「"データ"に基づく経営とワークスタイル」に関する調査 

2013年12月20日
NTTデータ経営研究所は、「NTTコム リサーチ(旧gooリサーチ)」登録モニターを対象に、「"データ"に基づく経営とワークスタイル」をテーマに、調査を実施。

近年、企業では「ビッグデータ」や「データサイエンティスト」といった言葉で代表されるように、データやその分析結果に基づき、人や組織が行動することへの注目が集まっています。一方、ICTを活用して働く場所が分散化するなかで、企業の内外で価値観や立場が異なる人々の間でのコミュニケーションを促進する取り組みも進んでいます。

【主な調査結果】

1.研究開発や新しい取り組みの状況
・研究開発や新しい取り組みに対して、「会社の業績にかかわらず、積極的に取り組んでいる」企業は3割以上を占める。

2.データ活用の状況
・会社全体で「データの蓄積・共有」、「情報検索・情報収集」に積極的に取り組んでいる企業は約5割。約1/4の企業がデータサイエンティストの確保・育成に積極的に取り組んでいる。
・ビジネスパーソンの約3/4が「表計算ソフト(Excel等)」を使っている。
・収集・分析したデータの活用分野で最も多いのは、「経費削減・無駄の削減」(27.4%)、次いで「営業戦略策定・マーケティング」(22.3%)、「新商品・新サービスの企画・開発」(19.2%)と続く。

3.データ活用とワークスタイル
・「社会人として、一定レベルのデータ分析ができるスキルが必須となってくる」と考える人は約4割。
・仕事の合間にコミュニケーション、情報交換を行う「場」を利用している人は、半数を超える。

【調査結果詳細】

1.勤務先の状況

1.1 研究開発や新しい取り組みの状況

■ 研究開発や新しい取り組みに対し、「会社の業績にかかわらず、積極的に取り組んでいる」企業は3割以上を占める。

研究開発や新しい取り組みの状況について、勤務先の業績との関連で尋ねた。
研究開発や新しい取り組みに対し、「会社の業績にかかわらず、積極的に取り組んでいる」が3割以上(34.6%)を占め、次いで、「会社の業績にかかわらず、あまり取り組んでいない」(21.4%)、「会社の業績が良ければ積極的に取り組むが、悪ければあまり取り組まない」(21.1%)が2割程度である。

「会社の業績にかかわらず、積極的に取り組んでいる」に着目すると、従業員規模別では、規模が大きくなるほど取り組んでいる割合は高く、5,000人以上は45.3%を占める。業種別では「製造業」(41.3%)で4割強を占めて高い一方、「コンピュータ・情報サービス業」では、26.0%に留まっている。
業績の状況別では、業績が業界平均より高い(「非常に高い」、「やや高い」計、以下同様)企業が、「会社の業績にかかわらず、積極的に取り組んでいる」と回答した割合が最も高く、半数以上(56.3%)を占めた。業績の見通し別についても、拡大傾向(「拡大傾向にある」、「やや拡大傾向にある」計)の企業が、「会社の業績にかかわらず、積極的に取り組んでいる」と回答した割合が高く、半数以上(58.2%)を占めた。

2.勤務先のデータ活用の状況

2.1 データ活用の積極性
 2.1.1  全体概況

■ 会社全体で「データの蓄積・共有」、「情報検索・情報収集」に積極的に取り組んでいる企業は約5割。

■ 約1/4がデータサイエンティストの確保・育成に積極的に取り組んでいる。

企業では、ビッグデータをはじめとするデータの活用をビジネスの価値創造に役立てる取り組みが進んでいる。 そこで、企業におけるデータ活用を「情報検索・情報収集」、「データの蓄積・共有」、「データ分析」、「データの効果的な活用」の各ステップに分け、さらにこれを支える「データサイエンティスト(データ分析の専門家)の確保・育成」の取り組み状況について尋ねてみた。

データ活用のフェーズ毎に尋ねてみると、「会社全体で、情報検索・情報収集に積極的に取り組んでいる」(46.2%)(「非常にそう思う」、「ややそう思う」計、以下同様)、「会社全体で、データの蓄積・共有に積極的に取り組んでいる」(47.2%)と回答する企業は約5割を占める。続いて、「会社全体で、データ分析に積極的に取り組んでいる」(38.6%)、「会社全体で、データの効果的な活用に積極的に取り組んでいる」(38.2%)が続く。

一方、相対的な実施率は低くなっているものの、約1/4の企業が「データサイエンティスト(データ分析の専門家)の確保・育成に積極的に取り組んでいる」(26.5%)と回答し、データ志向型企業への転換に取り組みはじめている様子がうかがえる。

 2.1.6  データサイエンティスト(データ分析の専門家)の確保・育成

「データサイエンティストの確保・育成」について従業員規模別にみると、5,000人以上の企業が最も高く(34.0%)、次いで1,000人~4,999人(32.2%)の企業が積極的に取り組んでいる。

業種別にみると、「金融・保険業」が36.4%で最も高い。また、「コンピュータ・情報サービス業」(29.5%)、「製造業」(27.4%)が相対的に高い。一方、「教育・医療・その他サービス業」(21.2%)が相対的に低くなっている。業績の状況別にみると、業績の程度が業界平均より高い企業が、積極的に取り組む割合が最も高く、31.2%を占め、業績が良好な企業ほど積極的に取り組んでいる。業績の見通し別についても、拡大傾向にある企業が、最も積極的に取り組んでおり、30.7%を占め、業績の見通しが良好な企業ほど積極的に取り組んでいる。

2.3 収集・分析したデータの活用分野

■ 収集・分析したデータの活用分野で最も多いのは、「経費削減・無駄の削減」(27.4%)、次いで「営業戦略策定・マーケティング」(22.3%)、「新商品・新サービスの企画・開発」(19.2%)と続く。

収集・分析したデータは、どのように活用されているのだろうか。活用分野を尋ねてみた。
最も多かったのは、「経費削減・無駄の削減」で27.4%、次いで「営業戦略策定・マーケティング」(22.3%)である。続いて「新商品・新サービスの企画・開発」(19.2%)、「事業企画策定」(18.6%)、「経営戦略・事業戦略の意思決定」(15.9%)となっている。企業ではデータ活用を行って効率経営を進めるとともに、経営・事業の積極的な戦略策定や新商品・サービスの企画・開発に役立てていることがうかがわれる。

従業員規模別にみると、「経費削減・無駄の削減」に活用している割合が最も高いのは、100人~499人の企業で29.4%、次いで、5,000人以上(28.9%)、29人以下(28.8%)と続く。「経費削減・無駄の削減」に続いて全体で多かった活用分野である「営業戦略策定・マーケティング」、「新商品・新サービスの企画開発」、「事業企画策定」、「経営戦略・事業戦略の意思決定」、「主要業績指標(KPI)の設定」は、5,000人以上の企業が最も高くなっている。

業種別にみると、「経費削減・無駄の削減」に活用している割合が最も高いのは、「流通・商業」で34.4%、次いで、「運輸・建設・不動産業」(32.2%)、「製造業」(28.5%)と続く。「営業戦略策定・マーケティング」は「流通・商業」(36.7%)、「新商品・新サービスの企画・開発」は「製造業」が最も高い(31.0%)。

業績の状況別にみると、上位5項目である「経費削減・無駄の削減」、「営業戦略策定・マーケティング」、「新商品・新サービスの企画・開発」、「事業企画策定」、「経営戦略・事業戦略の意思決定」に着目すると、業績の程度が業界平均より高い企業が、積極的に取り組む割合が最も高く、低い企業との差異がみられる。業績の見通し別についても、上位5項目である「経費削減・無駄の削減」、「営業戦略策定・マーケティング」、「新商品・新サービスの企画・開発」、「事業企画策定」、「経営戦略・事業戦略の意思決定」に着目すると、拡大傾向にある企業が最も積極的に取り組んでおり、縮小傾向にある企業との差異がみられる。

3.データ活用とワークスタイル

3.1 データ活用とワークスタイルに関する意識

■ 「社会人として、一定レベルのデータ分析ができるスキルが必須となってくる」と考える人は約4割。

企業や社会全体でデータ活用についての取り組みが活発化するなか、ビジネスパーソンはどのような認識を持っているのだろうか。データ活用をめぐる人々の認識、コミュニケーション、ワークスタイルについて尋ねてみた。

「社会人として、一定レベルのデータ分析ができるスキルが必須となってくる」の支持率は約4割(38.1%)で最も高く、次いで「データ分析に基づいた意思決定が、一層広がっていく」3割強(32.4%)を占める。続いて、「社会において、データ分析ができる人材の価値がますます高まる」(23.7%)、「データ分析の結果をわかりやすく表現できるツールがますます開発されるようになる」(23.5%)、「データを、異なる価値観や立場の人とのコミュニケーションに活用するようになる」(20.8%)、「外部の多様な価値観や考えを持つ人々との意見交換・交流の重要性が増していく」(19.9%)と続く。

全体で支持率が高かった上位3項目の「社会人として、一定レベルのデータ分析ができるスキルが必須となってくる」、「データ分析に基づいた意思決定が、一層広がっていく」、「社会において、データ分析ができる人材の価値がますます高まる」を中心に、属性別の傾向をみた。

「社会人として、一定レベルのデータ分析ができるスキルが必須となってくる」の支持率を業種別にみると、「流通・商業」が5割弱(48.9%)、続いて「製造業」(41.0%)、「コンピュータ・情報サービス業」(38.4%)で高い。一方、「金融・保険業」は約2割に留まっている。

職種別にみると、「商品・サービス開発・マーケティング」が6割弱(58.5%)で最も高く、「営業企画・営業統括」(47.8%)、「経理・財務」(43.8%)も相対的に高い。「データ分析に基づいた意思決定が、一層広がっていく」の支持率を、業種別にみると、「教育・医療・その他サービス業」(34.4%)、「流通・商業」(同)で最も高く、次いで「製造業」(33.5%)である。職種別にみると、「経営企画」(50.0%)が半数を占めて最も高く、「営業企画・営業統括」(41.3%)、「経理・財務」(40.6%)も相対的に高い。

「社会において、データ分析ができる人材の価値がますます高まる」の支持率は、流通・商業(25.6%)で高く、「コンピュータ・情報サービス業」(24.0%)、「教育・医療・その他サービス業」(23.7%)が相対的に高い。職種別にみると、「営業企画・営業統括」(37.0%)、「商品・サービス開発・マーケティング」(33.8%)が相対的に高くなっている。

年代別にみると、「社会人として、一定レベルのデータ分析ができるスキルが必須となってくる」、「データ分析に基づいた意思決定が、一層広がっていく」、「社会において、データ分析ができる人材の価値がますます高まる」支持率は、いずれも60代以上が最も高くなっている。「データ分析の結果をわかりやすく表現できるツールがますます開発されるようになる」、「データを、異なる価値観や立場の人とのコミュニケーションに活用するようになる」、「外部の多様な価値観や考えを持つ人々との意見交換・交流の重要性が増していく」についても60代以上が最も高くなっている。このことより、組織における高齢層においてデータ志向に対する実感が高まっていることがうかがえる。

「社会人として、一定レベルのデータ分析ができるスキルが必須となってくる」の支持率は60代以上に続いて、20代(44.2%)、50代(39.4%)が続く。「データ分析に基づいた意思決定が、一層広がっていく」の支持率は60代以上に続いて40代(33.6%)、30代(32.7%)が続く。「社会において、データ分析ができる人材の価値がますます高まる」の支持率は、60代以上に続いて30代(24.1%)、50代(23.6%)が続く。


【調査概要】
調査対象:NTTコム リサーチ(旧gooリサーチ)(*1) クローズド調査
調査方法:非公開型インターネットアンケート
調査期間:2013年11月11日~2013年11月15日
有効回答者数:1,094人
標本設計:1社1名、20歳以上、経営者・役員クラスを含む雇用者(正社員)、ホワイトカラー職種を対象に実施

その他、詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[NTTデータ経営研究所]
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