「転職後のギャップ」についてアンケート調査(30歳以上対象) 

2015年01月20日
エン・ジャパンは、運営する『エン転職コンサルタント』上で、30歳以上のユーザー1,824名を対象に「転職後のギャップ」についてアンケート調査を行いました。

【調査結果概要】

30歳以上の転職経験者で、聞いていた情報と転職先企業の実態が違うと感じたことがある方は8割以上にのぼることが分かりました。ギャップには良いものと悪いものの両面がありますが、特に悪い意味でのギャップを感じている方が多く、「風土・社風」「昇給制度」「教育体制」が思っていたよりも悪かった点のトップ3に挙がりました。具体的に事前情報と異なる実態を伺ったところ、入社前の約束が反故にされたり、社風があまりにも悪かったりしたため、ブラック企業だと感じた方も少なくないようです。悪いギャップを感じるポイントは、人の価値観によってさまざまなため、もっとも多くの方が「情報収集不足」がギャップの原因だと考えていました。人生のターニングポイントとなる転職で想像と違うと後悔しないためには、自身が納得できるまで「入社後の具体的な仕事内容」「実際に働いている社員の声」を聞き、「インターネットのクチコミ」も活用して、可能な限り多くの生の情報を集めて判断することが重要と言えそうです。

【調査結果詳細】

1:82%の転職経験者が転職後のギャップを経験。

30歳以上の転職希望者に「これまでに転職経験はありますか」と質問をしたところ、90%の方が「ある」と回答しました。そこで、転職経験者の方に「転職前に聞いていた企業の評判や求人内容と、転職後の実態に相違がありましたか」と伺うと、82%と大多数の方が「ある」と答え、ほとんどの転職経験者が入社後に聞いていた話と違うと感じていたことが分かりました。そこで、「入社後に感じた相違点は、結果的に次の転職動機に繋がりましたか」と伺うと、75%の方が「はい」と回答。転職前と入社後で、イメージの相違や条件面の齟齬があると再転職に繋がりやすく、働き手・企業の双方に損失が生じていると言えそうです。

2:転職後の悪いギャップ、トップ3は「風土・社風」「昇給制度」「教育体制」。

転職後に感じたギャップを良かった点と悪かった点の両面で伺いました。悪かった点のトップ3は「風土・社風が悪かった」(42%)、「昇給しにくい」(38%)、「教育体制が整備されていなかった」(36%)という結果に。良かった点のトップ3は「特になし」(28%)、「中途入社者が多かった」(21%)、「経験できる仕事が増えた」(21%)となりました。複数項目選択可能にしたこの質問に対して、悪い点は平均2.5項目、良い点は平均1.5項目選択されました。転職後に感じたギャップが次の転職に繋がりやすいことからも分かるように、ギャップは良い点よりも悪い点を感じた方が多いことが分かります。

悪かった点の年代別特徴をご紹介します。年齢が上がるごとにポイントが上がるのは、「風土・社風が悪かった」(30代:36%、40代:43%、50代:45%)、「裁量の幅が狭かった」(30代:17%、40代:24%、50代:25%)という項目で、反対に年齢が上がるごとにポイントが下がる項目は、「昇給しにくい」(30代:43%、40代:37%、50代:36%)、「教育体制が整備されていなかった」(30代:41%、40代:36%、50代:33%)など待遇面への不満となりました。良かった点についても、年代別特徴が見られます。30代は「残業が減り、帰宅時間が早くなった」(30代:17%、40代:11%、50代:12%)、50代は「社長との距離が近かった」(30代・40代:14%、50代:20%)という項目のポイントがほかの年代よりも高くなりました。

「風土・社風」は、解釈によっては聞いていた情報通りではあるものの、思っていたものと乖離があると感じた方が多かったようです。たとえば、『堅実に見えた社風は、裏を返せば保守的な社風』『意見が言いやすい環境の意味は広く、ただの悪口を本人の目の前で自由に発言』『家庭的で和気あいあいとした職場は、要職を身内で固めたワンマン企業』などの意見が上がっています。年齢が高い方は、経営の意思決定の場面に立ち会うことも多く、派閥に象徴される社内政治による雰囲気や風通しの悪さを感じる機会が多いようです。風通しの悪さは「裁量の幅」につながる部分も多いため、年代が上がるごとにポイントも上昇したと言えます。

転職後に感じた悪いギャップの具体的なコメントは、下記をご参照ください。

【風土・社風について】
●堅実に見えた社風は、裏を返せば保守的な社風であった。そのため、ベンチャーといいつつ古い日本企業の風土とベンチャーの悪い風土が混ざった社風でした。(41歳、男性)
●社風自体は、グローバルなビジネス展開、働きやすい環境を掲げており、実際にそういうシステムになっていたが、部門によってはとんでもない環境だった。パワハラ、マタハラなど日常的で、ここはどこのブラック企業かと、錯覚した。(41歳、女性)
●「意見が言いやすい環境」「自由な社風」の意味は広いと感じた。ただの悪口や噂話を本人の目の前で人格否定というところまで自由に発言。いじめやパワハラと感じるだけだった。(42歳、女性)
●社内の連絡はメール中心。極端な部署では、会話自体をメールでやっていた。(48歳、男性)
●家庭的で和気あいあいとした職場と聞いていたが、実際は要職を身内で固めたワンマン企業。何でもやらされ、ミスはすべて新人の責任になるので、なかなか人材が定着しなかった。(49歳、女性)
●社内政治がとても酷く2グループに分かれていて、新規社員でもどちらかにつかないと仕事ができない状況(どちらについても仕事がし辛い状況)だった。(53歳、男性)

【昇給制度について】
●新卒と中途で差はないと謳っているが、成果を上げても評価が低いなど差がある。(30歳、男性)
●求人票には昇給ありと書いてあったが、それは社長と話し合ってOKが出たら…ということであって、実質昇給なしだった。入社後、他の社員から知らされた。社長からは説明なし。(34歳、女性)
●評価と昇給の連動を謳っていて、評価がよかったため、十分な昇給を期待したが、まったくかなわなかった。(36歳、男性)
●昇給昇格は随時あって飛躍的にあがると聞いたが、そんな実績はどこにもない。(38歳、女性)

【教育体制について】
●教育をする余裕もなく、とにかく見て覚えろと言われた。(36歳、男性)
●教育体制が整っていない上、上司の指示系統もなかったので現場は混乱していた。(37歳、男性)
●営業店舗を任されたが教育制度がなかったため、自分の判断でやらざるを得なかった。その結果が伴わないことを責められても、改善策がわからず、勤務時間だけが長くなることに。(49歳、男性)

【裁量の幅について】
●社歴の長い人がとにかく偉そうで、自分のやり方考え方がすべて。彼や彼女が1+3=4と思ったら、2+2、3+1のモノを持っていってもNG。聞く耳持たず。(42歳、男性)
●裁量権がほとんどなく、何をするにもトップレベルまでの承認が必要だった。(48歳、男性)
●裁量権やスピード感、さらに業務の流れに問題があるのが分かっていても「以前からこうやってるから」というだけで変えようとはせず、とにかく無駄が多く役所的。(50歳、男性)
●新入社員からいる社員の派閥があり、その意見は社長まで優先的に届くが、中途採用者は上位職であっても意見を伝える場自体が少ないか、聞いてもらえないことが多い。(54歳、男性)

3:ギャップが生じた原因は「入社前の情報収集不足」。足で稼ぐリアルな声がポイント。

「(転職後に)相違があった原因は何だったとお考えでしょうか」と質問をしたところ、第1位は「入社前の情報収集不足」(41%)、第2位は「急ぎの決断をした」(31%)、第3位は「妥協(せざるを得なかった)」(22%)となりました。年代別で大きな差異はなかったものの、30代のみ「印象だけで決定した」が27%で第3位となりました。

転職経験の有無に関わらず、「入社後に後悔しない為には、どうすれば良いと思いますか」と伺うと、第1位は「入社後の具体的な仕事内容を聞く」(41%)、第2位は「実際に働いている社員と話す機会を持つ」(39%)、第3位は「インターネットの口コミ情報を見る」(36%)という結果でした。転職経験の有無で結果を比べると、トップ3の順位に変動はありませんが、総じて転職経験がない方はより多くの項目を選択していることが分かります。特に転職経験なしの方のポイントが大きく上回ったのは、「今後の企業情報を調べる」(転職経験あり:27%、転職経験なし:36%)「企業のホームページをよく見る」(同:23%、同:35%)という一般に普及している情報の収集に関連する項目でした。転職経験がある方のポイントが上回ったのは、「同業者に話を聞く」(転職経験あり:33%、転職経験なし:27%)、「面接官にもっと質問をする」(同:30%、同:24%)という直接足で情報を取りに行く項目でした。「その他」を選んだ方からは、『大企業の場合、部門のカラーがある。こればっかりは入ってみないとわからない部分だった』『社内の人間関係は入社するまでわからない』などのコメントも上がりました。


【調査概要】
調査方法:インターネットによるアンケート
調査対象:「エン転職コンサルタント」利用者 1,824名
調査期間:2014年10月1日~2014年10月30日

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