度の高い子育て世帯に特にニーズが高いグッズと思われます。

水が使用できない状況の必須アイテム、ウェットティッシュ・トイレットペーパー。
 上位5位に続き多いのが「ウェットティッシュ」43%、「トイレットペーパー」42%です。災害時は水が思うように使用できないために、子どもの手や口を拭く等の用途で使用され、子育て世帯にとって必需品となっています。

「なくて困ったもの」は衛生用品。時期により「暑さ・寒さ対策」の需要増。
 「なくて困ったもの」の割合が高いのが「液体歯磨き・歯磨きシート」「無水シャンプー」「身体拭きシート」といった衛生用品です。汗のかきやすい子どもや衛生に敏感な女性に特にニーズが高くなっています。また、今回調査した災害については発生時真夏・真冬という状況ではなかったため「暑さ・寒さ対策用品」が上位に入っていませんが、発生する時期によって対策用品の需要はより高くなると考えられます。

■コラム2■ 防災グッズの定番は「ラジオ」「懐中電灯」から「モバイルバッテリー」「ランタン」へ変化
 消防科学総合センターが2007年に発表した調査によると、阪神・淡路大震災(1995年1月)以降、震度6(6弱)以上の6件の災害を経験した人が「あってよかった」と思った備えは1位が「懐中電灯」で2位は「携帯ラジオ」でした。今回実施した調査では、「懐中電灯」「携帯ラジオ」は上位に入っておらず、当時は上位になかった「ランタン」「モバイルバッテリー」がトップ5にランクインしています。DCMでは、この約30年で人々の生活が変化し、災害時に必要なグッズも変化してきていると見ています。

■コラム3■ 子どもに関する備えで見落としがちなのは「おもちゃ」「おやつ」
 災害時に必要な備えについて、特に子どもに関するもので発災後の3日間で「あってよかったもの」「なくて困ったもの」災害を経験し「これは絶対用意すべきと感じたもの」は何か尋ねたところ(複数回答可)、「おもちゃ」と回答した人が65%、次いで「紙おむつ」56%、「おやつ」41%という結果になりました。保存食は用意しているものの、「おもちゃ」や「おやつ」などの備えにまで頭が回らなかった、という人が多く、子どものストレス軽減のためにも、「おもちゃ」や「おやつ」を用意してあげましょう。

■コラム4■  仮設トイレの使用がためらわれるケースも。簡易トイレを設置し環境を整える。
 大きな災害では水道だけでなく、下水道も停止します。避難所などには写真のような「仮設トイレ」が設置されますが、屋外に置かれていることが多く、雨の日や夜間などはトイレに行くのがためらわれます。また段が高い和式のトイレが多いので、高齢者や子どもにはつらく、トイレに行きたくないので水分を控える、という事例も多く聞かれます。新潟中越地震で多く発生した「エコノミークラス症候群」は、水分を控えることによってできた血栓(血の塊)が肺に詰まる病気ですが、死に至るケースもありました。

 災害時も子どもや高齢者が安心してトイレに行くには、仮設トイレ以外の解決策が必要です。自宅での避難生活なら、トイレのスペースに簡易トイレを設置し、できるだけ普段と近い形でトイレに行けるような環境を整えることをオススメします。介護用品として販売されているイス形の簡易トイレや、ドライブ用の携帯トイレも汚物の処理が容易なので、いくつか用意しておきたいところです。子ども達と一緒に段ボールやバケツ、ペット用のシートや砂で家族でつくってみたという事例もありました。家族でホームセンターに出かけ、実際の商品を見ながら、災害時のトイレについて家族みんなで考えてみてはいかがでしょうか。(田村太郎)

5.災害の備えの購入場所として検討する場所
約4割の人がホームセンターで購入予定。

 災害の備えのためのグッズはどこで購入する予定か尋ねたところ(複数回答可)、「ホームセンター」と回答した人が42%でもっとも多い数値となりました。

調査概要


■名称 : 2018年度自然災害被災者に聞いた、防災についてのアンケート
■実施時期:2018年12月1日~12月27日
■調査対象:次の2つの要件を両方とも満たす世帯
 ①2018年に発生した自然災害で、1日以上電気・ガス・水道が停止した
 ②災害発生時に小学校3年生までの児童1人以上と同居していた
■調査方法:回答用紙に記入して提出 または専用ウェブサイトから直接入力
■有効回答者数:100人
■回答者内訳:
①災害:大阪北部地震 22%、西日本豪雨 24%、台風第21号 32%、台風第24号 10%、北海道胆振東部地震 12%
②年代:20代 14%、30代 48%、40代 33%、50代 3%、60歳以上 1%、その他 1%
■調査団体:一般財団法人 ダイバーシティ研究所
■監修:一般財団法人 ダイバーシティ研究所 代表理事 田村太郎

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