2020年卒・新卒採用に関する企業調査 - 採用方針調査(2019年2月) 

2019年02月21日

ディスコは、全国の主要企業14,007社を対象に、2020年卒者の採用方針についての調査を実施しました。(調査時期:2019年1月28日~2月6日、回答社数:1,306社)。

調査結果サマリー


1.2020年3月卒業予定者の採用見込み
○「増加」28.0%、「減少」7.9%。9年連続で「増加」が「減少」を上回りました
2.自社の採用活動の見通し(難易度)
○「非常に厳しくなる」がさらに増加(45.3%→48.6%)。企業側の危機感が感じられます
3.採用活動のスタンス
○「学生の質より人数の確保を優先」25.2%。今年も4社に1社が「質より量」
4.採用活動の開始予定時期
○自社セミナー開始、エントリーシートの受付開始とも「3月上旬」が最多
○過半数の企業がゴールデンウィーク前に内定出しを開始予定
5.2020年卒採用のテーマ
○「母集団の拡大」が最多。「3月より前のアプローチ」が2年連続で大きく増加しました
6.ゴールデンウィーク中の採用活動
○「採用活動を実施(一部実施含む)」17.6%、「まったく実施しない」38.1%、「未定」44.3%
7.3月より前に実施した企業広報
○9割超が3月より前に企業広報を実施。イベントを中心にプレ期広報が過熱
8.インターンシップ実施状況
○今年度実施企業は74.9%。前年調査より4.1ポイント増加、実施企業の満足度は低下
9.2019年3月卒業予定者の選考終了状況
○選考終了企業は81.8%。充足率の平均は81.1%。前年をやや下回る結果に

調査結果


1.2020 年 3 月卒業予定者の採用見込み

2020 年 3 月卒業予定者の採用見込みについて尋ねた。前の年(今春入社予定者)よりも採用を「増加」すると回答した企業が 28.0%であるのに対し、「減少」は 7.9%。5 年連続で「増加」が「減少」を 20 ポイント以上、上回る。企業の採用見込みは、リーマン・ショック後の 2011 年卒採用を底に増加傾向が続いてきたが、採用意欲は 20 年卒採用についても維持される見込みだ。学生に優位な売り手市場が続くと見ていいだろう。

従業員規模別に見ると、いずれの規模も「増加」が「減少」を大幅に上回るが、従業員 1000 人以上の大手企業において 3 割超(32.3%)が増加と回答。特に、大手企業の採用意欲の高さが目立つ。業界別でも、いずれも前年より「増加」が「減少」を上回っている。「IT」「流通・商社」において「増加」と回答した企業の割合が 3 割を超えている。

2.自社の採用活動の見通し(難易度)

採用活動の見通しを尋ねたところ、「非常に厳しくなる」という回答がさらに増え、半数近くを占めた(48.6%)。「やや厳しくなる」(39.2%)を合わせた 87.8%が「厳しい」との見方を示した。「楽になる」との回答はほとんどなく、内定者の確保に向け危機感がさらに強まっている様子が見て取れる。危機感の強さは業界で差が見られ、「製造」「サービス業」において「非常に厳しくなる」が半数を超えているのに対し、「金融」は 4 割を下回る(39.7%)。

3.採用活動のスタンス

「学生の質よりも、採用予定人数の確保を優先」という企業が 25.2%。採用難を背景に、今年も 4 社に 1 社が質より量を優先せざるを得ない状況だ。こうしたデータからも人材獲得競争が過熱している様子がわかる。

4.採用活動の開始予定時期

2020 年卒の採用活動は「3 月採用広報解禁、6 月選考解禁」の 4 年目だが、企業は具体的にどのようなスケジュールで進めようと考えているのだろうか。
自社セミナー・説明会の開始は 3 月上旬が最も多く(33.4%)、3 月中旬(24.3%)がこれに続く。今年も採用広報解禁月の 3 月に集中しているが、一方で 2 月までに開始した企業も計 24.1%に上る。前年実績(計 21.1%)よりも増加しており、早期に開始する企業が増えたことがわかる。
エントリーシート(ES)受付開始は、過半数(54.6%)の企業が 3 月上旬と回答し、採用広報解禁直後の集中度合いがいっそう高まる見込みだ。なお、ES の結果通知時期は分散しているが、3 月の合計が過半数に上り(52.5%)、受付開始から短期間で通知する企業が少なくない。

面接の開始が最も多いのは 3 月下旬(14.3%)。その前後の時期もそれぞれ 1 割を超えており、3 月中旬から 4 月中旬を合わせると半数に達する(50.0%)。特筆すべきは 2 月以前の数字で、3月 1 日の採用広報開始前に面接を始める企業は計 13.9%に上る。前年実績(7.5%)を大きく上回り、前年以上に早まっている様子が見て取れる。一方で、選考解禁直後の 6 月上旬は 7.0%にとどまり、早期化が一層進むのは間違いないだろう。
内定出しの開始時期は 6 月上旬が最も多いが(13.7%)、4 月下旬も 1 割を超える(12.3%)。
4 月下旬までの数値を足し合わせると 51.4%となり、2 社に 1 社は大型連休前に内定を出し始める見込みだ。なお、企業規模が大きいほど 6 月上旬の数値は高くなるが、1000 人以上の大手企業でも 2 割(20.3%)にとどまる。

5.2020 年卒採用のテーマ

採用の一番のテーマとして最も多くの企業が選んだのは、3 年連続「母集団の拡大」(26.1%)。
ポイントはやや減少したものの、売り手市場が続く厳しい採用環境下においては、多くの企業にとって重要課題であることに変わりはない。「3 月より前のアプローチ」(19.3%)は、2 年連続で大きくポイントが増加。早期アプローチの重要性を認識する企業が増えたことがわかる。早い時期から学生にアピールすることで認知度を上げ、3 月解禁以降の母集団確保や志望度アップにつなげたいという狙いがうかがえる。

6.ゴールデンウィーク中の採用活動

今年のゴールデンウィークは 10 連休が予定されているが、その間の採用活動の予定を尋ねた。
「採用活動を実施する」(7.0%)、「一部実施する」(10.6%)を合わせて 2 割弱の企業が連休中の採用活動を予定(計 17.6%)。流通やサービス業など、祝日が営業日の業界において割合が高い。
一方「まったく実施しない」は全体の 4 割弱(38.1%)で、実施企業の 2 倍以上に上る。ただし、4 割を超える企業が「未定/わからない」と回答しており(44.3%)、自社の採用活動の進捗や学生の動向を見て対応したいと考える企業も多いようだ。
なお、学生にも意見を聞いたところ、「ぜひやって欲しい」が 2 割未満(19.7%)なのに対し、「やらないで欲しい」は 4 割近くに上り(38.7%)、連休中の採用活動に否定的な学生が多かった。

7.3 月より前に実施した企業広報

先に見たように(4 ページ)、プレ期のアプローチを重視する企業は増加傾向にあるが、具体的にはどのような活動を行ったのだろうか。採用情報を伴わない企業広報について、プレ期の実施状況を調査した。「企業広報はしていない」という回答は 7.1%にとどまり、9 割以上の企業は何らかの広報を実施。最も多いのは「大学主催のセミナーに参加」で 6 割強(66.9%)。続く「就職情報サイトでの企業情報公開」、「就職情報サイト主催のイベントに参加」までが過半数に上り、いずれも前年調査より大幅に増加した。企業規模が大きいほど実施率は上昇し、より多くの手法を組み合わせる傾向が強い。
なお、「大学主催のセミナー」「就職情報サイト主催のイベント」「自社開催のセミナー」の参加や実施の回数について、前年からの増減を尋ねたところ、いずれも「増やした」が「減らした」を大幅に上回った。イベントを中心にプレ期広報が過熱している様子がうかがえる。

8.インターンシップ実施状況

今年度(2018 年 4 月~2019 年 3 月)にインターンシップを「実施した」と回答した企業は、7 割を超え(計 74.9%)、前年調査(70.8%)を 4.1 ポイント上回る。大手企業では実施率が 9 割近くに上っている(計 89.6%)。
実施時期は、「2 月」が 7 割超で最も多い(74.4%)。いずれの月も前年より増加しているが、特に「8 月」「9 月」の夏季が目立つ。
実施期間を見ると、「1 日以内」のプログラムを実施した企業が 8 割強に上る(86.4%)。経団連が日数要件を撤廃したことで(2017 年 4 月発表)、大手企業を中心に短期型が急増したが、今年度もさらに増加。一方で 5 日以上のプログラムは減少しており、短期化が進んだことが表れている。

インターンシップ実施の目的について尋ねたところ、最も多いのは「採用活動のための母集団形成」で、前年調査より 5.6 ポイント増加し 8 割を超える(83.3%)。一方で「学生の職業観の涵養」「大学・研究室との関係構築」「地域・社会貢献」などは低下しており、早期広報の一環として実施している企業が増加したことがわかる。
インターンシップ参加学生に対して何らかの優遇策を講じるという企業は 7 割を超える(71.6%)。具体的な優遇策は、「早い時期に本選考」が最も多く、半数近い企業が選んだ(49.9%)。
前年調査より 8 ポイント増加しており、参加者を早期に囲い込む動きが強まった。「限定セミナーの開催」も 4 割を超えており(42.1%)、採用活動の母集団につなげるために、インターンシップ参加学生と継続的に接触をもつ企業が多いことが読み取れる。

インターンシップを実施した満足度を尋ねたところ、「質・量ともに満足」が 2 年連続減少(27.0%)。前々年度(36.4%)と比較するとその差は 10 ポイント近い。一方「質には満足だが、量に不満」(31.8%)と「質・量ともに不満」(23.3%)がともに増加しており、「量」に不満を感じる企業は合わせて 55.1%。インターンシップ実施率の上昇に伴い、学生の動員に苦戦するケースも増加しているようだ。

来年度(2019 年 4 月~2020 年 3 月)のインターンシップの予定を尋ねたところ、「実施する」と回答した企業が 7 割弱(68.7%)。前年同期調査(61.1%)を大きく上回った。実施予定時期を見ると、「2019 年 7 月~9 月」が最も多く(70.6%)、前年より 6.8 ポイント増加。いずれの時期も前年調査よりも増加しており、インターンシップは今年度以上に過熱することが予想される。

9.2019 年 3 月卒業予定者の選考

最後に、2019 年 3 月卒者(現 4 年生)の採用選考状況を確認したい。入社まで約 2 カ月という時点で、採用活動を「終了した」と回答した企業は全体の 81.8%。前年同期調査(82.3%)をやや下回った。正式内定日(10 月 1 日)を迎えるタイミングで実施した前回調査では 56.3%だったので、この 4 カ月間で 25.5 ポイント増加した。企業規模が大きくなるほど終了率は上がり、1000 人以上の大手企業では 9 割近い(89.3%)。業界別にも差が見られ、「金融」では 9 割を超えており(93.6%)、最も低い「サービス業」(73.7%)との差は 20 ポイント近くに及ぶ。
採用予定数に対する内定者の割合、いわゆる「充足率」の平均は 81.1%。10 月調査(77.4%)から 4 カ月間の伸びはわずか 3.7 ポイントにとどまり、10 月以降は充足率を高めるよりも、次の2020 年卒者の採用活動準備へと切り替えるケースが多かったのではないかと想像できる。なお、調査時点で採用選考を終了している企業の充足率の平均は 86.0%だった。
充足率も企業規模が大きいほど高い。大手企業は 89.2%と 9 割近いが、中小企業では 73.9%で、15 ポイント以上の差が付いている。

調査概要


調査対象:全国の主要企業 14,007社
調査時期:2019年1月28日 ~ 2月6日
調査方法:インターネット調査法
回答社数:1,306社
調査機関:株式会社ディスコ キャリタスリサーチ

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