ジェトロは2014年10~11月、欧州に進出している日系企業に対し、経営実態に関するアンケート調査を実施。

【調査結果概要】

1.今後1~2年の事業展開
 製造業がリーマン・ショック以前の水準まで回復


・在欧州日系製造業で今後1~2年の事業展開を「拡大」と回答した企業は52.7%と2013年の49.9%より2.8ポイント増となった。リーマン・ショックや欧州債務危機が発生する以前の水準(2007年は52.7%)まで回復している。
・非製造業を含めると、在欧州日系企業で今後1~2年の事業展開を「拡大」と回答した企業が52.4%、「現状維持」が44.4%、「縮小」が2.6%であった。

2.将来有望な販売先
 有望な販売先としてトルコがロシアを上回る、製造業は域外新興国も視野に


・欧州域外の将来有望な販売先として、トルコが第1位であった(294社)。近年、製造業では欧州を拠点としてトルコなど周辺新興国へ販売展開する動きが見られる。南アフリカ共和国やアラブ首長国連邦などでも拡大基調にある。
・一方、政治や為替面でリスクを抱えるロシアは前回1位から2位となった(243社)。

3.売上高・営業利益の見通し
 2014年の営業利益・売上高見通しはプラス、経済の先行きには依然として慎重な見方


・2014年の営業利益見通しは、「黒字」が70.1%、「均衡」は17.0%、「赤字」は13.0%だった。2015年の営業利益見通し(前年比)は、「改善」が43.5%、「横ばい」が48.7%、「悪化」が7.8%となった。
・2014年の売上高見通しは、「売上高増」が68.9%、「売上高減」が31.1%だった。特に、中・東欧、トルコの「売上高増」が78.3%と目立つ。
・欧州経済の先行きに対して「すでに景気後退から抜け出した」は11.9%で、「景気後退から抜け出すのにまだ時間がかかる」が67.4%だった。景気先行きについて依然として慎重な見方が多い。

4.経営上の課題
 課題は「労働コストの高さ」と「人材の確保」、中国・欧州企業が主要な競合相手


・経営上の課題点は「労働コストの高さ」が45.0%、次いで「人材の確保」(42.6%)、「景気低迷、市場縮小」(39.5%)が挙がった。
・「新たな競合企業の出現」(29.5%)についてその国籍を聞いたところ、中国企業が58.2.%で最も多かった。欧州では中国企業による欧州企業買収が相次いでいる。欧州企業(28.5%)、韓国企業(27.8%)が続く。
・経営の現地化に向けた取り組みとして、「現地化を意識した現地人材の研修・育成の強化」(53.2%)や「現地人材の登用(部長・課長級)」(52.9%)、「現地化を意識した即戦力となる現地人材の中途採用」(43.4%)が多かった。

5.EPA/FTA
 日・EU EPAに期待


・EUが交渉を進める経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)が事業に与える影響については、日・EU EPAの「メリット大」が37.2%と他のEPA/FTAに比して期待が高い。地域別では、中・東欧・トルコ(47.1%)が西欧(35.8%)を上回っている。EU・米国のFTAは15.8%であった。
・EU・ASEANのFTAは「メリット大」が15.1%であった。ASEAN加盟国別ではEU・タイの「メリット大」が17.0%と目立つ。

6.現地調達
 現地調達率、欧州域内で過半数を占有


・部品・原材料の調達先(国・地域別)の内訳は、「現地」(31.2%)が最も多く、「日本」(29.8%)、「現地除く欧州」(22.9%)と続き、欧州と日本で8割以上を占める。※「現地」は、所在国を指す。
・「現地」からの調達先(企業)の内訳は、地場企業(80.2%)が最も多く、現地進出日系企業が10.9%、その他外資企業が8.9%であった。※「現地」「地場」は、所在国を指す。


【調査概要】
調査方法・実施時期:アンケート調査 2014年10月14日~11月14日
アンケート送付先:在欧州日系企業1,496社(回答企業数984社、有効回答率65.8%。トルコは製造業のみ。)
質問項目:(1)今後1~2年の事業展開、(2)将来有望な販売先、(3)売上高・営業利益の見通し、(4)経営上の課題、(5)EPA/FTA、(6)現地調達など

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[ジェトロ]
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