中堅・中小企業の経営課題と賃金動向に関するアンケート調査(大阪商工会議所会員の中堅・中小企業対象) 

2016年04月26日
大阪商工会議所は、中堅・中小企業の経営課題と賃金動向に関するアンケート調査を実施。

【調査結果のポイント】

Ⅰ 業況について
1 平成28年度の売上予想(単数回答)【<資料1&2>表1-1/表1-2】
~昨年度に比べ「増収」が減少し、「増収」「減収」が拮抗。企業規模で明暗
○上半期(4月~9月)、下半期(10月~3月)の売上予想(前年同期比)は、「前年度並み」が最多(上半期:39.8%、下半期:37.2%)。
〇また、昨年度に比べ、「増収」割合(昨年上半期:35.8%、同下半期42.0%)が減少し、「増収」(上半期:29.7%、下半期:30.9%)と「減収」(上半期:28.6%、下半期:30.2%)が拮抗している。
○規模別で見ると、資本金「5千万円以下」では、上半期、下半期とも「減収」(上半期:29.3%、下半期:30.7%)が「増収」(上半期:27.7%、下半期:27.1%)を上回る一方、資本金「5千万円超3億円以下」では、「増収」が大きく上回り、上半期では「増収」が4割台半ば(44.6%)、下半期には5割台半ば(55.4%)と回答し、企業規模で明暗が分かれる。

2 平成28年度の経常利益予想(単数回答)【<資料1>表1-3/表1-4】
~全体では「減益」が「増益」を上回る。売上同様、企業規模で明暗
○上半期(4月~9月)、下半期(10月~3月)の経常利益予想(前年同期比)は、売上同様、「前年度並み」が3割台半ば(上半期:37.2%、下半期:36.1%)で最多となったが、上半期、下半期とも「減益」(上半期:31.1%、下半期:32.3%)が「増益」(上半期:29.3%、下半期:29.7%)をわずかに上回った。
○規模別で見ると、資本金「5千万円以下」では、上半期、下半期とも「減益」(上半期:32.6%、下半期:33.7%)が「増益」(上半期:27.1%、下半期:25.8%)を上回る一方、資本金「5千万円超3億円以下」では、「増益」が上回り、上半期では4割台半ば(46.4%)、下半期には5割台半ば(55.4%)に上昇するなど、増益傾向が続く。

Ⅱ 経常利益の活用策について(3項目以内 複数回答)【<資料1>表2】
(対象=表1-3、1-4で、上半期・下半期の一方または両方の「経常利益」について、「増益」(①~⑤のいずれか)と回答した合計158社)
~「販路拡大」が最多。好業績な企業では投資を積極化する動き。
○経常利益の活用策については、「取引先の開拓など販路拡大」(55.1%)が最も多く、「従業員への還元(賃上げ、福利厚生の充実)」(38.6%)、「財務基盤の強化(借入返済、内部留保拡充等)」(38.6%)が同率で続く。
○規模別に見ると、売上・経常利益ともに好調な企業が多い、資本金「5千万円超3億円以下」では、「取引先の開拓など販路拡大」とともに、「国内での設備投資拡大」(51.5%)が同率で最多となるなど、投資に積極的な姿勢が伺える。
○業種別では、製造業、非製造業とも「取引先の開拓など販路拡大」(製造業:50.0%、非製造業:57.0%)がトップ。製造業では、「国内での設備投資拡大」(36.4%)が続く。

Ⅲ 経常利益減少の理由について(3項目以内 複数回答)【<資料1&2>表3】
(対象=表1-3、1-4で、上半期・下半期の一方または両方の「経常利益」について、「減益」(⑦~⑪のいずれか)と回答した合計169社)
~「国内市場の低迷・競争激化」「個人消費の低迷」が主因。「値下げ要求」も厳しくなっている。
○経常利益減少の理由については、「国内市場での競争激化」(75.7%)が最も多く、「個人消費の低迷」(29.6%)、「取引先からの値下げ要求」(28.4%)が上位。
○昨年度調査で上位に挙がっていた、「燃料、原材料高」(9.5%、昨年度:41.9%)、「電力コストの高止まり」(3.6%、昨年度17.6%)など、コストアップ要因は、その割合が大幅に低下する一方、「取引先からの値下げ要求」(28.4%、昨年度:18.4%)の割合が上昇。
○業種別では、製造業で「取引先からの値下げ要求」(40.0%)、非製造業で「人手不足による人件費の高騰」(21.8%)の割合が高くなっているのが特徴。

Ⅳ 重点的に取り組みたい経営課題について(5項目以内 複数回答)【<資料1>表4】
~前向きな取り組みが上位
○重点的に取り組みたい経営課題については、「既存事業の販路・市場拡大」(66.5%)がトップ。以下、「人材の確保(人手不足)・育成」(52.2%)、「新分野への参入・新しい収益源の確立」(45.9%)、「既存製品・サービスの高付加価値化」(38.2%)など、前向きな取り組みが上位に挙げられている。

Ⅴ 賃金動向について
1 平成28年度の賃金改定方針(単数回答)【<資料1>表5-1/表5-2/表5-3、<資料2>表7】
 ~およそ5割台半ばの企業が「正社員」の賃上げに前向き。
○平成28年度の「正社員」の賃金改定方針については、およそ5割台半ば(56.4%)が「引き上げた/引き上げる予定」と回答。昨年度調査(61.5%)と比較すると、その割合は減少。
○他方、「契約社員・嘱託」「パート・アルバイト」の賃金改定方針は、「引き上げた/引き上げる予定」の割合(契約社員・嘱託:14.3%、パート・アルバイト:20.4%)が、正社員に比べ低くなっている。

2 賃金の引き上げ方法(単数回答)【<資料1>表6、<資料2>表8】
(対象=表5-1で、「正社員」に対し①「引き上げた/引き上げる予定」と回答した合計241社)
~ベースアップの実施はおよそ1割台半ば。
○賃金の引き上げ方法については、「定期昇給(定昇)の実施」が7割近く(67.2%)と最多。「ベースアップ(ベア)の実施」(16.6%)、「賞与など一時金の増額」(7.9%)と続く。
○「ベースアップ(ベア)の実施」は昨年度調査(25.0%)から減少。

3 賃金引き上げの理由(2項目内 複数回答)【<資料1>表7】
(対象=表5-1/表5-2/表5-3で、①「引き上げた/引き上げる予定」と回答した合計259社)
~「人材の定着やモチベーション向上」が8割近く
○賃金引き上げの理由については、「人材の定着やモチベーション向上のため」を挙げる企業が8割近く(77.6%)と圧倒的に多く、次いで「業績が改善している(または見込まれる)ため」(33.2%)。

Ⅵ 日銀のマイナス金利政策が経営に与える影響について【<資料1>表8】
 ~「影響はない」が7割弱
○マイナス金利政策が経営に与える影響については、「影響はない」が7割近く(67.2%)と最多。「どちらかと言えば「良い」影響がある」(19.2%)、「どちらかと言えば「悪い」影響がある」(12.4%)と続く。


【調査概要】
・調査目的:中堅・中小企業の業況や経営課題、賃金動向などについて把握し、要望建議など事業の基礎データとするため。
・調査期間:平成28年4月6日(水)~4月20日(水)
・調査方法:調査票の発送・回収ともにファクシミリ
・調査対象:大阪商工会議所会員の中堅・中小企業:4204社
・有効回答数(回答率):427社(10.2%)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
リンク先リサーチPDF
[大阪商工会議所]
 マイページ TOP