金融ジェロントロジーにおける資産運用に関する調査(60歳以上の高齢者層対象) 

2018年01月26日
野村アセットマネジメントと、野村資本市場研究所は、「人生100年時代」と言われる個人の長寿化と社会の超高齢化における高齢者層の資産運用のあり方を探るため、「金融ジェロントロジーにおける資産運用に関する調査」を2017年11月に実施しました。その調査結果をまとめましたので公表します。

【主な調査結果】

・身体や気力という点では、高齢世代ほど老齢化を自覚する回答が増加するが、理解力・思考力・判断力の低下を自覚する回答は相対的に緩やかに上昇
70 代に入ると、「体力」「気力」「持続力」が低下し、「健康が損なわれる」との回答が増加。財産管理能力に関連する「理解力」「認識力」「思考力」「判断力」が低下するとの回答割合は緩やかに上昇。
80 代では、4 割以上が「記憶力」「認識力」「継続力」の低下を自覚。

・認知機能の低下に直面すると、「現投資家」の4割が証券投資による運用をやめて預金と回答。事前に運用方針を決めて家族等と共有したいとの回答の割合も約 3 割に達する
「資産運用をやめて預金」、「事前に運用方針を決めて家族等と共有」との回答の割合は、各年代共に他の項目と比べて高い。他方、60 代においては、「どうしていいのか、わからない」が 4 割。認知症に直面した際の対応について必ずしも定まっていないことがうかがえる。

・年間の資産取り崩し額は、金融資産の 3%相当額。金融資産の取り崩し可能年数は 34 年
年間の取り崩し額は、金融資産の 3%相当額。金融資産の取り崩し可能年数としては、34 年となる。
これに平均年齢を加えると資産寿命は平均寿命や100 歳を超える。ただし、計画的に取り崩している割合は 2 割を下回っている。計画的な取り崩しを行うことで資産寿命を管理する必要があろう。

・老後資金の運用も「元本を維持する」。計画的に資金を受け取りながら運用することに関心がある
預金などの元本保証商品のみとするだけでなく、証券投資による資産運用においても「元本を減らさないこと」に対する意向は高い。投資信託を活用して計画的に資金を受け取りながら運用することに関心が見られる。


金融ジェロントロジーとは
ジェロントロジー(老年学、加齢学)とは、人間の老齢化現象を、医学、生物学、工学、経済学、社会学、心理学、法学など多面的、学際的アプローチにより、個人の長寿化と社会の高齢化に適応した社会システムの構築、社会価値観の創造などを追及する学問。
金融ジェロントロジーは、高齢者の経済活動、資産選択など、長寿・加齢によって発生する経済や金融取引の課題を、経済学を中心に関連する研究分野と連携して、分析研究し、 課題の解決策を見つけ出す新しい研究領域である。
(清家篤・編著「金融ジェロントロジー 『健康寿命』と『資産寿命』をいかに伸ばすか」(東洋経済新報社、2017 年)より抜粋)

【調査概要】
・調査目的:
「人生100年時代」と言われる個人の長寿化と社会の超高齢化において、保有する金融資産が最期まで枯渇することなく、長期に維持されることが求められている。本調査では、60歳以上の高齢者層を対象に、金融ジェロントロジー(金融に係る老年学)に基づき、老齢化の状況や認知機能の低下などの中で、金融資産の運用や管理の状況と意識を把握することをねらいとしている。またこれらの調査結果を公表することにより、資産運用に関する調査研究の向上など、社会への還元を図ることを目的とする。
・調査対象・サンプル数:
調査対象;3,054サンプル。60歳以上89歳までの男女(調査会社に登録しているモニター)から3,000サンプルを目途に調査を実施。なおサンプルの集計において、人口統計等に基づき、年代別構成比を合わせ、ウエイトバックというサンプル数補正を行なった上で集計処理を行なっている。
・調査地域と調査方法:
 ・全国
 ・60代:インターネット調査、70代および80代;郵送調査およびインターネット調査
・調査時期
 ・郵送調査 発送 2017年11月1日(水)~投函限 11月13日(月)
 ・インターネット調査 2017年11月9日(木)~11月17日(金)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[野村アセットマネジメント]
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