オフィスの防災アンケート調査2013 

2013年10月11日
ザイマックスは東京・大阪・名古屋の主要都市においてオフィスビルに入居するテナント企業にアンケート調査を実施し、に企業は防災に関し、どのような意識を持ち、備えているのか、その実態を探った。

【調査結果のまとめ】

・事前対策(災害発生前)
 「什器類の固定」や「ヘルメットの配布」を実施している企業は 3 割程度
 応急対策と比較し、実施割合は低い傾向に


・応急対策(災害発生後~3日目)
 「水」を備蓄している企業は7割(首都圏)
 うち、「3日分(東京都条例*義務)またはそれ以上」は半分に留まる


・復旧対策(災害発生後4日目以降、事業再開に向けた取り組み)
 最も取り組みが進んでいるのは、データのバックアップ体制の整備
 BCP(事業継続計画)を策定している企業は4割未満


・9割超の企業が「地盤の安全性」や「耐震性」をビルを選定する際に重視している

【調査詳細】

1. 事前対策(災害発生前)
・「什器類の固定」や「ヘルメットの配布」を実施している企業は3割程度。
・応急対策と比較し、実施割合は低い傾向に


「什器等を壁・床に固定している」は 30%、「ヘルメットを従業員に配布している」は 33%。発災時にまずオフィス内でも命を守ることが最重要となるため、事前対策に対するさらなる推進が望まれる。

「従業員に避難誘導灯の位置や避難経路の確認を指示しているか」、「従業員に避難場所を周知しているか」、「従業員に消火器・消火栓の使い方を周知しているか」については、「している」と答えた割合は半数程度か半数以下であった。後述する応急対策である備蓄や安否確認に比べ、これら事前対策の実施割合はやや低いことが分かる。

2.応急対策(災害発生後~3 日目)
・首都圏では、「水」を備蓄している企業は7割。
うち、「3日分(東京都条例義務)またはそれ以上」は半分に留まる

「水」を備蓄している企業は全体で 66%であり、特に条例施行により備蓄が義務付けられた東京都を含む首都圏では 75%と、3都市圏で最も高かった。備蓄量については、従業員数に対して平均すると2日分であり、そのうち、3日分またはそれ以上を備えている企業は、いずれの都市においても半数程度であった。

「食糧」については、備蓄している企業が全体で 52%となった。そのうち、従業員数に対し3日分またはそれ以上を備えている企業は、いずれの都市においても半数程度であった。なお、「水」を備蓄している企業のうち7割は「食糧」「防災用品」ともに備蓄しており、逆に「水」の備蓄をしていない企業の約7割は「食糧」「防災用品」についても備蓄していないことが分かった。

・備蓄している防災用品の上位は「懐中電灯・照明器具類」「医療・衛生用品」「毛布・保温シート」。 オフィスに留まる際の必需品「簡易トイレ」は比較的低い


防災用品については、全体で 61%の企業がなんらかの防災用品を備蓄していることがわかった。その内訳上位は、「懐中電灯・非常用照明器具類(85%)」、「医療用品・衛生用品(61%)」、「毛布・保温シート(59%)」と、災害直後に必要となるものが続いた。一方、オフィスに留まる際に必要性が高い「簡易トイレ」は 43%と、準備の程度が低く、見落とされがちであることがわかった。

・安否確認体制を決めている企業は 7 割。その連絡手段は携帯電話が多い

安否確認体制を決めていると答えた企業は 70%であった。その手段については「携帯電話(通話)(61%)」、「携帯電話(メール)(59%)」、そして「安否確認サービスの導入(34%)」と続く。
なお、安否確認体制を決めていると回答した企業のうち 4 割は「携帯電話(通話)」および「携帯電話(メール)」以外の連絡手段を決めていない。東日本大震災時は、携帯電話が大規模な通信障害により長時間つながりにくい状態になった。その経験から安否確認には携帯電話だけでなく、複数の連絡手段を併用することが望ましいとされている。

3.復旧対策(災害発生後4日目以降)
・最も取り組みが進んでいるのは「データのバックアップ体制の整備」
・「BCP(事業継続計画)を策定している」企業は4割未満
・BCPを策定している企業は、防災対策全般に積極的に取り組んでいる

復旧対策として「重要なデータのバックアップ体制をとっている」は 62%と、最も取り組みが進んでいる。東日本大震災以降その必要性が指摘されているBCPについては、策定している企業は38%と、半数に満たなかった。

BCPの策定と他の防災対策との関係をみてみると、「BCPを策定している」企業のうち、「安否確認体制を決めている」企業が9割、「防災用品」や「水」を備蓄している企業が8割程度、「什器類を壁や床に固定」している企業も8割程度となるなど、いずれも全体の実施率を上回る割合で対策がなされている。BCPを策定している企業は、事前対策、応急対策から復旧対策まで、防災対策全般に積極的に取り組んでいることがわかった。

4.今後、ビルを選定する際に重視する項目
・9割超の企業が「地盤の安全性」や「耐震性」を重視している
・耐震性を重視する企業のうち4割は、旧耐震ビルでも耐震補強等していることを新耐震ビルであることと同様に重視している


テナントが今後オフィスビルを選定する際の重視項目については、「地盤の安全性を重視する(大変重視する、ある程度重視するの合計、以下同様)」割合が 90%、「新耐震ビルであることを重視する」が 94%、「旧耐震ビルであっても、耐震補強等していること」が 92%と非常に高い結果となった。震災をうけて、土地および建物の安全性がビルを選ぶ際の外せない条件となっていることがわかる。
また、「停電時に電力供給ができること」も 85%が重視すると答え、東日本大震災で計画停電、電力不足等を体験したことから電力の安定供給に対する意識も高まっている。
耐震性を重視する(「新耐震ビルであること」または「旧耐震ビルでも耐震補強等していること」あわせて)と答えた 93%のうち、約4割は新耐震ビルであることを最重要視せずとも、「旧耐震ビルであっても耐震補強等している」ことを重要視しているといえる。


【調査概要】
・調査時点:2013 年 8 月
・調査対象:首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県)・名古屋市・大阪市内におけるザイマックスグループが管理するオフィスビルに入居するテナント企業 計2,100社
・回答結果:1,312社(回答率:62.5%)

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[ザイマックス]
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