近所の飲食店利用実態調査(20代以上の男女/個人飲食店のオーナー対象) 

2017年10月27日
調査&マーケティングプロデュースを行うセルウェルは、飲食店の活性化をはかるために、20代以上の男女1,000人を対象に「近所の飲食店利用実態調査」と、グルメサイト「ぐるなび」に加盟している個人飲食店のオーナー100人を対象に調査を行いました。主な調査結果は以下の通りです。

<調査結果サマリー>

●半数近くは利用経験がない近所の飲食店、理由はお店の情報が届いていないから
・ 55.9%の人が近所の飲食店の利用経験あり。44.1%は「利用したことがない」。
・ お店を知ったきっかけは、「家族・友人の紹介」 (85.3%)、 「友人・知人のSNS」(67.7%)、「ダイレクトメール」(60.7%)の順。
・ 利用したことがない理由は、「店舗情報がない」(70.5%)、「メニューが分からない」(62.8%)などお店の情報が届いていないから。

●常連店を知ったきっかけは紹介やダイレクトメール、お店の方の人柄が常連店になる決め手
・ 60.9%の人が常連店あり。自宅からの距離は「3㎞圏内」(52.5%)が最も多い。
・ 常連店を知るきっかけは、「家族・友人の紹介」(79.8%)に次いで「ダイレクトメール」(65.7%)が多い。
・ 常連になりたいポイントは、「店主の人柄」(60.8%)、「スタッフの人柄」(54.4%)が上位。料理以上に“お店の方の人柄”が常連になる決め手に。

●お店が知らせたいこととお客さまが知りたいことには、告知方法にも内容にも“ズレ”がある
・ お客さまが常連店にやってもらいたいことは、「お会計割引」(53.9%)、「メニュー外の料理」(39.3%)の順だが、お店側は常連客が求めているものを「メニュー外の料理」(56.0%)、「旬のものを優先提供」(41.0%)と考えており、両者の思いに乖離がある。
・ お客さまは「ダイレクトメール」(65.7%)で常連店を知るのに対し、お店から近所への「ダイレクトメール」利用は12.0%。告知方法のマッチングができていない。
・ 告知でお店側が最も重視しているのは「メニュー内容」(62.0%)。一方、お客さまが最も知りたい情報は「価格、予算感」(76.9%)。お客さまが知りたい情報が届いていない。

<調査結果>

●男女1,000人の近所の飲食店との付き合い方
■近所の飲食店を知るきっかけは、友だちからのクチコミやSNSに次いで「ダイレクトメール」が意外と多い
■近所の飲食店の継続利用には「人とのつながり」が欠かせない

 全国の20代以上の男女1,000人(男性589人、女性411人)を対象に、「近所の飲食店」との付き合い方を調査しました。
まず、近所の飲食店の利用経験を聞くと、55.9%が利用経験があり、約2割が「今も継続して利用」(19.2%)していますが、44.1%は「利用したことがない」と答えています[図1]。
 近所の飲食店を利用したことがあると答えた人に、そのお店を知ったきっかけを聞くと、「家族や友人、知人からの紹介」(85.3%)が最も多く、「友人、知人のSNSでの投稿」(67.7%)、「ダイレクトメール」(60.7%)、「お店のホームページ」(55.8%)の順となり、クチコミやSNSなどの友人・知人からの紹介に次いで、「ダイレクトメール」がお店を知るきっかけとなっていることがわかりました[図2]。
 また、近所の店を利用する理由を聞くと、「自宅から近い」(83.3%)、「最寄り駅から近い」(61.8%)など地理的な近さに次いで、「家族や友人、知人からの誘い」(59.4%)、「他の常連客と知り合い」(57.6%)など、人とのつながりが近所の飲食店を利用する要因となっているようです[図3-1]。
 近所の飲食店を継続的に利用している人にその理由を聞くと、「自宅から近い」(78.6%)「美味しい」(67.4%)に次いで、「お店の人と親しい」(62.0%)、「よく一緒に行く友人のお気に入り」(57.8%)、「他の常連客と親しい」(45.5%)という意見が多く、人とのつながりがお店とのつながりにも大きく関係していることが分かります[図3-2]。

■近所の飲食店を知る情報源は、「店頭」「チラシ」「ダイレクトメール」「SNS」
■知りたい情報は、「予算感」「メニュー」「クーポンなどの割引情報」

 次に、近所の飲食店を利用したことがないと答えた人にその理由を聞くと、「店舗に関する情報がない」(70.5%)、「メニューが分からない」(62.8%)という理由が大きく、お店の情報が届いていないことが一番の要因となっています[図4]。
 そこで、お店の情報との接点について聞いてみました。まず、近所の飲食店の情報をどこから得ることが多いかと聞くと、「お店の前を通りがかったとき」(74.0%)が最も多く、「ポストに入っていたチラシなど」(66.6%)、「友人、知人のSNSでの投稿」(63.8%)、「ダイレクトメールなどの郵送物」(44.2%)の順となっています[図5]。近所のお店だけに、お店自体が最も大きな接触ポイントとなっていますが、「チラシ」や「ダイレクトメール」もお店と人(お客さま)をつなぐ有効な接点となっています。
 では、近所の飲食店についてどんな情報を知りたいのか聞くと、「価格、予算感」(76.9%)、「メニュー内容」(76.7%)へのニーズが高く、また、近所に限らず飲食店全般でも「メニュー内容」(83.9%)、「価格、予算感」(81.4%)がツートップとなり、次いで、「クーポンなどの割引情報」(近所の飲食店40.4%、飲食店全般45.2%)となっています[図6]。メニューと価格とクポーン情報は、飲食店認知に欠かせない三大要素と言えそうです。

●常連店になるポイント
■全体の約6割が常連店あり
■地方は自宅から3km圏内と狭く、首都圏は自宅から10km圏内とより広い範囲に常連店あり

 次に、「よく行く飲食店=常連店」について聞いてみました。
 まず、常連店の有無を聞くと、全体の60.9%が常連店が「ある」と答えています[図7]。常連店があると答えた人に、自宅から常連店までの距離を聞くと、全体の約半数が自宅から「3km圏内」(52.5%)となり、1駅1kmとして電車で2〜3駅ぐらいの範囲が常連店を持つ範囲と考えられます。この常連店を持つ範囲は都市部と地方とでは大きく異なるようで、東阪名在住者の場合、「3km圏内」と答えたのは23.4%しかおらず、地方では、「1km圏内」が44.4%と最も多く、全体の8割強が「3km圏内」(84.0%)となり、地方の方が常連店は自宅周辺から選ばれることが多いようです[図8]。

■常連店を知る最初のきっかけは、「友人の紹介」か「ダイレクトメール」
■常連になりたいと思うポイントは、料理の好みよりも“店主・スタッフの人柄”を重視

 常連店を知るきっかけは、「家族や友人、知人からの紹介」(79.8%)、「ダイレクトメール」(65.7%)の順で、「ダイレクトメール」は「新聞折込のチラシ」(43.5%)や「お店のSNS」(41.5%)よりもぐっと効果的です[図9]。
 全員を対象に、そのお店の常連になりたいと思うポイントを聞くと、「店主の人柄がよい」(60.8%)、「スタッフの人柄がよい」(54.4%)が上位となり、「料理の味付け」(52.1%)や「料理のジャンル」(49.4%)以上に“店主・スタッフの人柄”が常連になる決め手となっているようです[図10]。

●お店とお客さまの“意識のズレ”実態
■飲食店のお客さまの半分は常連客、常連客が約5割以上の飲食店が全体の57.0%
■常連客の4割は近隣に住んでいるご近所さまが多い

 最後に、ぐるなびに加盟している単独経営の飲食店オーナー100人を対象に、お店の実態調査を行いました。
 常連客の割合を聞くと、最も多いのは「(41%)〜50%」(26.0%)で、飲食店の約6割が「常連客が5割以上」(57.0%)となっています[図11]。また、常連客の4割は「近隣」(41.0%)にお住まいの方となっています[図12]。

■お客さまが常連店に望むことと飲食店オーナーの思いにはズレがちらほら
■飲食店の75%はお店の業績が理想を下回っている

 [図13]の通り、飲食店オーナーの95.0%は「常連客を増やしたい」と考えていますが、利用者であるお客さまのニーズとマッチしているのか調べてみました。
 さきほどの調査対象1,000人に、客として自分が常連店でやってもらいたいことを聞くと、「お会計の金額を割引してくれる」(53.9%)、「メニュー外の料理を作ってくれる」(39.3%)、「サービスで料理を数品提供してくれる」(37.6%)、「旬のものが入れば優先的に提供してくれる」(34.4%)の順となりました。
 一方、飲食店オーナーに常連客が求めていると思っていることを聞くと、「メニュー外の料理を作ってくれる」(56.0%)、「旬のものが入れば優先的に提供してくれる」(41.0%)が多くなっています。「旬のものを優先的に提供」(客34.4%、店41.0%)は客と店側との意見が一致していますが、「お会計の割引」(客53.9%、店11.0%)や「無料での料理の提供」(客37.6%、店14.0%)は、両者のギャップが大きくなっています[図14]。お客さまのニーズと飲食店オーナーの認識に乖離があるからなのか、飲食店オーナーの75.0%がお店の業績が理想より「下回っている」と答えています[図15]。

■お店側が選ぶ情報発信方法は客側に届いていない?!
■オーナーがこだわっている情報とお客さまが知りたい情報にもギャップ

 お店の情報発信について、お店とお客さまとのズレを見てみます。
 飲食店オーナーに対し、店頭装飾やホームページ、チラシなどの情報発信方法のうち、お店の告知のためにやっていることを聞くと、「グルメサイト」(86.0%)の利用が最も多く、次いで「お店のSNSでの発信」(57.0%)、「自店のホームページ」(51.0%)、「店頭の装飾」(45.0%)の順となっています。近所を意識した告知は、「店頭の装飾」(36.0%)が高いほかは、お店自体の告知に比べて低くなっています[図16]。
 飲食店オーナーが近所を意識して行う情報発信方法と、常連客が常連店を知ったきっかけ(3p[図9]抜粋)を比較したものが[図17]です。お客さまはお店が注力している「店頭の装飾」を目にする「店の前を通りがかったとき」(49.8%)よりも「ダイレクトメール」(65.7%)がきっかけで常連店を知ると答えています。しかし、お店側の「ダイレクトメール」の利用は12.0%と低く、情報発信方法のマッチングができていないことが明らかとなりました。
 お店が発信する情報の内容で飲食店オーナーが重視していることは、「メニュー内容」(62.0%)、「店のこだわりポイント」(48.0%)、「価格、予算感」(46.0%)、「雰囲気」(43.0%)の順ですが、お客さまが近所の飲食店に関して知りたい情報(2p[図6]抜粋)と比較すると[図18]のようになり、「店のこだわりポイント」はお店側(48.0%)が重視しているほどお客さま側(16.4%)は重視しておらず、お客さまは「価格、予算感」(お客さま76.9%、お店46.0%)や「クーポンなどの割引情報」(お客さま40.4%、お店13.0%)をより重視しています。
 自店の常連客を増やし繁盛店としていくためには、お客さまへの情報発信方法とお客さまが知りたい情報内容を吟味することが大切です。

[ご参考]今どきのひとり飲み実態
■全体の約6割が「週1日以上」ひとり飲みを楽しんでいる
■男性は家でも外でもひとり飲みをするが、20代女性はひとり家飲みより“ひとり外飲み”の方が好き♥

 昨今のひとり飲みの実態を調べてみました。まず自宅でのひとり飲みの頻度を聞くと、全体の約6割が「週1日以上」(57.0%) 自宅でひとり飲みをしています。女性より男性の方が頻度は高めですが、20代女性では4割近くが「週1日以上」(37.5%)自宅でひとり飲みをしており、40代女性では47.0%と半数近くが自宅で週1日以上、ひとり飲みを楽しんでいます[図19-1]。
 次に飲食店でのひとり飲み頻度を聞くと、男性は自宅での頻度とさほど変わりませんが、女性は自宅より飲食店でひとり飲みする傾向が高く、20代女性では半数が「週1日以上」(50.9%)お店でひとり飲みを楽しんでいます。自宅でのひとり飲みが多い40代女性は、お店でのひとり飲み頻度は低くなり、「外で飲めないから自宅で飲む」ということのようです[図19-2]。

■20代〜30代女性の7割が「ひとり外飲みしたい!」
■近所でのひとり外飲みが好きな30代・40代男性、ひとり外飲みが苦手な20代男性も近所ならOK

 飲食店でのひとり飲みについて、全体の半数が「ひとり外飲みしたい」(53.7%)と答えていますが、20代男性は32.3%と低いのに対し、20代女性(72.3%)・30代女性(71.7%)のひとり外飲み意向は約7割と高くなっています。若い世代は外でお酒を飲まなくなったと言われますが、若い女性はひとり外飲みを大いに歓迎していることが分かりました[図20-1]。
 近所でのひとり外飲み意向を聞くと、こちらは30代男性(71.4%)・40代男性(70.1%)の意向が高く7割を超えています。ひとり外飲み意向が低かった20代男性も、近所であれば約6割(59.6%)がひとり外飲みもOKのようです。女性は上の世代は低めですが、20代(55.3%)・30代(42.1%)の若い世代では、近所でのひとり外飲み意向が高くなっています[図20-2]。


【調査概要】
<生活者調査概要>
■実施時期 2017年10月2日(月)~10月4日(水)
■調査手法 インターネット調査
■調査対象 全国の20代~50代以上の男女1,000人(男性589人、女性411人)
<飲食店オーナー調査概要>
■実施時期 2017年10月4日(水)~10月6日(金)
■調査手法 インターネット調査
<飲食店オーナー調査概要>
■調査対象 ぐるなび加盟者かつ、全国の単独店経営のオーナー(兼務も含む)100人

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