主婦の消費動向アンケート調査 

2014年12月22日
静岡経済研究所は、静岡県内サラリーマン世帯の家計を預かる主婦を対象にした「主婦の消費動向アンケート調査」の結果を発表。

【調査結果概要】

~景況感はやや後退、家計の引き締め傾向強まる~

□ 最近の景気については、「とくに変わっていない」が7割を占め、全体では底堅さを保っているものの、「悪くなっている」が 26.1%と前回調査より12.0 ポイント増加し、改善傾向にあった景況感はやや後退した。

□ この1年間に“充実させた費目”は、主に「子供の教育費」で、今後“充実させたい費目”は「旅行・レジャー費」が最も多い。一方、今後“節約したい費目”としては、「外食費」、「毎日の食費」、「水道光熱費」と回答する主婦が多かった。

□ 主婦は、「多少値の張るものも買うが、締めるところは締める」というメリハリのきいた買い物をする傾向があり、今後も家計を預かる主婦のニーズを満たす商品やサービスが多く生まれることが期待される。


【調査結果】

改善傾向にあった景況感はやや後退
サラリーマン世帯の主婦を対象に最近の景気について尋ねたところ、「とくに変わっていない」(70.3%)が7割を占め、全体では底堅さを保っているものの、「悪くなっている」(26.1%)との回答が前回調査より12.0ポイント増加し、改善傾向にあった景況感はやや後退した。
また、生活レベルの満足度については、“満足派”(「満足」+「どちらかというと満足」)が“不満派”(「不満」+「どちらかというと不満」)を上回り10.9ポイントとなった。ただし、前回調査比では▲5.1ポイントと、生活レベルに対する満足度はやや低下しているとみられる。

強まる家計支出の引き締め傾向
現在の家計支出について、1年前と比較して「かなり引き締めている」あるいは「多少引き締めている」と回答した“引き締め派”は57.6%と、過半数を占めた。また、今後1年間の見通しについて も、 こうした“引き締め派”は、72.4%と、7割超に上っている。消費税率引上げや物価上昇に伴う家計への負担感から、主婦の“財布のひも”はさらに固く締まりそうだ。
今後、家計を引き締めたいと考える理由としては、「教育費・ローン等の負担の増加」(39.8%)が最も多く、「将来に備えた貯蓄の増加」(20.0%)、「手取り収入の減少」(17.6%)が続いた。
年代別にみると、20代では将来に対する不安感から「将来に備えた貯蓄の増加」(62.2%)が突出している。一方、30代、40代では、子育てや住宅取得といったライフステージを反映して「教育費・ローン等の負担の増加」(各45.2%、57.7%)が、50代、60代以上では「手取り収入の減少」(各30.2%、54.1%)が最も多くなっている。

「旅行・レジャー」「子供の教育」を充実
次に、過去1年間に支出を“充実させてきた”費目をみると、「子供の教育費」(31.6%)が最も多く、「旅行・レジャー費」(28.7%)、「毎日の食費」(20.9%)が続いた。また、今後1年間に“充実させたい”費目では、「旅行・レジャー費」(52.0%)を半数超が挙げ、次いで「子供の教育費」(28.1%)、「趣味・娯楽費」(23.6%)となった。家計が厳しい中でも、子供への教育や旅行・レジャーなど、特定の分野については積極的な消費姿勢がうかがわれる。
一方、この1年間に“節約してきた”費目は「外食費」(39.2%)が最も多く、次いで「衣料品購入費」(30.5%)、「毎日の食費」(23.2%)となった。そして、今後1年間に“節約したい”費目は、「外食費」(37.9%)、「毎日の食費」(27.1%)、「水道光熱費」(26.2%)の順となった。いずれも例年上位に上がっている費目で、食費や光熱費を抑えようという傾向が続いている。

根強い人気の「スマホ」と「LED照明器具」
最近1年間に購入した耐久消費財は、①「スマートフォン(以下スマホ)」(26.4%)、②「LED照明器具」(13.8%)、③「掃除機」(10.7%)の順となった。1位の「スマホ」は前回調査でも首位だったが、月額料金が安い“格安スマホ”が登場して市場が活性化したほか、シニア層などにも徐々に受け入れられたことから普及が進んだ。2位の「LED照明器具」は、低価格化が進み、光熱費の節約につながることなどから選ばれている模様である。3位の「掃除機」は、デザイン性の高いものや、軽くて使いやすいコードレスタイプのハンディクリーナーなどが人気で、現在使用している掃除機に追加して購入する“買い増し”も多くみられた。

一方、今後1年間に購入したい商品も、①「スマホ」(12.0%)、②「LED照明器具」(9.4%)、③「掃除機」(8.3%)となった。「スマホ」は、30~ 50代の各世代でトップになり、今後も最新機種への買い替え需要など、堅調な売れ行きが見込まれる。50~60代以上でトップとなった「LED照明器具」は、高機能・低価格化がさらに進むと予想され、現状、普及率も61.9%にとどまっていることから、今後、一層の普及が期待される。
また、4位以降をみると、20代でトップの「パソコン」(7.5%)、家事の時間短縮を目的として30代の共働き世帯や60代以上の主婦から支持の厚い「ロボット掃除機」(7.3%)、高機能・大容量化が進む「大型冷蔵庫(400ℓ以上)」(同)など、従来機種からの買い替え需要が顕在化しそうだ。なお、若い世代では、「空気清浄器」や「薄型テレビ(4K)」を上げる声も多かった。

また、ここ1年間に利用したサービスの実績ベスト3は、「県外への国内旅行」(62.7%)、カラオケや映画館などの「娯楽施設の利用」(59.9%)、「県内への旅行」(56.8%)で、いずれも5割以上に上った。そして、今後1年間に利用したいサービスは、「県外への国内旅行」(71.2%)が最も高く、次いでコンサートやスポーツ観戦などの「イベント」(53.8%)、「県内への旅行」(53.7%)の順となった。

インターネットでの購入が上昇
最近の商品の購入先をみると、食品は「食品スーパー」、家電製品は「中・大型専門店」での購入が圧倒的に多い。また、日用品は「中・大型専門店」と「ショッピングセンター」の利用が多く、化粧品は「中・大型専門店」に加え「通信販売(ネット販売含む)」の利用割合が高くなっている。一方、衣料品は、「ショッピングセンター」が最も多いが、自分の衣料は「百貨店」で購入するという傾向がみられる。また、インターネットを利用して購入や予約をした商品・サービスでは、「衣料・ファッション」(47.3%)が最も多く、「本・音楽・映像・ゲーム等」(38.8%)、「旅行・イベント」(36.9%)、「美容・健康関連商品」(33.9%)、「飲料・食品」(33.0%)と続き、上位5項目の利用率はいずれも3割を超えた。

これを年代別にみると、20 ~ 40代の世代では「衣料・ファッション」や「本・音楽・映像・ゲーム等」の割合が高くなっているのに対し、50代では上位5項目の利用についてそれほど差がない。一方、60代以上では「衣料・ファッション」、「旅行・イベント」、「飲料・食品」の分野で割合が高くなっている。なお、いずれか1つでも購入経験のある人の割合は、前回(79.8%)を4.8ポイント上回り84.6%となった。すべての年代で利用率は上昇しているが、とくに60代以上の伸び率が高く、シニア層も積極的にインターネットを活用している様子がうかがえる。

メリハリのきいた買い物をする傾向
平成26年の家計を取り巻く環境は、4月の消費税率8%への引上げに伴い、直前の3月に駆け込み購入、4月以降はその反動による買い控えがみられるなど、消費支出の動きに大きな変動があった。また、円安が進んだことから、食料品などの輸入価格が上昇した上、電気料金なども値上げが相次ぎ、家計を直撃した。さらに、物価の上昇は実質所得の減少を引き起こし、消費マインドは停滞している状況にある。
こうした中、改善傾向が続いていた主婦の景況感もやや後退。今回の調査結果でも、家計支出を“引き締めたい”とする主婦が過半数を占めるなど、倹約意識が高まっていることが判明した。

一方、消費に対して前向きな姿勢もみられる。旅行・レジャーや趣味・娯楽などを充実させたいという意向は強く、“プレミアム”や“ちょっと贅ぜいたく沢”といったキーワードを使ったヒット商品も多数出た。節約志向を強めても、品質が伴う商品やサービスに対しては、それに見合った対価を支払い、贅沢を楽しむ傾向が見受けられた。つまり、今の主婦は、「買うときは多少値の張るものでも買うが、締めるところは締める」というメリハリのきいた賢い買い物をしているのである。今後も家計を預かる主婦のニーズを満たす商品やサービスが多く生まれることが期待される。

先行きを見通すと、平成27年10月に予定されていた消費税率10%への引上げについては、安倍内閣より先送りする考えが示され、景気の深刻な腰折れは、ひとまず回避されるとみられる。短期的には景気が上向いていくとみられるが、将来的な増税は家計に大きなインパクトを与えるだろう。今回のアンケートでも「消費税率10%への引上げについてどう思うか」と尋ねたところ、「困る」との回答が半数を超えた。と
はいえ、一方で日本の将来や財政状況を鑑みて、「困るが仕方ない」との意見も4割以上に上るなど、増税に対する認識も深まりつつあるといえる。いずれにしても、主婦の倹約意識は、継続することが予想されよう。今後、政府には、景気の回復を見極めながら、適切な対策を打つことが望まれる。

消費税率8%でさらに高まった主婦の節約志向 ~衣料品や外食を中心に~

■4月以降、約7割が家計を節約
平成26年4月より消費税率が8%へ引き上げられた。これにより節約を考えるようになったかを主婦に尋ねたところ、「節約している」(18.2%)、「やや節約している」(51.5%)と回答した主婦は合わせて7割近くに上る一方、「以前と変わらない」とする主婦は29.9%にとどまった。消費税率引上げによる家計への影響は大きく、主婦の節約志向は高まり、財布のひもが固くなっている様子がうかがえる。

■節約しているものは「衣料品」や「外食」など
4月以降、買い控えているものや行くのを控えるようになったところを尋ねたところ、「衣料品」(34.7%)や「外食」(32.5%)が上位に挙がった。また、嗜好性の高い「宝飾品・時計」(21.7%)や「家具・インテリア」(19. 7%)などの割合も高く、高額なものはなるべく買い控えている主婦が多い。一方、「特にない」(25.5%)との回答も4人に1人の割合を占め、40 ~ 50代を中心に消費税率が引き上げられても節約シフトをとらない主婦も少なくない。

■割高になったと感じるものは「ガソリン」「バター」「トイレットペーパー」
最近、円安などの影響もあり物価は上昇傾向にある。身近な商品や暮らしに関するもので、以前と比べて割高になったと感じるものを尋ねたところ、「ガソリン」との回答が最も多く挙がった。次いで、スーパーなどで品薄が続いている「バター」や小麦粉を使った「パン」が続き、「トイレットペーパー」や「ティッシュペーパー」などの紙類、乳製品の「チーズ」や「牛乳」も割高になっていると感じている主婦が多い。このほか、価格は変わらなくても量が減ったと感じるものもあり、「ウインナー・ハム」は薄くなった、「チョコレート」などの菓子類は中身が少なくなったという意見が上がった。

身近な商品や暮らしに関するもので、以前と比べて割高になったと感じるもの(自由回答、3つまで)
〔回答の多い順〕
ガソリン、バター、パン、トイレットペーパー、野菜、肉(豚肉・牛肉)、コーヒー、小麦粉、ティッシュペーパー、チーズ、卵、洗剤、牛乳、ウインナー・ハム、チョコレート、灯油 など

■消費税率10%に対する主婦の意見は半々
消費税率10%への引上げについてどう思うか尋ねたところ、「困る」が52.2%と半数を超えた。
一方、「困るが仕方ない」との回答も46.4%に上り、消費税率の再引上げに対する主婦の意見は半々に分かれている。
また、消費税率が10%になった場合、とくに節約したいと考えている費目については、「外食費」(41.5%)がトップとなり、「毎日の食費」(32.9%)、「衣料品購入費」(25.9%)が続いた。年代別にみると、20 ~ 40代では「外食費」や「毎日の食費」を主に節約したいと考えている主婦が多い一方、50 ~ 60代以上では、「衣料品購入費」の割合も高くなっており、年代によって節約したい費目は若干異なるようである。


【調査概要】
・調査対象:静岡県内サラリーマン世帯の家計を預かる主婦 1,363名
・調査方法:静岡銀行本支店の店頭および自宅で記入を依頼
・調査時点:平成26年11月
・回答者の内訳:
 〈年齢別〉20代( 4.5%)、30代(13.3%)、40代(41.3%)、50代(34.4%)、60代以上( 4.8%)、不明( 1.6%)
 〈世帯別収入〉300万円未満(12.8%)、300万円以上500万円未満(12.7%)、500万円以上700万円未満(24.3%)、700万円以上900万円未満(19.5%)、900万円以上(27.4%)、不明(3.2%)

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[静岡経済研究所]
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