2015年度・新卒採用に関する企業調査-中間調査 

2014年07月08日
ディスコは、全国の主要企業8,749社を対象に、2015年3月卒業予定者および2016年3月卒業予定者の採用活動に関する企業調査を行いました(調査時期:2014年5月20日~28日、回答数:1,097社)。

景気回復を受け、企業の採用意欲は急激に高まっている。4月の選考解禁から約2カ月が経過し、最初の山場が終了したタイミングでの採用活動の手ごたえや状況などを、「日経就職ナビ」掲載企業など全国の有力企業を対象に調査した。また、2016年度からの採用活動時期の繰り下げについても、採用担当者としての意見や方針などを聞いた。

【調査結果】

1.2015年3月卒業予定者の採用見込み

2015年3月卒業予定者の採用見込みは、全属性の総合で、「増加」と回答した企業が37.4%と全体の4割弱にのぼり、「減少」11.9%を約25ポイント上回っている。前年同期調査でも「増加」29.4%に対し「減少」17.0%と採用回復の動きが見られたが、今回調査ではさらに差が開き、採用意欲の高まりが一層強まったことが分かる。採用属性ごとに見ても、すべて「増加」が「減少」を上回っている。採用マーケットは拡大傾向が続いている。
従業員規模別、また業界別に見ても、全規模・全業界で「増加」が「減少」を大きく上回り、規模や業界を問わず採用意欲が高まっていることが表れている。とりわけ金融業界では過半数(56.3%)が「増加」と回答するなど、採用意欲の高さが目立つ。

2.5月下旬時点の採用選考の終了状況と充足率

調査時点(5月20日~28日)で、採用選考を「終了した」企業は全属性の総合で18.1%。前年同期調査(18.4%)とほぼ同率だった。従業員規模が大きくなると終了率も上がるが、1000人以上の大手企業でも22.7%と大きな差は見られない。また、業界別では「金融」が40.4%と4割を超えているが、それ以外の業界は10%台にとどまっている。
全体の8割以上が採用活動を継続中ということだが、留学生採用や秋採用などを含んでの状況と考えられるため、実態を見るには、現時点での充足率(採用予定数に対する内定者の割合)を確認する必要がある。

5月下旬時点の充足率は、全属性の総合で48.3%。終了率同様、前年と大きな変化は見られない。従業員規模別に見てみると、従業員1000人以上の大手企業では63.5%と6割を超えているが、300人~1000人未満の中堅企業で49.7%、300人未満の中小企業では36.3%と、規模が小さくなるにつれ充足率も下がっている。大手に比べ中堅・中小企業は採用活動時期が遅いことや辞退者が多いことなどが主な要因だろう。業界別では、「金融」が66.0%と前年と同水準を保ち、充足率の高さが際立っている。

5.2015年度採用の一番のテーマ

今期の採用活動の一番のテーマを尋ねたところ、最も多くの企業が選んだのが「母集団の拡大」で24.9%。前年の19.6%から5.3ポイント増えて1位になった。採用予定数の増加に伴い、母集団確保を命題とする企業が増えたのだろう。前年調査で1位だった「採用重点層への訴求」は19.0%で2位。次いで「学校との関係強化」13.1%、「選考中/内定後の辞退防止」12.6%と続く。

6.学生に対する満足度

学生に対する満足度を、採用活動のフェーズごとに見ると、いずれのフェーズでも「質・量ともに満足」の割合が前年より減り、代わりに「質・量ともに不満」が大きく増加しており、全体的に満足度は急激に低下した。母集団(エントリー者)、選考への応募者に対しては、「質・量ともに不満」が4割を超え(それぞれ40.6%、41.1%)不満が大きい様子が分かる。内定者については、「質・量ともに不満」は27.5%と3割を切るが、前年(20.9%)より6.6ポイント増えた。「質的には満足だが、量的に不満」が32.9%と3割を超えており、厳選採用を維持した結果、量の確保が難しくなってしまったのだと思われる。企業にとっては不満や課題の多い年と言えそうだ。

7.2016年度の採用数と採用広報での対応

来年度(2016年度)の新卒採用市場について予想を尋ねた。「拡大する」は34.7%、「縮小する」は13.2%と、更なる拡大を予想する回答が多かった。一方、自社の採用数についても、「増える」16.6%、「減る」8.8%と、やはり増加傾向を示している。2016年度採用も引き続き攻めの採用が展開される見込みだ。但し、市場が「縮小する」との回答は前年の6.4%から倍増しており、意見が分かれている。
2016年度の採用広報の方針を尋ねた。「増やす/強める」との回答が多かったのは、「採用重点層へのアプローチ」65.0%、「学内セミナーへの出展」59.3%など。ともに前年調査よりポイントを上げているが、母集団を拡大しつつ、重点層を絞り込むことにより母集団の質を底上げする、という戦略をとるケースが近年目立っている。広告出稿量については、18.5%が「増やす」と回答し、「減らす」(5.8%)より12.7ポイント多くなっている。合同企業説明会への出展は、「増やす」29.0%に対し「減らす」は6.4%で、前年と比較してかなりも積極的な姿勢がうかがえる。自社セミナー・会社説明会の開催数や開催地域を増やす動きも見られ、採用拡大に伴い全体的に広報拡大・強化路線が進むのは間違いないだろう。

8.時期の繰り下げによる変化予想(2016年度採用に対して)

2016年度からのスケジュール大幅繰り下げにあたり(大学3年の3月に採用広報解禁、大学4年の8月に選考解禁)、自社の採用活動への影響を尋ねた。「やや不利になる」25.5%、「とても不利になる」33.6%と、6割近く(59.1%)が採用に不利に働くと予想した。前年調査で「どちらともいえない」と考えを保留していた企業51.5%が、ここ1年で「不利になる」に転じているのがよく分かる。企業規模別に見ると、いずれの規模でも過半数が「不利になる」と予想しており、とりわけ大手企業で数字が高くなっている。
スケジュールの繰り下げによる変化について、前年に引き続き見解を尋ねたところ、「学生が勉学や学生生活にもっと打ち込めるようになる」「海外に留学する学生が増える」の2項目については、「そう思わない」という回答が依然多数を占めた(それぞれ64.9%、49.4%)。政府がスケジュールを繰り下げる目的は「学修時間の確保」「留学等の促進」にあるが、企業側はそれらの実現に疑念を抱く声が多いようだ。
「経済団体に縛られない企業で青田買いが積極的になる」「人気企業に学生が集中する」「学生の大手志向が強まり、中小企業が人材確保に苦しむ」の3項目については、8割前後が「そう思う」と回答しており、様々な懸念が強く出ていると言える。「就職が決まらないまま卒業する学卒未就職が増える」に対し「そう思う」は61.2%と6割強だった。

12.グローバル人材の採用と新卒採用での英語力

「日本人留学生」を採用する企業は全体の28.8%で、前年より2.4ポイント増加した。すべての規模で前年を上回っている。日本の大学で学ぶ「外国人留学生」を採用する企業は全体の24.4%で、同0.5ポイント増加。優秀なグローバル人材のニーズは依然高い。
一方、留学生に限らず新卒採用で英語力を「重視する」と回答した企業は29.8%と全体の約3割。そのうち英語力を「採用選考時の基準としている」企業は13.3%だった。


【調査概要】
調査対象: 全国の主要企業8,749社
回答数: 1,097社
調査方法: インターネット調査法
調査期間: 2014年5月20日~28日
調査機関: 株式会社ディスコ キャリアリサーチ

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