タレントプールの利用実態に関する調査(企業の採用担当者対象)
2018年09月06日scoutyは、企業の採用担当者を対象としたアンケート調査を実施いたしました。
タレントプールは近年取り入れる企業が多くなってきている採用手法です。
将来的に採用する可能性がある候補者をリスト管理しておくことで、採用枠が空いたタイミングや候補者が転職を考えはじめたタイミングで応募を促します。
本調査では、タレントプールの利用実態と活用にあたっての課題について、企業の採用担当者にアンケートを実施しました。
調査サマリー
調査の結果、タレントプール運用を行っている企業、行いたい企業が多い一方で、タレントプール運用を行っている企業の半数がタレントプールを使いこなせていないと自覚していることがわかりました。
また、使いこなせていない理由としては「アプローチタイミングがわからない」「情報のアップデートができない」という二点が非常に大きいことも浮き彫りになりました。
- 採用活動の主な課題は「スキルマッチした人材の発見」と「母集団形成」
- 選考前に候補者とコミュニケーションをとるカジュアル面談実施企業が半数以上
- 転職のタイミングが合わずに選考に進まなかった経験を採用担当者の2割以上が経験
- タレントプール利用「している/してみたい」が半数以上も、「タレントプールしたデータを使いこなせていない」
- タレントプール活用の課題は「アプローチタイミング」と「情報のアップデート」
調査結果の詳細
本調査では、タレントプールの利用実態とともに、タレントプール運用の入り口となるカジュアル面談の実施状況や課題、その他の採用課題についてもアンケートをとりました。
1. 採用課題は「スキルマッチした人材の発見」と「母集団形成」が他の回答を圧倒
採用活動における課題で最も多かった回答は「求めているスキルの人材を見つけ出せない」で51.6%でした。続いて「十分な候補者数が集まらない」が42.4%と、3位の「採用費用の増大」(26.0%)を大きく引き離しました。
求人倍率が上昇し売り手市場となっている今日では、求めているスキルにマッチした候補者の母数を確保するという採用活動の初期の段階で多くの企業がつまづいてしまっているようです。
特にエンジニア採用に関わっている採用担当者では「十分な候補者数が集まらない」が48.9%、「求めているスキルの人材を見つけ出せない」が55.0%と、課題がより顕著に表れています。これは、他の職種にくらべてエンジニア採用が採用困難な職種であることを物語っていると考えられます。
2. 選考前にカジュアルなコミュニケーションを図る企業が半数を超えるも、「タイミングが合わず選考に進まなかった」候補者も2割以上
様々な採用サービスやリファラル採用などの新手法が生まれていくなかで、一昔前のような応募サイトから履歴書を送付して試験や面接に進むという採用フローは変化してきているようです。
54.0%が選考前にカジュアル面談やイベントでの会話、メッセージのやりとりなどで候補者とコミュニケーションをとっていると回答しました。採用課題で顕著だった母集団形成を解決するために、自社に少しでも興味を持った人をより強く惹きつけて選考に乗るようにするという採用手法に変わっていっていると考えられます。
一方でカジュアル面談などを行う上でスキルやカルチャーがマッチしないことは多いようです。また、スキルやカルチャーがマッチしている場合でも「直近の転職を希望していなかったために選考に進まなかった」経験がある担当者は23.7%にのぼります。
間口を広げて候補者母数を確保する一方で、転職活動を行っていない候補者とのカジュアル面談を行うものの、すぐの採用には繋がらないという問題も発生していることがうかがえます。
3. タレントプールを「利用している/してみたい」は約5割も、その半分は使いこなせていないことを自覚している
近年タレントプールを活用して、接点を持った候補者と中長期的にコミュニケーションを図り、候補者が転職を考え始めたタイミングで選考に進んでもらうという企業が増えてきています。
タレントプールの活用状況については、「利用している」(32.4%)「してみたい」(20.4%)2つの回答が合わせて52.8%にのぼり過半数を占めました。
一方でタレントプール内のデータを使いこなせていないと自覚しているという回答は45.7%にのぼりました。
半数近くの企業がタレントプールを使いこなせておらず、不満を感じつつも現状のツール・手法でタレントプールの運用をしているようです。
4. タレントプール運用の課題は「アプローチタイミング」と「情報のアップデート」
タレントプールの運用上の課題については「リストに入っている候補者への適切なアプローチタイミングがわからない」が49.4%で最も多いという結果になりました。タレントプールに候補者を登録したとしても、直近では転職しない候補者に対してどのタイミングでアプローチすればいいのかがわからないため、効果的な採用活動に繋がっていないようです。
また、二番目に多かったのは「リストに入っている候補者の現況を窺い知れない」の46.9%でした。タレントプールに登録した候補者が現在転職を考えているのか、すでに他の会社に転職してしまっているのかなど直近の情報を把握できないことが問題になっているようです。
まとめと考察
本調査を通して、多くの企業がタレントプールを利用している、利用したいと考えている一方で、アプローチタイミングや情報のアップデートが行えないことによりタレントプールを使いこなせていないことがわかりました。
こういった課題の背景には、タレントプールの運用スキームが整っていないことに加えて、既存のタレントプールに使用されているツールがスプレッドシートの延長のような「入力した候補者情報を保存する」機能のみに特化しているという問題が大きいと考えられます。
候補者情報を登録しておくだけで、情報が自動的にアップデートされ、効果的なアプローチタイミングを提案してくれるタレントプールがあれば、採用担当者が抱えるタレントプール運用の課題の多くは解決されるのではないでしょうか。
調査概要
調査名:タレントプールの利用実態に関するアンケート調査
調査地域:全国
調査対象:IT、ソフトウェア、情報処理・サービス業に従事する20〜60代の採用担当者
サンプル数:有効回答数 250サンプル
調査手法:インターネット調査
調査機関:株式会社ネオマーケティング
調査実施時期:2018年8月