企業のリスクマネジメント調査(2015年版) 

2016年01月07日
有限責任監査法人トーマツでリスクマネジメント等の調査・研究を行うデロイト トーマツ 企業リスク研究所は、企業のリスクマネジメントに関する調査(2015年版)結果を公表。この調査は2015年5月から11月にトーマツが開催したセミナーの出席者(主に企業のリスク管理部門、コンプライアンス部門、内部監査部門の方)に対して実施し、237社から回答を得た。

【調査結果】

1. 優先すべきリスク
優先すべきリスクは、「海外拠点の運営に係るリスク」が前回から20%弱増の46%で全体トップとなった。4割を超えたのは当該設問を設けた2006年から初めて。2位となった「子会社ガバナンスに係るリスク」(44%)や「海外企業買収後の事業統合リスク」(19%)、「海外取引に係るリスク(現地との調整)」(18%)も、前回比で大きく増加した。これは、近年のM&Aを含めた海外進出の急拡大が背景にあるものと考える。結果として業種や規模を問わず、海外関連のリスクを認識する企業が急増するに至った。一方で、情報漏えいや、災害対策の不備といった、過去2年間上位であったリスクは順位を下げている。特に災害対策の不備のランク下降は著しく、東日本大震災の記憶の風化が懸念される。
「海外拠点の運営に係るリスク」は、従業員1,000名未満の企業での関心が高くなっている。新興国を中心に中堅企業の海外進出が拡大していること、さらに、中堅企業が管理面で課題を抱えていることを物語っている。一方、海外企業買収後の事業統合リスクについては、企業規模に関わらず前年に比べ関心が大幅に高まっており、昨今の海外企業等のM&Aの拡大傾向を反映していると言える。

2. リスクマネジメント体制
リスクマネジメント体制の構築は、本社においては90%以上の企業が、海外子会社であっても70%近い企業が適用しており、実務として定着していると言える。しかしながら、構築状況が適切であるという企業は全体の16%にとどまっている。その理由として、リスクの考え方の共有化や人材資源の不足といったリスクマネジメントの主体である人の問題を選ぶ企業が多いことが分かった。

3. リスクマネジメントの高度化に必要な事項
リスクマネジメントをより高度化させるために、自社に最も必要と考える事項について質問したところ、グループとしてのリスクの考え方の共有(41%)が最も多かった。考え方の共有や、それに繋がる役割の明確化、社員の研修など、リスクマネジメントを自社のグループ企業全体に根付かせ、浸透させるようとする施策への関心が高いことが分かる。また、一般的なプロセスや体制等への関心よりも、より実効性の高い方向に向かっていることが見て取れる。


【調査概要】
本調査は2002年から開始し、今回で14回目。今回の有効回答数は237社(前々回合計226社、前回合計239社)となった。

従業員数
5,000名以上 68社
1,000名以上~5,000名未満 74社
500名以上~1,000名未満 39社
500名未満 54社
無回答 2社
合計 237社

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[トーマツ]
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