2015年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査 

2016年03月03日
ジェトロでは2015年11月~2016年1月にかけて、ジェトロのサービス利用者(=海外ビジネスに関心の高い日本企業)を対象に実施したアンケート調査を実施、約3,000社から回答を得た。(有効回答数3,005社、うち中小企業は2,367社、有効回答率30.4%)。アンケートでは、貿易への取り組み、海外・国内の事業展開方針、中国ビジネス、FTAの活用、海外拠点の経営の現地化、外国人材の活用等について尋ねた。

【調査結果概要】

(1)輸出拡大意欲が過去5年で最大に
今後(3年程度)の輸出方針について、「輸出の拡大をさらに図る」企業が前年の66.2%から74.2%と過去5年間で最も高い比率に上昇、「新たに取り組みたい」(10.7%)企業とあわせると84.9%の企業が輸出拡大に積極的な姿勢を示した。輸出拡大の理由は「海外需要の増加」(73.8%)が最大であった。

(2)海外進出拡大意欲は高水準ながらも一服感、国内事業は拡大方針が2年連続で過半超え
今後(3年程度)の海外進出方針では、「拡大を図る」企業の割合が53.3%と過半を超えたものの、前年(56.7%)から低下した。今後(3年程度)の国内事業方針では、「拡大を図る」企業が52.0%と、前年(53.1%)に続き2年連続で過半数を超えた。国内事業を拡大する理由としては、「国内での需要の増加」(55.5%)が最多で、「国内市場の収益性が高い」(27.1%)が続いた。

(3)米国、ベトナム、西欧、インドなどで事業拡大意欲が増加
今後(3年程度)の海外事業拡大方針を有する企業のうち、拡大を図る国・地域については、中国(前年56.5%→53.7%)、タイ(同44.0%→41.7%)が1位、2位を占めたものの、前年からはそれぞれ減少した。一方、米国(同31.3%→33.7%、3位)、ベトナム(28.7%→32.4%、4位)、西欧(同18.1%→20.6%、7位)、インド(同16.1%→20.1%、8位)などで事業拡大方針を有する企業の比率が上昇した。アジア地域で拡大を図る国・地域としては、ASEAN6(73.2%)が中国(53.7%)を4年連続で上回った。ASEAN6の中では、タイとともにインドネシア(前年34.4%→31.8%、5位)、シンガポール(同19.3%→16.1%、10位)が減少する一方、ベトナムとともにマレーシア(同14.8%→15.5%、11位)、フィリピン(同10.8%→11.3%、14位)が増加している。

(4)対中国輸出伸び悩みの主因は内需減、消費財分野は堅調
中国向け輸出について伸び悩む理由を聞いたところ、「中国の国内需要減少」を指摘する企業が41.1%と最大であった。特に一般機械(53.4%)、鉄鋼/非鉄金属/金属製品(53.3%)、自動車/自動車部品/その他輸送機器(53.3%)などの業種で同比率が高い。一方、「中国向け輸出は減少していない」も27.2%に及び、医療品・化粧品(54.1%)、飲食料品(38.6%)など消費財分野で同回答が多い。

(5)TPPでは米越間など第三国間貿易での活用も検討
環太平洋パートナーシップ(TPP)協定参加国のうち、日本とのFTAが未発効の国(米国、カナダ、ニュージーランド)との貿易でTPPの利用検討状況を聞いたところ、日本からの輸出では米国(275社)、カナダ(101社)、ニュージーランド(58社)の順にTPPの利用を検討中との回答が多かった。また、日本を除く11カ国間の貿易でTPPの利用を検討する企業に対し、想定する輸出元・輸出先の組み合わせを聞いたところ、回答が得られた395件のうち、最多に挙げられた組み合わせが、ベトナムから米国向けの輸出(82件)であった。次いでマレーシアから米国向け輸出(26件)が多く、現在FTAが存在しないベトナム、マレーシアと米国間で利用を検討する企業が多い。

(6)約半数の企業が海外拠点の経営の現地化の必要性を認識
海外拠点の経営の現地化(権限の委譲や現地人材の登用等)については、海外拠点を有する企業の48.4%が「現地化を一段と進める必要がある」と回答した。現地化に向けた取り組みとしては、「即戦力となる現地人材の採用」(現地化を既に進めている企業の54.7%)、「現地採用社員の研修・育成の強化」(同51.1%)が上位を占めた。

(7)4割の企業が外国人社員を雇用
海外ビジネスの課題では、「海外ビジネスを担う人材」(52.8%)と回答した企業の割合が最も多く、過去(2013年度)の調査結果(41.2%)と比べ同割合は大きく上昇した。「外国人社員を雇用している」と回答した企業は44.4%であった。外国人社員を採用・雇用するメリットには、「販路の拡大」 を挙げる企業が外国人を雇用・採用を検討する企業の46.0%と前年(同40.9%)から増加した。一方、外国人社員の採用・雇用における課題としては、「組織ビジョンの共有が難しい」(回答企業総数の20.1%)、「日本人社員とのコミュニケーションに支障が多い」(同19.0%)を挙げる企業が多かった。

(8)大企業の7割がCSR方針を策定
CSR(企業の社会的責任)に関する方針を策定している企業は34.7%であった。今後策定を検討している企業(28.4%)も合わせると、その割合は63.1%に上る。大企業の73.4%はCSR方針を策定している。CSR方針に明示されている、もしくは策定を検討している事項としては、「適切な労働慣行・労働安全衛生の確保」(CSR方針を策定している、策定を検討している企業の71.9%)が最多で、「環境保全・保護への取組み」(同68.4%)、「地域社会への配慮・参画」(同62.0%)と続く。

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[ジェトロ]
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