2015年度 新規学卒者の採用活動・管理の実態調査 

2016年05月30日
産労総合研究所は、「2015年度 新規学卒者の採用活動・管理の実態調査」を実施しました。前回は2006年度に調査を実施しており、約10年ぶりとなります。
調査は、2016年4月に入社した新規学卒者に対する採用活動について、企業の採用担当者に聞いたもの。回答企業の96.3%が採用活動を行っており、採用人数が増えた企業は40.1%。経団連「指針」を「基本的には遵守」が44.7%。
採用にあたり重視する人材要件としては、性格面については「積極性」、「協調性」が、能力面では「コミュニケーション力」がトップに。また、回答企業における採用者1人あたりの採用活動費は、調査計で39.1万円(前回38.5万円)となった。

【調査結果のポイント】

1.【採用活動の状況と採用人数の動向】
・回答企業の96.3%が採用活動を行っており、学歴別に採用者の有無をみると、大学院卒49.1%、大学卒91.9%、短大・高専・専門学校卒41.8%、高校卒47.7%。
・前年度に対し採用人数が増えた企業は40.1%、「ほぼ同じ」とした企業が35.6%、「減った」企業は24.3%だった。

2.【経団連「採用選考に関する指針」に対する対応】
・「基本的には指針を遵守」44.7%、「遵守の方針だったが途中で変更」18.8%、「最初から意識せず活動」33.0%。

3.【採用にあたりとくに重視する人材要件】
・重視する人材要件を従業員の平均年齢別にみると、性格面については、40歳未満の企業では「積極性」が、40歳以上の企業では「協調性」が5割超となった。能力面については、いずれも「コミュニケーション力」が8割前後で断然トップ。

4.【内定者フォローの実施状況】
・各社の内定者フォローの実施状況をみると、「実施した」は全体の93.5%。1,000人以上企業99.0%、300~999人企業95.1%に対し、299人以下企業は81.5%とやや低い。具体策としては、「懇談会・食事会の開催」77.5%が最多。

5.【採用活動に要した費用】
・採用活動にかかった費用の総額は平均1,146.7万円。採用者1人あたりでみると平均39.1万円(前回38.5万円)。

6.【採用担当者の実態】
・採用担当者の平均人数を聞いたところ、調査計で4.9人(うち専任者1.6人)となった。前回調査時に比べ人数は増えているが兼務者も多く、「マンパワー不足」を課題としてあげる企業も少なくない。

【調査結果の概要】

1. 採用活動の状況と採用人数の動向
(1)採用活動の実施状況
まず、今回の回答企業の採用状況をみると、全体の96.3%とほとんどの企業が採用活動を行っていた。学歴別にみると、大学院卒を採用した企業49.1%、大学卒を採用した企業91.9%、短大・高専・専門学校卒を採用した企業41.8%、高校卒を採用した企業47.7%となっている。業種別にみると、大学院卒と高校卒の採用で、製造業が非製造業を大きく上回っている。

(2)採用人数の増減状況
前年度に対し採用人数が増えた企業は40.1%、「ほぼ同じ」とした企業が35.6%、「減った」企業は24.3%だった。1,000人以上企業では、過半数が「増えた」としている。

2 .経団連の「指針」に対する対応
経団連の「採用選考に関する指針」に対する対応については、「基本的には指針を遵守」44.7%、「遵守の方針だったが途中で対応を変更」18.8%、「最初から指針を意識せず活動」33.0%となった。1,000人以上企業では「遵守」が過半数だが、「途中で変更」も2割あった。
299人以下企業でも「遵守」派が5割と、依然として指針には一定の拘束力があるといえる。

3 .採用にあたってとくに重視する人材要件
採用にあたって「とくに重視する人材要件」について、「性格面」および「能力面」に分けて、それぞれ2つまでの複数回答で答えてもらった。
まず性格面については、「協調性」45.0%、「積極性」43.3%がともに4割台でトップ。次いで、「行動力」26.8%、「明るい」24.1%、「責任感」18.6%と続く。各要素の割合は、規模別、業種別にみてもあまり違いはみられない。
これを従業員の平均年齢別にみると、平均年齢40歳未満の企業では「積極性」が、40歳以上の企業では「協調性」が、それぞれ過半数となっている。そのほかにも、40歳未満企業は「明るい」や「行動力」を重視し、40歳以上企業は「責任感」、「柔軟性」を重視しているなど、興味深い結果となっている。
能力面については、断然トップは「コミュニケーション力」79.3%で、2番目の「問題解決力」30.3%の2倍以上となった。3番目は「チャレンジ力」28.3%である。こちらも、規模別、業種別に大きく異なる点はみられない。また、従業員の平均年齢別でみても、大きな違いはみられなかった。

4 .内定者フォローの実施状況
2016卒採用では、後ろ倒しスケジュールの影響から内定辞退が大きな問題となった。本調査でも、「採用活動、管理業務全般に関する課題」を自由記述式であげてもらったところ、「内定辞退の防止」をあげる企業が多かった。
各社の内定者フォローの実施状況をみると、「実施した」は全体の93.5%。規模別にみると、1,000人以上企業99.0%、300~999人企業95.1%に対し、299人以下企業は81.5%とやや低い。
フォロー施策の具体的内容(複数回答)としては「懇談会・食事会の開催」77.5%が最も高く、次いで「社内報・企業情報の送付」53.5%、「通信教育・eラーニング」48.3%などとなっている。1,000人以上企業では「内定者交流サイト・SNSの活用」が47.6%と高くなっている。

5. 採用活動に要した費用
(1)採用活動に要した費用の総額
採用活動にかかった費用の総額についてみると、調査計では1,146.7万円、企業規模別にみると1,000人以上企業2,381.9万円、300~999人企業734.7万円、299人以下企業301.3万円となった。費用総額は、企業規模に比例して大きくなっており、今回の調査では、1,000人以上企業の総額は300~999人企業の約3.2倍、299人以下企業の約7.9倍であった。

(2)採用者1人あたりの採用活動費
次に費用総額を採用者の合計人数で除した採用者1人あたりの採用活動費についてみると、調査計で39.1万円、企業規模別にみると1,000人以上企業36.5万円、300~999人企業38.5万円、299人以下企業44.1万円となった。前回2006年調査と比較すると、調査計では0.6万円増。業種別でみると、製造業が9.9万円の大幅減となる一方、非製造業が5.8万円増加した。

6. 規模別にみた採用担当者の人数
役職者を含めた採用担当者全員の平均人数を聞いたところ、調査計で4.9人となった。全体としては、採用担当者の人数は10年前よりも増えているといえる。
ただし専任者は調査計で1.6人と兼務者が多く、課題として「母集団形成」や「内定辞退防止」とともに、「マンパワー不足」をあげる企業も少なくない(自由記述式)。


【調査概要】
調査名:「2015年度 新規学卒者の採用活動・管理の実態調査」
調査対象:上場企業および当社会員企業から任意に抽出した約3,000社
調査時期:2016年1~3月
調査方法:郵送によるアンケート調査方式
集計対象:締切日までに回答のあった296社について集計
留意点:調査項目ごとに無回答があるため、それを除いて集計した。そのため、各表で集計者数は異なっていることに留意されたい。

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