インフルエンザワクチン接種価格調査(インターネット調査で収集した1,620施設の金額を集計) 

2015年11月06日
QLifeは、ホームページ等でインフルエンザワクチン接種価格を公開している全国1,470施設ならびに開業医対象のインターネット調査で収集した150施設、計1,620施設の金額を集計した。

昨年(2014~2015年シーズン)の調査価格と比較すると、前年比265円の大幅アップとなった。東京都は3,440円(前年比440円アップ)、大阪府は3,165円(前年比282円アップ)であった。2015年度からインフルエンザワクチンが3価から4価に変更されたことに伴い、ワクチン納入(仕入れ)価格が上昇したことが値上げの主な原因と推察される。

分布を見ると、3,000円ないし3,080円が最も多く、全体の62%を占める。それ以外では3,500円、4,000円に山がある。3,000円未満のクリニックがほとんど無くなったのが今年の特徴である。

値上げが患者の実質負担にどの程度の影響があるのか、東京都の440円アップを例に検証すると、小学生の子ども2人がいる4人家族の家庭では(小学生では2回接種が標準なので)440円×6回=合計2,640円の実質負担増となる。ただし小学生の接種には公的補助がある自治体も多いため、例えば千代田区や台東区など比較的助成額が厚いところでは昨年比30%近い支払額アップとなりそうだ。

さらにQLifeでは、インフルエンザ予防接種を行う開業医150人に対してワクチン接種に関するアンケート調査も行った。それによると、95%がワクチン納入価格(仕入れ額)が「昨年より値上がりした」と回答した。しかし、その原価上昇分を接種料金に転嫁できた医師は半数にとどまり、残り半数のクリニックでは昨年よりも収益圧縮した料金設定をしていることが分かった。その理由として「価格を上げると接種人口が減る可能性がある」「むしろ集客のチャンスとしたい」などの回答が挙がった。

注:仕入れ額が下がったクリニックのなかには、使用するワクチンの種類(シリンジ仕様や、チメロサールなどの保存剤有無など)自体を変更しているケースがあると推察される。

▼「増やした」理由
・チメロサールフリー、ホルムアルデヒドフリーのワクチン(割高なもの)のみを接種するから(4,280円、50代 大阪府)
・昨年まで、かなり低価格に設定したため、諸費用を考えると利益がなかったから(4,000円、50代 栃木県)

▼「同じにした」理由
・医師会の決定価格に準じたから(4,500円、50代 茨城県)
・儲からなくてもいいから(3,500円、50代 兵庫県)
・利益を得るために予防接種をしているわけではないので(4,000円、50代 大阪府)
・これ以上高くすると、接種率が下がる可能性があるため(4,500円、60代 石川県)
・インフルで儲ける気はない(3,500円、50代 東京都)
・予防接種で儲けようと思わない(4,000円、60代 兵庫県)
・便乗値上げをしたくなかったから(3,500円、40代 京都府)
・患者に負担をかけたくなかった(3,500円、50代 栃木県)

▼「減らした」理由
・一人当たり原価が500円上昇したが端数をなくすために460円の上昇とした。患者サービスのために仕方ない(2,500円、50代 滋賀県)
・値上がり過ぎて接種人口が減ると考えたから(3,000円、40代 奈良県)
・あまり高いと接種率が落ちそうだから。ワクチンで儲けようと思ってない(4,000円、50代 福岡県)
・他施設が上がるであろうから、逆に下げてみて、患者動向を見たかった(2,500円、60代 愛媛県)
・値段を上げたいが、接種率が減り、地域の健康維持に対する不安があるから(4,000円、40代 京都府)
・約1.5倍の原価の値上がりをそのまま利益に反映させられる訳が無い。自分が患者だったらそれなら打たないと思う(3,500円、40代 愛知県)
・ほとんどかかりつけの患者さんなので、サービス(3,500円、60代 三重県)

また、今期のインフルエンザワクチン接種の傾向について聞いたところ、「あえて接種しない人が増えている」「接種したくてもできない人が増えている」とした医師は2割に留まった。「4価になったことを喜ぶ人が多い」と感じている医師は1割に満たなかった。

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[QLife]
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