第11回グローバル・イノベーション調査 

2015年10月28日
PwCの戦略コンサルティングを担うStrategy&は、2015年グローバル・イノベーション調査を実施した。この調査は、研究開発に多額の費用を投入した世界の上場企業のトップ1000社を「グローバル・イノベーション1000社」として特定し、研究開発が企業業績に及ぼす影響および企業業績について評価を行い、高い費用対効果を生むためには何が手がかりになっているのかを探るために毎年実施しているものである。

11年目となる2015年調査の結果、以下の動向が明らかになった。

・2015年調査におけるR&D支出額は6,800億米ドルと調査開始以来最高額で、前年比5.1%の増加は過去3年間で最大の増加率であった。

・日本企業は181社がトップ1000社にランクイン、そのR&D支出は合計1,093億米ドルで、米国に次いで第2位であったが、R&D支出額、ランクイン企業数ともに昨年比減少している。

・産業別では、上位3位は多い順に、コンピュータ・エレクトロニクス、ヘルスケア、自動車であった。R&D支出の対前年増加率はソフトウエア・インターネットが27%ともっとも高く、2015年には工業製品を抜いて4位になった。これはニューエコノミーであるソフトウエアと、オールドエコノミーである工業製品との逆転を示すもので、注目すべき節目である。ヘルスケアは6%増でこのまま推移すると2019年までにはコンピュータ・エレクトロニクスを超えるとみられる。

・地域別では、R&D支出を行った企業の本社所在地域が北米、欧州、アジアの順であったが、投下される額はアジアがトップであった。特にR&D輸入額の増加の影響が大きく、2007年比で中国が79%増で440億ドル、インドが116%増で280億ドルであった。

・R&D支出額のランキングは下記のとおりで、上位5社は昨年と同じである。2015年には上位20社中初めてアップルが18位にランクインした。日本企業ではトヨタが8位、ホンダが21位という結果であった。


2015年調査R&D支出額 トップ5企業

2015順位 社名 本社所在地域 業種 R&D支出 (10億ドル)  対売上高 R&D支出比率(%)
1 フォルクスワーゲン 欧州 自動車 15.3 5.7
2 サムスン アジア コンピュータ・エレクトロニクス 14.1 7.2
3 インテル  北米 コンピュータ・エレクトロニクス 11.5 20.6
4 マイクロソフト 北米 ソフトウエア・インターネット 11.4 13.1
5 ロシュ 欧州 ヘルスケア 10.8 20.8
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8 トヨタ自動車 アジア 自動車 9.2  3.7
21 本田技研工業 アジア 自動車 5.5 4.5


調査方法
2015年6月30日時点で過去1年間のR&D支出が多い世界の上場企業上位1000社を特定
(R&D支出額について公的なデータが存在する会社)し、各社について主要な財務指標を分析した(売上高、粗利益、営業利益、純利益、R&D支出額)。支出額の数字はすべて、その年の平均為替レートに従って米ドルに換算した。その後各社を、9の業種(あるいは「その他」)に、そして本社所在地によって5つの地域に分類した。

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