第7回コア人材としての女性社員育成に関する調査 (人事担当責任者、または、ダイバーシティ推進責任者対象) 

2016年02月10日
日本生産性本部は、第7回「コア人材としての女性社員育成に関する調査」を実施した(2009年から毎年実施)。前回に続き、各地域の全国生産性機関の協力を得て、調査を実施した。なお、当本部では、2008年に「ワーキングウーマンパワーアップ会議」を発足し、働く女性の活躍を応援する活動を展開している。

【調査結果の主なポイント】

1.女性活躍推進法への対応について、「課題がある」とする企業は72.1%である。課題としては、「目標(定量的目標)の設定の仕方」(76.1%)、「取組内容の作り方」(69.3%)とする企業が多い。【今回の調査の新規項目】

2.女性社員の活躍推進を経営方針または経営計画などで、「明文化している」企業は23.0%であるが、「明文化していないが、検討課題となっている」(46.2%)を合わせれば、約7割となっている。また、女性活躍の「推進体制がある」企業は20.8%であるが、「準備、検討中である」(27.3%)と合わせると約半数になっている。

3.「課長ないし課長相当職以上」の女性が、3年前と比較して増加した企業は4割程度(40.3%)である。これら増加した企業に、課長等の女性が増えている部門を聞いたところ、「人事、総務部門」(44.7%)、「営業、マーケティング部門」(42.2%)が4割以上になっている。【今回の調査の新規項目】

4.女性社員の活躍を推進する上での課題は、「女性社員の意識」(81.6%)、「育児等家庭的負担に配慮が必要」(59.1%)と女性自身に関係するものが高い。一方、「管理職の理解、関心が薄い」(53.3%)、「男性社員の理解、関心が薄い」(46.8%)といった職場の風土の課題とする企業も約半数である。

5.女性社員の意識を高めるための取り組みとしては、「チャレンジャブルな仕事の機会を与えている」(45.0%)、「仕事の幅を広げるような異動や転勤等の機会を与えている」(42.9%)とする企業は4割以上であるが、「上司に対して、女性社員の育成に今まで以上力を注ぐよう指示している」(26.7%)とする企業はまだ少ない。


【調査結果】

1.女性活躍推進法への対応について、「課題がある」とする企業は 72.1%である。課題としては、「目標(定量的目標)の設定の仕方」(76.1%)、「取組内容の作り方」(69.3%)とする企業が多い。

○女性活躍推進法への対応において、「課題がある」とする企業は 72.1%である。その課題となっている内容は、「目標(定量的目標)の設定の仕方」(76.1%)、「取組内容の作り方」(69.3%)が多い。

○女性活躍推進の取り組みをしている企業のほとんどは効果があったとしている。具体的に、[採用・拡大]では、「非正社員から正社員への転換・登用」(60.3%)、「女性社員の中途採用(管理職以外)」(50.1%)、[職域拡大・育成]では、「女性社員への教育・研修参加機会の拡大」(47.9%)、「育成を念頭にいれた計画的な配置・転換」(44.6%)とする企業が多い。また、[管理職登用]では、「管理職候補者のリストアップ、積極的登用」(37.5%)や「管理職候補を対象とした意識喚起のための研修」(31.2%)が多く、[職場環境・風土改革]では、「ハラスメント対策のための研修実施」(49.7%)、「管理職の意識改革のための研修実施」(40.9%)、「両立支援のための福利厚生制度の充実」(40.9%)が4割を超えている。

○また、定量的目標については、「女性活躍推進のための行動プラン・行動目標の作成」を行っている企業は 17.9%、「女性社員の管理職登用に関する数値目標の設定」を行っている企業は 15.4%、「女子総合職の新卒採用に関する目標数値の設定」を行っている企業は 13.1%となっている。

2.女性社員の活躍推進を経営方針または経営計画などで、「明文化している」企業は23.0%であるが、「明文化していないが、検討課題となっている」(46.2%)を合わせれば、約7割となっている。また、女性活躍の「推進体制がある」企業は 20.8%であるが、「準備・検討中である」(27.3%)と合わせると約半数になっている。

○女性社員の活躍推進を経営方針または経営計画などで、「明文化している」企業は 23.0%であるが、「明文化していないが、検討課題となっている」(46.2%)を合わせれば、約7割が前向きに取り組んでいる。また、女性活躍の「推進体制がある」企業は 20.8%であるが、「準備・検討中である」(27.3%)と合わせると約半数になっている。

○女性社員が管理職以上のポストにつくことへの期待は、「役員クラスまで期待されている」(31.5%)、「部長クラスまで期待されている」(18.1%)、「課長クラスまでは期待されている」(26.9%)と、これらを合わせると、76.5%の企業で期待されている。

○女性の活躍が、「業績向上の要因の一つとなっている」とする企業は 16.2%、「業績向上へのつながりはみられないが、組織が活性化するなど変化がある」とする企業は 25.6%であり、合わせて約4割の企業で生産性向上面での効果が認識されている。

3.「課長ないし課長相当職以上」の女性が、3年前と比較して増加した企業は4割程度(40.3%)である。増加した企業に、課長等の女性が増えている部門を聞いたところ、「人事・総務部門」(44.7%)、「営業・マーケティング部門」(42.2%)が4割以上になっている。

○「課長ないし課長相当職以上」の女性の増減(3年前と比較)は、「かなり増加した」(4.9%)と「やや増加した」(35.4%)を合わせて、増加した企業(40.3%)は4割程度であった。なお、「あまり変わらない」とする企業が 56.6%と半数を超えた。

○増加した企業で、女性課長ないし課長相当職以上が増えている部門は、「人事・総務部門」(44.7%)、「営業・マーケティング部門」(42.2%)が多く、次いで、「研究・開発部門」(25.7%)、「企画・調査部門」(21.9%)となっている。

○女性活躍推進の取り組みで進展があるものは、「女性の勤続年数が長くなること」(73.2%)、「出産・育児明けに就業する女性社員が増えること」(71.1%)が高い。一方、「女性社員が従事する職域を増やすこと」(32.2%)、「部長以上の職位につく女性社員が増えること」(17.5%)が低い。なお、「女性社員が従事する職域を増やすこと」と回答した企業で、増えている部門は、「営業・マーケティング部門」(60.3%)、「人事・総務部門」(32.5%)、「企画・調査部門」(31.2%)、「製造部門」(25.4%)の順となっている。

4.女性社員の活躍を推進する上での課題は、「女性社員の意識」(81.6%)、「育児等家庭的負担に配慮が必要」(59.1%)と女性自身に関係するものが高くなっている。一方で、「管理職の理解・関心が薄い」(53.3%)、「男性社員の理解・関心が薄い」(46.8%)も5割近く、職場の風土の課題とする企業も半数である。

○女性社員の活躍を推進する上での課題としては、「女性社員の意識」(81.6%)をあげた企業が最も多く、「育児等家庭的負担に配慮が必要」(59.1%)が次いでいる。更に、「管理職の理解・関心が薄い」(53.3%)、「男性社員の理解・関心が薄い」(46.8%)、「経営者の理解・関心が薄い」(22.7%)と続いている。

○「女性社員の意識」が課題と回答した企業では、男性の上司の女性社員に対する見方は、「昇進や昇格することへの意欲が乏しい」(76.2%)、「難しい課題を出すと、敬遠されやすい」(64.1%)とする企業が多くなっている。一方、「仕事に対する責任感が乏しい」(31.9%)という見方は3割強である。

○経営者または管理職の理解・関心が薄いと思われる理由としては、「女性社員の育成の経験がない(または少ない)」(61.7%)とする企業が最も多い。次いで、「女性に戦力としての期待が乏しい」(52.9%)、「女性の数が少ない」(46.6%)、「女性が限られた職務に就いている」(45.5%)となっている。これらに対し、「今までの企業風土を変えたくない」は 19.0%と少ない。

5.女性社員の意識を高めるための取り組みとして、「チャレンジャブルな仕事の機会を与えている」(45.0%)、「仕事の幅を広げるような異動や転勤等の機会を与えている」(42.9%)とする企業は4割以上である。「上司に対して、女性社員の育成に今まで以上力を注ぐよう指示している」(26.7%)とする企業はまだ少ない。

○女性社員の意識を高めるために、「チャレンジャブルな仕事の機会を与えている」(45.0%)、「仕事の幅を広げるような異動や転勤等の機会を与えている」(42.9%)、「責任の重い仕事・リスクのある(逃げない)仕事を与えている」(34.4%)とする企業が多い。一方で、「上司に対して、女性社員の育成に今まで以上力を注ぐよう指示している」(26.7%)、「キャリアについてサポートしている」(27.3%)と回答した企業は3割未満であった。

○コア人材として成長していく上で、女性社員に高めてほしい能力は、「リーダーシップ力・指導力」(59.8%)、「目標を設定し実現する行動力・変革力」(50.8%)、「仕事を円滑に進めるためのコミュニケーション能力」(33.6%)の順で高くなっている。

○女性社員の行動の変化(3年前と比較)としては、「仕事のレベルが上がったり、仕事の範囲が広がった女性が増えた」(59.6%)とする企業が約6割と最も多い。

【役職における男女の比率】

○役職別の女性比率をみると、役員 3.1%、部長(相当職)2.2%、課長(相当職)6.3%となっている。また、3年以内に課長(相当職)になる可能性のある職位の人の割合は、14.6%である。

○規模別にみると、3,000 人以上の企業では、役員 3.6%(前年 2.5%)、部長(相当職)2.4%(前年2.1%)、課長(相当職)4.9%(前年 4.8%)と割合が高くなっている。


【調査概要】
・調査目的:コア人材として活躍できる女性社員の層の厚みを増していくことが企業の経営戦略として重要である。本調査は、コア人材としての女性社員育成への取り組み状況や効果的な施策を明らかにし女性社員育成への取り組みを一層推進していくために実施する。
 ※本調査では、コア人材を「課長(相当職)以上」と考えている。
 (相当職には、企業の組織系列の各部署において、専任職、スタッフ管理職等と呼ばれている役職 を含む)
・調査対象:上場・非上場企業 4,516社 (人事担当責任者、または、ダイバーシティ推進責任者)
・回収数 :587社 (13.0%)
・実施時期:2015年10~11月 (アンケート調査票郵送、郵送回収)

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[日本生産性本部]
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