2017年の花粉飛散傾向 

2016年10月04日
ウェザーニューズは、12017年の花粉シーズンにおける全国の花粉飛散傾向(スギ・ヒノキ、北海道はシラカバ)を発表しました。

2017年の花粉飛散量は、2016年の西日本を中心とした猛暑の影響で花粉の雄花の生育に適した気象条件となり、平年(2008〜2016年平均)の全国平均で1.2倍、多い所で1.5倍の予想です。また、花粉飛散量が少なかった2016年と比べると、一気に増えて、全国平均で4.3倍、近畿や九州では8〜10倍となるエリアもある予想です。特に西日本では広範囲で3年振り、特に京阪神などでは4年振りの大量飛散となる恐れがあります。一方、関東や東北南部太平洋側などでは湿った空気や台風の影響で曇りや雨の日が多く、2016年よりは多いものの平年より少ない予想です。

◆来春の花粉飛散量の傾向:全国平均で平年の1.2倍、今年の4.3倍に
 2017年のスギ・ヒノキ花粉シーズンの花粉飛散量は、全国的に平年(2008〜2016年平均)より多くなる予想です。特に西日本を中心に予想飛散量が平年の1.3〜1.5倍となるエリアが目立っています。一方、関東では平年の0.5〜0.9倍と平年より少なくなる予想です。

また、全国的に花粉飛散量が少なかった2016年と比べると、一気に増えて、西日本を中心に4〜10倍となるエリアもある予想です。西日本では広範囲で3年振り、特に京阪神などでは4年振りの大量飛散となる恐れがあります。

 花粉の飛散予想は、前年の夏の天候や年ごとの飛散量傾向(“表年”、“裏年”)などの条件により決まります。2017年の花粉予想が全国的に平年比・2016年比ともに多くなっている理由は以下の通りです。

〜2016年の夏は、西日本を中心に猛暑となり、雄花の生育に適した天候に〜
 一般的に、前年の夏に十分な日照があり、夏らしい暑さであるほど、植物の光合成が盛んになるため、花粉の発生源となる雄花の生産量は多くなる傾向があります。  2016年の夏は、西日本では梅雨明け後は高気圧が強い状態が続き、特に8月は晴れて猛暑となりました。ここ数年、曇りや雨が多い天候不順の傾向であったため、西日本では3年振りに雄花の生育に適した夏となりました。一方、関東、東北南部太平洋側、北海道の道東エリアでは、湿った空気や相次ぐ台風の影響を受けて曇りや雨の日が多くなり、雄花の生育に適した天候ではなかったと言えます。

〜2017年シーズンは多くのエリアで花粉が多い“表年”に〜
 花粉の飛散は多い年と少ない年が交互にやってくることが多く、例えば、花粉が多く飛散する“表年”の翌年は、飛散量が減少する“裏年”となる傾向があります。2016年は多くのエリアで“裏年”だったため、2017年は“表年”となり、花粉が増加する予想です。  ただ、北海道や九州では“表年”“裏年”の飛散量の増減があまり明瞭ではなく、夏の天候に大きく影響される傾向があります。

◆エリア別:花粉飛散予想

【北海道(※シラカバ花粉)】
 2016年の夏は、道東エリアでは台風の影響で曇りや雨の日が多くなりましたが、その他のエリアでは8月前半を中心によく晴れ、平年より晴れて暑い夏になりました。このため2017年シーズンのシラカバ花粉の飛散量は、平年よりやや多く1.28倍、2016年の2.57倍となる予想です。

【東北北部】
 2017年は“表年”の傾向となります。さらに2016年の夏は、太平洋側では7月下旬は“やませ”によりすっきりしない天気となり、8月後半は相次いで台風が接近・上陸して大雨に見舞われましたが、それでも平年より晴れて暑い夏となりました。このため2017年シーズンの予想飛散量は、青森県で平年の1.29倍など、平年よりやや多くなる予想です。  なお、東北北部で春に多く飛散するのはスギ花粉で、ヒノキ花粉はほとんど飛散しません。

【東北南部】
 2017年は“表年”の傾向となります。さらに2016年の夏は、日本海側では平年より晴れて暑い夏となりました。太平洋側では7月下旬は“やませ”、8月後半は台風の影響を受けて、日照や気温は平年並となりました。このため2017年シーズンの予想飛散量は、山形県では平年よりやや多く1.28倍、太平洋側では平年並の予想です。  なお、東北南部で春に多く飛散するのはスギ花粉で、ヒノキ花粉はほとんど飛散しません。

【関東】
 2016年の夏は、7月前半は晴れる日が多かったものの、それ以降は湿った空気や台風の影響で曇りや雨の日が多くなりました。“表年”の傾向ではあるものの、夏の天候を踏まえると、2017年シーズンの予想飛散量は、2016年よりは多くなりますが平年より少なく、東京都は0.56倍、群馬県は0.89倍の予想です。

【北陸・甲信北部(長野県北部)】
 2017年は“表年”の傾向となります。さらに2016年の夏は、8月上旬〜中旬を中心に高気圧の勢力が強まった影響で、福井県など北陸の西側のエリアほどよく晴れて暑くなり、花粉の雄花の生育に適した天候となりました。このため2017年シーズンの予想飛散量は、長野県北部では平年並ですが、新潟県で平年の1.10倍、福井県で1.41倍など、平年よりやや多い〜多い予想です。  なお、北陸で春に飛散するのは、例年スギ花粉がメインで、ヒノキ花粉は少ない傾向にあります。

【東海・甲信南部(長野県中南部と山梨県)】
 2017年は“表年”の傾向となります。さらに2016年の夏は、8月は高気圧に覆われて、東海の西側のエリアほどよく晴れて暑くなりました。一方、山梨県など東側のエリアは湿った空気や台風の影響を受けて、8月後半は曇りや雨の日が多く、ひと夏を通じてみると平年並の天候でした。このため2017年シーズンの予想飛散量は、東海は三重県で平年の1.28倍、愛知県で1.25倍など平年よりやや多く、山梨県はやや少ない予想です。

【近畿】
 2017年は“表年”の傾向となります。さらに2016年の夏は、8月上旬〜中旬を中心に高気圧の勢力が強まった影響で、平年より晴れて暑くなり、花粉の雄花の生育に適した天候となりました。このため2017年シーズンの予想飛散量は平年より多くなる所が目立ち、兵庫県では平年の1.47倍、京都府では1.46倍、また、2016年比は5〜10倍の予想です。2014〜2016年は飛散量が平年並か比較的少ない年が続きましたが、2017年は京阪神では4年振りの大量飛散となり、ここ数年に比べて症状はつらく感じられそうです。

【山陰】
 2017年は“表年”の傾向となります。さらに2016年の夏は、8月上旬〜中旬を中心に高気圧の勢力が強まった影響で、平年より晴れて暑くなり、花粉の雄花の生育に適した天候となりました。このため2017年シーズンの予想飛散量は平年より多く、鳥取県では1.47倍、島根県では1.39倍、また2016年比は鳥取県で5.56倍、島根県で6.37倍の予想です。2014〜2016年は飛散量が比較的少ない年が続きましたが、2017年は4年振りの大量飛散となり、ここ数年に比べて症状はつらく感じられそうです。

【山陽】
 2017年は“表年”の傾向となります。さらに2016年の夏は、8月上旬〜中旬を中心に高気圧の勢力が強まった影響で、平年より晴れて暑くなり、花粉の雄花の生育に適した天候となりました。このため2017年シーズンの予想飛散量は平年より多くなる所が目立ち、山口県では1.48倍、広島県では1.44倍、また2016年比は山口県で4.78倍の予想です。2015〜2016年は飛散量が比較的少ない年が続きましたが、2017年は3年振りの大量飛散となり、ここ数年に比べて症状はつらく感じられそうです。

【四国】
 2016年の夏は、8月上旬〜中旬を中心に高気圧の勢力が強まった影響で、平年より晴れて猛暑となり、花粉の雄花の生育に適した天候となりました。これら夏の天候と“表年”の傾向を踏まえると、2017年シーズンの予想飛散量は、2016年比は4〜6倍で、平年比は徳島県で1.48倍、高知県で1.47倍など平年より多くなる予想です。2015〜2016年は飛散量が比較的少ない年が続きましたが、2017年は3年振りの大量飛散となり、ここ数年に比べて症状はつらく感じられそうです。なお、愛媛県は“裏年”の傾向ですが、2016年夏の天候が影響して飛散量が多くなる可能性があります。

【九州北部】
 2016年の夏は、8月に高気圧の勢力が強まった影響で、平年より晴れて猛暑が続き、花粉の雄花の生育に適した天候となりました。このため2017年シーズンの予想飛散量は平年より多くなる所が目立ち、佐賀県で平年の1.49倍、福岡県で1.48倍、また、2016年比は3〜10倍の予想です。2015〜2016年は飛散量が少ない年が続きましたが、2017年は3年振りの大量飛散となり、ここ数年に比べて症状はつらく感じられそうです。

【九州南部】
 2016年の夏は、8月に高気圧の勢力が強まった影響で、平年より晴れて猛暑が続き、花粉の雄花の生育に適した天候となりました。このため2017年シーズンの予想飛散量は、平年より多く宮崎県で1.43倍、鹿児島県で1.17倍、また、2016年比は宮崎県で4.82倍、鹿児島県で6.43倍の予想です。2015〜2016年は飛散量が少ない年が続きましたが、2017年は3年振りの大量飛散となり、ここ数年に比べて症状はつらく感じられそうです。

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