太陽グラントソントンは、2014年8月20日~11月20日に実施した非上場企業を中心とする中堅企業経営者の意識調査の結果を公表した(従業員数100人~750人)。この調査は、グラントソントン加盟主要35カ国が実施する世界同時調査の一環である。

・日本の中堅企業における「経営幹部の女性比率」は8%で、35カ国中最下位。

・世界35カ国の「経営幹部の女性比率」の平均は22%で調査開始以来、長期的に停滞。

・女性の管理職昇進の障害として「家庭」が大きな要因と認識される。


世界35カ国の中堅企業経営者に、「自社の経営幹部の女性比率」について尋ねたところ、全調査対象国の平均は22%となり、 2013年及び2014年の調査結果(共に24%)から僅かに低下する結果となった。調査を開始した2004年(19%)に比べると増加はしているものの、11年間の全調査期間(全8回の調査)に渡って、経営幹部における女性比率の平均が、常に4分の1未満という結果となった。

日本の「経営幹部の女性比率」は8%
2004年の調査開始から8回連続で対象国中最下位


日本の中堅企業における「経営幹部の女性比率」は8%で2004年(9%)から微減、調査対象国中唯一の1桁の数字となった。また、調査を開始した2004年の女性比率も今回と同じ8%であり、さらに過去の全調査において日本は8回連続で最下位となっていることから、日本の中堅企業においては女性の経営参加の点でほとんど改善が進まず、世界から大きく遅れをとっていることが明らかになった。
逆に経営幹部に一人も女性がいない日本の中堅企業は66%に達し、全調査対象国の中で最も高い結果となった。

大企業の女性活用の法整備を進めるフランスとスペインでは、中堅企業の女性活用にも好影響

国、地域別に見ると 「経営幹部の女性比率」が今回最も高かったのはロシア(40%)で、グルジア(38%)、ポーランド(37%)が続いた。その他主要国では、中国が25%、英国が22%、米国が21%などとなった。
また、EUの平均は26%となり2004年の調査結果(17%)と比較すると、着実な改善傾向が見られた。特に大企業に対する女性活用の法整備(※2)が進んだフランスとスペインでは、本中堅企業への調査でも、それぞれ33%と26%へと顕著な改善が見られた(2014年調査ではフランス24%、スペイン22% )。
一方、ドイツは調査対象国中、日本に次いで女性比率の低い結果となった(14%)。ドイツは製造業が強いなど、先進国の中で日本と経済構造が類似していると言われており、今後ドイツがどのような施策を選択し、それが成果としてどのように現れるかが、日本にとっても参考になると考えられる。


クオータ制導入、日本の中堅企業は消極的

「上場企業において取締役会や常務会における女性の比率を割り当てるクオータ制が導入されるとしたら、どう思われますか」という質問に対しては、「賛成する」という回答が全調査対象国の平均で47%となり、全体として半数近い経営者が肯定的であることが分かった。
国別にみると、ボツワナが93%と最も支持率が高く、メキシコ(74%)、トルコとマレーシア(共に70%)が続いた。一方最も支持率が低かったのは、リトアニア(8%)で、これに日本(12%)、ラトビア(15%)、ロシア(16%)が続いた。
「経営幹部の女性比率」との相関を見ると、今回経営幹部の女性比率の高かったロシア(経営幹部の女性比率40%)やラトビア(同36%)、リトアニア(同33%)がクオータ制導入の支持が低いのに比べ、同女性比率の低かったボツワナ(同16%)が最も高い支持率を示し、同様に女性比率の低いブラジル(同15%)も61%がクオータ制を支持するなど、一部の国では現状の改善策としてクオータ制に期待している様子がうかがわれた。ただし、経営幹部の女性比率が最も低い日本は、クオータ制導入の支持率においても調査国中2番目に低いことが明らかになった。

女性の管理職昇進の障害として家庭が大きな要因に「男女の性差による偏見」は男女で認識にずれ

「貴社の組織において、女性の管理職への昇進で障害となっていることは、何だと思われますか」という質問に対しては、「子供の養育」と「その他家族への義務や責務」を合わせた回答が、全調査対象国の平均で44%に達し、家庭が女性の管理職への昇進に大きくか関わっていると考えられていることが分かった。
また12%が選択した「男女の性差による偏見」について男女別の内訳を見てみると、女性の19%が同意しているのに対し、男性は約半分の10%となっており、男女で偏見に対する認識に大きなずれがあることが明らかになった。


【調査概要】
・実施期間: 日本:2014年8月20日~11月20日、インターナショナル:2014年8月~11月
・参加国数: 35カ国
(アジア太平洋地域) 日本、オーストラリア、中国、インド、インドネシア、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、タイ
(EU加盟国) エストニア、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、オランダ、ポーランド、スペイン、スウェーデン、英国、フィンランド
(北中南米) 米国、カナダ、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ
(その他)トルコ、ロシア、グルジア、アルメニア、ボツワナ、南アフリカ、ナイジェリア
・調査対象: 5,404名の世界の中堅企業ビジネスリーダー、または経営トップ
・調査実施会社: 日本では株式会社日経リサーチが日本国内における調査を実施。35カ国同時調査の一貫性保持のため、国際的な調査会社であるExperian Business Strategies Limited が取りまとめを行った。
・調査方法: 日経リサーチ社所有の事業所データベースから、従業員数100~750人の全国の中堅・中小企業(上場および非上場)をランダムに2,000社抽出し、郵送によるアンケート調査を実施。355社の回答を得た。なお景況感の算出には355社の回答の中から、製造業(48社)、建設業(24社)、卸小売業(24社)、サービス業(54社)合計150社のデータを使用。
※調査エリア:全国(2011年3月11日の東日本大震災により発生した東京電力福島第一原発事故の立ち入り制限区域となっている福島県内一部市町村を除く)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
リンク先リサーチPDF
[太陽グラントソントン]
 マイページ TOP