がんに関する意識調査(患者と医師対象) 

2019年02月28日

楽天インサイトは、「がんに関する意識調査」をインターネットで実施しました。今回の調査は、2018年12月14日(金)から12月21日(金)の8日間、楽天インサイトに登録しているモニター(約220万人)の中から、ランダムサンプリングを行い、全国の20代から70代の指定がん11種(1)の患者、男女1,824人と指定のがん11種のいずれかについて3ヶ月以内に1人以上診療した医師425人を対象に調査を実施しました。

注記:
(1)がんの種類については、2018年9月に国立がん研究センターから発表された3年生存率の対象がん11種にしました。

調査結果


<治療方針の決定について>

医師が認識しているよりも、患者は治療方針を決定する際に自らの意見が尊重されていると思っている割合が少なかった。
がんの治療方針の決定の仕方について聞いたところ、患者側では「治療方針の提示はなく、先生が決定する」との回答者は18.1%、「相談しながら患者の意見を尊重して決定する」48.6%であった。
一方、医師は「治療方針の提示はなく、先生が決定する」4.1%、「相談しながら患者の意見を尊重して決定する」67.7%となっており、患者と医師の間で治療方針の決定に認識の差が見られた。

食道がんや前立腺がんを罹患している患者で、治療決定の際に意見を尊重してほしいと思っている割合(1)がより高かった。
治療に対する考え方について聞いたところ、「治療決定の際に、患者の意見を尊重してほしい」と考えている人の割合が食道がんや前立腺がんに罹患している患者で5割程と高く、胃がん、膀胱がんや肝がんに罹患している患者は3割程度と低かった。

<がん領域のアプリ使用状況>

患者でアプリを使用したことがある割合は4.8%で、「がんの症状や副作用を調べる」内容のアプリの使用割合が最も高かった。
がん領域のアプリの使用状況について聞いたところ、使用経験者の割合は患者が4.8%、医師が27.2%であった。
使用経験のあるアプリの内容については、患者、医師ともに「がんの症状や副作用を調べる」が最も多く、次いで、患者は「がん治療の薬剤や最新の治療法などを調べる」、医師は「がん治療で評判の良い医師や病院を検索する」であった。

<生存率の説明状況について>

患者が医師から生存率について説明を受けたと認識している割合(1)は、医師が認識している割合(2)よりも低い。
患者に「医師から生存率について説明を受けたか」について聞いたところ、肝がんや大腸がんでは”受けた”と回答した人の割合が7割近くと高く、子宮体がん、子宮頸がんや膀胱がんでは5割程度の低さとなった。一方、医師が患者に生存率について”伝えた”と回答した人の割合は、どのがん種も8割以上となっており、患者と医師との間に認識のずれが見られた。

<生存率に対する意識について>

患者が日常生活の中で生存率を意識している割合(1)は、最も高い膵がん患者でも約6割であった。
患者に日常生活で生存率についてどの程度意識しているか聞いたところ、がん種別では膵がん、肝がんや肺がんで「意識している」と回答した人の割合が高かった(1)。
一方、医師では治療の際に生存率を”意識している”と回答した人の割合(2)は、どのがん種でも総じて患者よりも高く、患者と同様、肺がんや肝がんで”意識している”人の割合が高かった。

<国立がん研究センター発表の3年生存率について>

3年生存率の患者の認知率(1)は約5割、医師の認知率(2)は約7割であった。
2018年9月に国立がん研究センターが、がん患者の3年生存率を発表したことについて、本調査対象者の患者では51.9%、医師では72.2%が認知していた。
罹患しているがん種別では、患者は膵がんで最も認知率が高く65.6%であった。
一方、医師では消化器外科医で最も認知率が高く84.2%であった。

患者、医師ともに乳がんの生存率について思っていたよりも高いと認識している割合(1)が高かった。
発表された3年生存率の印象について聞いたところ、患者では”思っていたよりも高いと認識している”人の割合(1)が子宮体がんの患者で51.9%と最も高かった。次いで、乳がん、子宮頸がんの患者となっており、女性患者は”思っていたよりも高い”と認識している傾向が見られた。一方、医師では、肺がんを診療している医師で”思っていたよりも高いと認識している”人の割合(2)が最も高く23.7%であった。
なお、全体的に患者の方が医師よりも”思っていたよりも高いと認識している”傾向が高かった。

<国立がん研究センター発表の5年生存率が高い病院への転院意向>

食道がんの患者で、5年生存率の高い施設へ転院したい割合(1)が最も高かった。
5年生存率の高い施設への転院意向を聞いたところ、罹患しているがん種別では食道がん患者で“転院したい”と回答した人の割合(1)が最も高く9.8%であった。次いで子宮体がん患者の9.6%となった。
一方、”転院したくない”と回答した人の割合(2)が最も高かったのは肝がん患者の29.6%であった。

<がん種別の適する生存率の指標(年数)について>

医師は、5年生存率の方が適している(1)と思っているがん種の方が高かった。
指定がん11種の患者の治療方針を決定している診療科に属する医師に、がん生存率指標として3年と5年のどちらがより適しているかを聞いたところ、膵がん以外はすべてのがん種において”5年生存率の方が適している”(1)とする回答となった。
肝がんや肺がんのように生存率の低いがん種の場合は”3年生存率が適している”(2)と考える医師が4割程見られたが、乳がんのように生存率の高いがん種の場合、9割以上の医師は5年生存率が適していると考えていた。

調査概要


調査エリア : 全国
調査対象者 : 20歳~79歳 男女
回収サンプル数 : 患者:1,824サンプル、医師:425サンプル
調査期間 : 2018年12月14日から12月21日
調査実施機関 : 楽天インサイト株式会社

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