産休・育休に関する実態調査(過去10年以内に産休を取得したことがある20~49歳の女性対象) 

2016年05月11日
ゲンナイ製薬は、2016年3月23日~3月31日の9日間で、過去10年以内に産休を取得したことがある20~49歳の女性に対し、「産休・育休に関する実態調査」をインターネットリサーチで実施し、1,000名の有効回答サンプルを集計しました。(調査協力会社:ネットエイジア株式会社)
※今回の調査では、末子出産時の産休・育休について質問を行っています。

【調査結果サマリー】

≫ 産休・育休取得の実態
・産休ママのパートナーの育休取得率1割以下
・「出産1か月前まで仕事をしていた」3割弱、4人に1人は育休取得期間が「1年に満たず」
・産休・育休を取得して良かったと思うこと 「子どもの成長をみられた」6割半、「体を休められた」4割強
・産休取得者の3人に2人が「子育てと仕事の両立」に不安を抱える

≫ 産休・育休の取りづらさ
・「産休・育休の申請をためらった」4割強、取得前例がある職場で抵抗感が和らぐ傾向
・「職場の人に迷惑をかける不安で産休・育休申請をためらった」4人に1人
・産休取得者の4人に1人がマタハラ被害を経験 受けたマタハラの内容とは?

≫ 職場復帰に関する実態
・産休・育休明け「職場復帰できず」2割強、復職時の待遇「休業前より悪化」1割強
・職場復帰できなかったら家計がひっ迫していた?
 職場復帰できて良かったこと「家計を支えられる」が7割半、夫の年収500万円未満の層では8割に
・年収500万円以上の女性 4人に1人が「職場復帰できないとキャリアにブランクが空く」ことを不安視
・産休・育休後に退職した理由「職場に迷惑をかける不安」や「保育園がみつからなかった」が上位に

≫ 産休・育休の取得促進に向けて
・産休経験者が望む、休業取得者へのサポート内容
 「急用時のフォロー体制の確立」「受け入れ意識の醸成」「時短・休暇制度の充実」
・2年以上の育休取得者の3割が「復帰者向けの研修を実施してほしい」と実感
・「次に妊娠したら、育休を取得したい」8割半


【調査結果】

■産休ママのパートナーの育休取得率1割以下
■「出産1か月前まで仕事をしていた」3割弱、4人に1人は育休取得期間が「1年に満たず」

過去10年以内に産休を取得したことがある20~49歳の女性(全回答者)1,000名に対し、育休を取得したか聞いたところ、「取得した」は86.4%、「取得しなかった」は13.6%となりました。多くの方が、産休だけでなく育休も取得しているようです。
また、パートナーは育休を取得したか聞いたところ、「取得した」は7.8%、「取得しなかった」は92.2%となりました。パートナーの育休取得は1割にも満たない現状が明らかになりました。

では、産休や育休の期間はどのくらいとなっているのでしょうか。
全回答者(1,000名)に対し、産後休業をどのくらい取得したか聞いたところ(※)、「6週間程度」(12.6%)、「8週間程度」(28.4%)に回答が集まったほか、「12週間以上」が52.7%と過半数を占めました。
※…現在、産休・育休中の方は、現時点での予定を聴取

また、産前休業をどのくらい取得したか聞いたところ、「4週間程度」(19.8%)や「6週間以上」(47.1%)に回答が集まりましたが、「取得しなかった」(3.9%)や「1週間程度」(5.8%)、「2週間程度」(9.9%)、「3週間程度」(8.1%)といった回答を合わせると、“出産1か月前まで仕事をしていた”方が27.7%みられました。

続いて、育休を取得した方(864名)に対し、育休をどのくらい取得したか聞いたところ(※)、「1年程度」が53.4%と過半数となりましたが、「1か月程度以下」~「半年程度」までの、育休期間が1年程度に満たない方は合計で25.1%と、およそ4人に1人の割合となりました。
パートナーの育休取得状況別にみると、パートナーが育休を取得した層は平均10.6か月、パートナーが育休を取得しなかった層は平均12.4か月となり、パートナーが育休を取得した層は育休取得期間が2か月程度短くなりました。パートナーが育休を取得することで、自身の育休期間は短めになる傾向があるようです。満足な育休期間が取れなかった分を、パートナーが育休を取得してサポートしたのかもしれません。
※…現在、産休・育休中の方は、現時点での予定を聴取

■産休・育休を取得して良かったと思うこと 「子どもの成長をみられた」6割半、「体を休められた」4割強
■産休取得者の3人に2人が「子育てと仕事の両立」に不安を抱える

全回答者(1,000名)に対し、産休・育休を取得して良かったと思うことを聞いたところ、最多回答は「子どもの成長を間近でみられたこと」(66.0%)となりました。子どもの成長を見守ることができたことを産休・育休の良さとして実感しているようです。以下、「自分の体をしっかり休ませられたこと」が4割強(42.6%)、「育児以外の家事にも注力できたこと」が3割(30.3%)、「親としての自覚を持てたこと」が3割弱(27.8%)で上位に挙がったほか、「働き方について見直す機会ができたこと」(19.5%)、「人生設計について見直す機会ができたこと」(17.4%)など、働き方やライフプランについて改めて考える機会ができた、との回答もみられました。

次に、産休・育休中に不安だったことを聞いたところ、最多回答は「子育てと仕事を両立し続けられるか」で、6割半(65.5%)が挙げました。3人中2人の割合で、“子育てと仕事の両立”に不安を抱きながら、休業期間を過ごしている状況が明らかになりました。以下、「同じ業務内容・待遇で復帰できるか」(40.2%)といった職場復帰時の待遇面での不安、「産休・育休前と同じスピード・質で業務をこなせるか」(37.4%)といった自身のスキル低下に対する不安、「復帰後、嫌味を言われたり嫌がらせをされたりしないか」(17.7%)といった、休業明けのハラスメント行為に対する不安などが上位に挙がりました。

■「産休・育休の申請をためらった」4割強、取得前例がある職場では抵抗感が和らぐ傾向
■「職場の人に迷惑をかける不安で産休・育休申請をためらった」4人に1人

職場において、産休・育休制度はどの程度浸透・理解されているのでしょうか。浸透度や理解度の指標として、取得事例やイクボスの有無について質問を行いました。
全回答者(1,000名)に対し、自身の妊娠時、職場で既に他の従業員が産休・育休を取得した前例があったか聞いたところ、「あった」は68.6%、「なかった」は31.4%となり、自身が“初めての取得事例”となった方が少なくないことが明らかになりました。
続いて、自身の妊娠時、職場にイクボス(※)がいたか聞いたところ、「いた」は24.9%、「いなかった」は75.1%となりました。実際に産休を取得した方の4人に3人が、産休や育休制度に理解があって、なおかつ取得を推進してくれるような上司はいなかったと回答しており、“産休・育休取得の応援ムード”ができあがっているとは言えない状況が明らかになりました。
※…「職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランス(仕事と生活の両立)を考え、部下・スタッフのキャリアと人生を応援しながら、組織の業績においても結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(経営者・管理職)」として聴取

職場における浸透度や理解度は、まだ十分とは言えない現状が明らかになりました。そのような状況では、産休・育休を申請することに、ためらいを感じた方もいるのではないでしょうか。そこで、全回答者(1,000名)に対し、産休・育休の申請をためらったか、ためらった場合は、その理由について聞きました。
産休や育休の申請をためらった割合は41.9%で(※)、申請をためらった理由についてみていくと、最多回答は「職場の人に迷惑がかかると思ったから」(23.7%)、次いで「復帰後、ブランクを埋めるのが大変そうだと思ったから」(12.8%)が続きました。職場のメンバーに迷惑をかけてしまう不安や、休むことによって生まれる“空白期間”への懸念が窺える結果となりました。また、それらに次いで「退職を促されるのではないか不安だったから」(10.2%)が挙がりました。妊娠・出産を理由として退職を促すことはマタニティ・ハラスメント(マタハラ)の一種とされています。マタハラを受けるかもしれないという不安が、女性に産休・育休の申請をためらわせる要因のひとつとなっている現状が明らかになりました。
産休・育休の前例の有無別にみると、前例があった層は、前例がなかった層よりも、ためらった割合が低くなっています(前例があった層36.4%、前例がなかった層53.8%)。また、申請をためらった理由として「職場の人に迷惑がかかると思ったから」を挙げた割合は、前例があった層のほうが9.6ポイント低くなりました(同20.7%、30.3%)。前例があることで、後に続く女性の不安は軽減されるようです。
※次の計算方法で算出。100%-「産休や育休の申請をためらわなかった」割合58.1%

■産休取得者の4人に1人がマタハラ被害を経験 受けたマタハラの内容とは?

産休・育休の申請をためらった理由の上位に、“退職を促されるのでは”というマタハラへの懸念が挙がっていました。では、マタハラの実態はどうなっているのでしょうか。全回答者(1,000名)に対し、産休・育休取得時に受けたマタハラ被害について質問しました。
マタハラの被害に遭った割合は26.7%で(※)、4人に1人がマタハラ被害に苦しんだ経験がある実態が明らかになりました。受けたマタハラの内容をみると、「精神的な嫌がらせ(嫌みを言う、無視するなど)」(7.5%)や「産休・育休を認めない旨の示唆」(5.3%)のほか、「雇い止め(解雇、契約を更新しないなど)の示唆」、「就業形態を転換する(正規から非正規への転換など)旨の示唆」(ともに5.0%)といった雇用契約に関するマタハラ、「望まない異動の示唆」(4.9%)、「減給や降格の示唆」(4.4%)といったポストや待遇に関するマタハラの被害を経験した方がいることがわかりました。
※次の計算方法で算出。100%-「マタハラは受けなかった」割合73.3%

■産休・育休明け「職場復帰できず」2割強、復職時の待遇「休業前より悪化」1割強

産休・育休が既に終了している方(712名)に対し、職場復帰に関する状況を聞いたところ、「復職し、1年以上勤めた・勤められそう」は78.2%、「復職したが、1年未満で退職した」は8.7%、「復職できなかった」は13.1%となりました。休業明けに復職したものの1年未満で退職した方や、そもそも復職できなかった方といった、“職場復帰できなかった方”が合計で21.8%となりました。

また、復職した方(619名)に対し、復職時の待遇について聞いたところ、「休業前より良い待遇で復職した」は12.0%、「休業前と同じ待遇で復職した」は74.5%、「休業前より悪い待遇で復職した」は13.6%となりました。休業明けに、労働条件が悪化した方が1割強みられました。
復職後の定着状況別にみると、「休業前より悪い待遇で復職した」は、1年以上勤めた層では12.0%、1年未満で退職した層は27.4%となりました。職場から正当でない扱いを受け、働き続ける意思のある女性が退職に追い込まれてしまった、といった状況も少なくなかったのではないでしょうか。

■職場復帰できなかったら家計がひっ迫していた? 職場復帰できて良かったこと 「家計を支えられる」が7割半、夫の年収500万円未満の層では8割に
■年収500万円以上の女性 4人に1人が「職場復帰できないとキャリアにブランクが空く」ことを不安視

続いて、「復職後、1年以上勤めた・勤められそう」と回答した、職場復帰できた方(557名)に、職場復帰できて良かったと思うことを聞いたところ、「給与を得て家計を支えられること」が7割半(75.9%)で際立って高くなりました。職場復帰できなければ、家計がひっ迫していた方も少なくないのかもしれません。次いで「自由に使えるお金ができた・増えたこと」が3割半(36.1%)で挙がりました。収入増をメリットと考える方が多いようです。
妊娠時の自身の年収別にみると、年収500万円以上の層では、「キャリアにブランクを作らずに済んだこと」が4人に1人の割合(23.2%)となりました。比較的高い収入を得ていることから仕事に情熱を燃やしている姿が想像されますが、そんな“バリキャリウーマン”にとって、キャリアのブランクが出世や再就職に影響するかもしれない、という懸念があったのかもしれません。
また、妊娠時のパートナーの年収別にみると、パートナーの年収が500万円未満の層は「給与を得て家計を支えられること」が79.7%と、500万円以上の層(69.3%)よりも10.4ポイント高くなりました。パートナーの収入が、“職場復帰後の家計への不安”に影響を与えていることが浮き彫りになりました。女性が休業明けに職場復帰できることを信じられない現状では、稼ぎ手がパートナー1人になっても家計を支えられるほど収入がない場合、経済的な不安から、出産に前向きになれない夫婦も少なくないのではないでしょうか。

■産休・育休後に退職した理由「職場に迷惑をかける不安」や「保育園がみつからなかった」が上位に

職場復帰できた方がいる一方で、復職自体がかなわなかった方や、復職後1年も経たないうちに退職してしまった方もいます。どんな理由で休業明けに職場を離れてしまったのでしょうか。
「復職したが、1年未満で退職した」または「復職できなかった」と回答した、職場復帰できなかった方(155名)に、職場復帰できなかった理由を聞いたところ、「子どもと一緒にいる時間をもっと作りたくなったから」(23.2%)に次いで、「職場の人に迷惑をかける・かけそうで不安だったから」(19.4%)や、「周囲に育児の面で頼れる人(親など)がみつからなかったから」(14.8%)、「子どもを預けられる保育園がみつからなかったから」(12.9%)などが上位回答となりました。職場の人に迷惑をかけるのではないか不安だったことや、保育園がみつからなかったことを理由に、退職してしまった方も多いようです。女性が産休・育休を取得して、かつ無事に職場復帰するためには、こうした不安を取り除く対策が必要ではないでしょうか。

■産休経験者が望む、休業取得者へのサポート内容 「急用時のフォロー体制の確立」「受け入れ意識の醸成」「時短・休暇制度の充実」
■2年以上の育休取得者の3割が「復帰者向けの研修を実施してほしい」と実感
■「次に妊娠したら、育休を取得したい」8割半

全回答者(1,000名)に、産休・育休取得の促進や、復帰後の活躍のサポートのために、各企業・団体にしてほしいと思うことを聞いたところ、最多回答は「急用時(子どもの急病など)のフォロー体制の確立」(58.1%)でした。急用で抜けた人の仕事を穴埋めする仕組みが整っていれば、お互いの負担や混乱を軽減できると考えられているのではないでしょうか。そのほか、上位には、「上司の理解の促進」(48.8%)や「同僚の受け入れムード作り」(40.6%)といった産休・育休を受け入れる意識・雰囲気の醸成や、「労働時間の調整(短時間・短日数勤務を認めるなど)」(47.6%)、「特別休暇制度の導入・充実(子どもの看護休暇など)」(34.3%)といった時短や休暇に関する制度の充実を求める内容が挙がりました。
育休取得(予定)期間別にみると、2年以上の層では、「復帰者向けの研修の実施」が3割(31.1%)となりました。女性人材の活用を考えるのであれば、長期の育休から復帰した方向けの研修を実施するなど、職場復帰における不安を取り除く対策が有効なのかもしれません。

さらに、全回答者(1,000名)に、もし、次に妊娠したら、育休を取得したいと思うか(※)聞いたところ、「取得したい」が8割半(86.0%)となり、大多数が育休の取得を希望しました。産休・育休に関する課題を解決し、“出産しても働き続けたい”という思いを支えることで、女性の活躍促進につながっていくのではないでしょうか。
※…現在働いていない方や今後の妊娠を希望していない方にも、“もし働いているときに妊娠したら”と仮定して聴取


「ゲンナイ製薬調べ」

【調査概要】
・調査タイトル:産休・育休に関する実態調査
・調査対象: ネットエイジアリサーチのモニター会員を母集団とする過去10年以内に産休を取得したことがある20~49歳の女性
・調査期間:2016年3月23日~3月31日
・調査方法:インターネット調査
・調査地域:全国
・有効回答数:1,000サンプル(有効回答からランダムに1,000サンプルを抽出)
・実施機関:ネットエイジア株式会社

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