中小ものづくり企業の企業間連携に関する実態調査 

2012年11月08日
東京商工会議所は、ものづくり推進委員会において、「中小ものづくり企業の企業間連携に関する実態調査」の報告書を取りまとめた。

本報告書は、企業間連携が、経営資源に限りのある中小ものづくり企業にとって有効な方策であり、様々な効果が期待できる取り組みであるとの仮説のもと、同委員会において実施した「中小ものづくり企業における企業間連携の実態調査」ならびに企業間連携に取り組んでいる企業等へのヒアリング内容を取りまとめたものです。
中小企業において、企業間連携への取り組みは十分とはいえない状況にあるものの、共同研究開発以外にも幅広い分野で具体的な成果が見られ、また、各社の技術力の向上、従業員のモチベーションアップなど、副次的効果ももたらされています。

※本報告書における「企業間連携」とは、通常の単独の事業活動では得られない相乗効果を生み出す事を目的とした同業・異業種間の複数の主体による共同活動と定義。


【調査結果のポイント】

1.企業間連携に関する実態調査結果
■企業間連携の取り組み状況について
企業間連携に取り組んでいる、取り組んだ経験のある企業は14.7%にとどまった。最も多かったのは「取り組む予定はない」(51.5%)、ついで「今後検討したい」(33.8%)となった。

■企業間連携の取り組み内容について
取り組み内容について、「共同研究開発」が最も多く29.6%。以下、「共同情報ネットワーク」(10.9%)、「共同受注」(10.4%)、「共同販促」(10.0%)となった。

■企業間連携の成果と活動上の課題について
・成果としては、「新製品・新技術の開発」(25.3%)の他、「販路拡大」(15.1%)、「人脈の拡大」(12.7%)、「情報の獲得」(11.4%)、「受注増加」(10.2%)など多岐にわたる。
・活動上の課題については、連携先との企業文化、技術力、意識の相違や自社事業との調整、連携先との費用・役割・権利の調整が挙げられた。

■企業間連携に取り組まない理由
「必要性を感じない」が最も多く33.7%。以下、「取り組み効果が不明である」(24.8%)、「適切なパートナー・グループがない」(15.1%)、「時間、人材等の余裕がない」(15.1%)となった。連携のマッチング機会の提供、連携を支援する方策が必要だと考えられる。

2.企業間連携の実態ヒアリング結果
■ヒアリング結果のまとめ
○効果的な連携の秘訣は、連携企業以外の第三者、企業間をつなぐコーディネーターの活用
○連携によるコミュニケーションの活性化によって経営力が向上する

■事例紹介
(グループ名称)         (活動内容)
・江戸っ子1号プロジェクト: 産学官金連携による深海探査機の開発
・アマテラス: 航空宇宙部品の一貫生産体制構築による受注体制強化
・リビング・デザイン 東京(tobi): 「JAPANブランド育成支援事業」活用、tobiブランド構築と最高級家具製造販売
・磨き屋シンジケート: 商工会議所が主導する地場産業(主に研磨業)の連携
・大東市金属加工連携グループ: 市の産業活性化センターが主導する金属加工業の連携
・アイムグループ: 株式会社化された全国ネットワークによる共同購入・販売
・おおたグループネットワーク: 若手経営者を中心に経営力向上を目的に連携。他の企業グループとも連携がある
・タムラプランニング・アライアンス: シニア業界の成熟を目指し、情報共有を主に活動
・東京都異業種交流グループ(H8): 情報交換を目的に定期的に会議を開催
・すみだネット: 墨田区内企業の活性化を目的とした連携


【調査概要】
調査対象は、都内23区の製造業およびソフトウェア開発業を営む中小会員企業3,000社、調査方法はアンケート形式の郵送方式によるもので、回答数は517社(回収率:17.2%)。

その他、詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[東京商工会議所]
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