2016年度 アジア・オセアニア進出日系企業実態調査
2016年12月21日
ジェトロは2016年10~11月(中国のみ9月)、北東アジア、東南アジア、南西アジア、オセアニアの計20カ国・地域に進出する日系企業に対し、現地での活動実態に関するアンケート調査を実施しました。
【調査結果のポイント】
【調査結果概要】
16年は42.9%の企業が「増益」、新興国の景況感が上昇
営業利益は、16年に続き17年も4割以上の企業が「改善」を見込んでいる。17年について「悪化」するとした企業は11.1%と、16年見込み(24.1%)から13ポイント低下した。
17年の景況感を示すDI値(営業利益が前年比で「改善」した企業の割合から「悪化」した企業の割合を引いた数値)は36ポイントとなり、16年見込みと比べ17.3ポイント上昇。改善の理由としては「現地市場での売上増加」が最も多く、「生産効率の改善」、「輸出拡大による売上増加」が続いた。国・地域別に見ると、ラオス以外は軒並み改善し、特にミャンマー、カンボジア、バングラデシュ、インド、ベトナムなどの新興国では、DI値が50ポイントを上回るなど景況感の改善が顕著であった。
中国、東南アジアで事業拡大意欲の低下に底打ちの兆し。南西アジアは低下続く
今後1~2年の事業展開の方向性についてみると、全体では「拡大」とする企業の割合は52.2%となり、15年(51.2%)から1.0ポイント上昇した。中国は、「拡大」が3年ぶりに上昇(2.0ポイント)し40.1%、「縮小」は3.5ポイント低下し5.3%となった。東南アジアも「拡大」が1.2ポイント上昇の55.4%となり、回復の兆しが感じられる。「拡大」の割合を東南アジアと中国で比較すると、12年に中国が急落し、以後東南アジアが中国を上回る状態が続き、16年にその差は15.3ポイントとなった。なお、事業拡大意欲が相対的に高いのは、ミャンマー(79.7%)、カンボジア(72.5%)、パキスタン(71.0%)、インド (70.7%)などである。
黒字企業が微増、赤字企業が微減
2016年の営業利益(見込み)を「黒字」とした企業の割合は62.8%で、15年調査(62.2%)から0.6ポイント上昇した。一方、「赤字」とした企業の割合は21.8%となり、15年調査(22.8%)から1.0ポイント低下した。国・地域別では、韓国(81.0%)、フィリピン(77.5%)で黒字企業の割合が高く、台湾、ニュージーランド、オーストラリアがこれに続く。他方、業歴が浅い企業の多いミャンマー(25.7%)、カンボジア(30.3%)、バングラデシュ(35.2%)などでは、黒字企業の割合は4割未満であった。
賃金上昇は最大の経営課題だが昇給率の高騰は概ね終息へ
経営上の問題点では、「従業員の賃金上昇」を挙げる企業が全体では最も多かった(65.3%)。国・地域別にみると、インドネシア(82.2%)が中国(77.8%)を抜いて首位となった。以下、ベトナム(75.5%)、ミャンマー(75.3%)が続いている。16年の昇給率(前年度比、全業種平均)はパキスタン、ミャンマー、インドネシア、インドの4カ国で、10%台を記録。中国では13年以降、昇給率が1桁台で推移しており、17年は5.7%に落ち着く見込み。昇給率は多くの国・地域で近年の実績を下回る見込み。
ベトナムで現地調達率の伸びが顕著、中国の現地調達率は7割に迫る
材料費が製造原価に占める割合は約6割となった。その低減に向け「現地調達率を引き上げる」方針を示した企業の割合は、全体の72.0%に上る。現地調達率を国・地域別にみると、中国が67.8%と最も高く(10年は58.3%)、特に輸送機械器具は72.3%に上った。経年変化をみると、中国、タイ、インド、ベトナム、フィリピンで現地調達率が2010年比で上昇し、特にベトナムの伸びが顕著であった。なお、東南アジア主要国では、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピンにおいて中国からの調達率が上昇するとともに、インドネシア、マレーシア以外は日本からの調達比率が低下した。
TPP協定が発効した場合の経営への影響について
環太平洋パートナーシップ(TPP)締結国でのTPP協定が発効した場合の経営への影響については、「ある」が22.9%、「ない」が22.0%とほぼ拮抗。半数以上が「分からない」とした。ベトナムとマレーシアでは「影響あり」の比率が高く、シンガポールおよびオセアニアでは「影響なし」の比率が高かった。全対象国・地域で、業種別に見ると、「影響あり」とするのは、「食料品」「繊維」「運輸業」で、「影響なし」とするのは、「精密機械器具」「輸送機械器具」「電気機械器具」「通信・ソフトウェア業」。影響の有無双方とも高かったのは「金融・保険業」だった。輸出、販売、生産面でのプラスの影響は、締結国で期待が大きく、マイナスの影響は中国、台湾、タイなどの非締結国・地域で指摘が多かった。
【調査概要】
調査方法:アンケート調査
実施時期:2016年10月11日~11月11日(※中国のみ9月1日~25日)
アンケート回答企業:北東アジア5カ国・地域、東南アジア9カ国、南西アジア4カ国、オセアニア2カ国の計20カ国・地域に進出する日系企業(有効回答は4,642社、有効回答率は42.3%)。
詳しいリサーチ内容はネタ元へ
【調査結果のポイント】
16年は42.9%の企業が「増益」(3.0ポイント上昇)、新興国の景況感が上昇。
中国、東南アジアで事業拡大意欲の低下に底打ちの兆し。南西アジアは低下続く。
黒字企業が微増、赤字企業が微減。
賃金上昇は最大の経営課題だが昇給率の高騰は概ね終息へ。
ベトナムで現地調達率の伸びが顕著、中国の現地調達率は7割に迫る。
TPP協定が発効した場合の経営への影響は、「ある」が22.9%、「ない」が22.0%とほぼ拮抗。
【調査結果概要】
16年は42.9%の企業が「増益」、新興国の景況感が上昇
営業利益は、16年に続き17年も4割以上の企業が「改善」を見込んでいる。17年について「悪化」するとした企業は11.1%と、16年見込み(24.1%)から13ポイント低下した。
17年の景況感を示すDI値(営業利益が前年比で「改善」した企業の割合から「悪化」した企業の割合を引いた数値)は36ポイントとなり、16年見込みと比べ17.3ポイント上昇。改善の理由としては「現地市場での売上増加」が最も多く、「生産効率の改善」、「輸出拡大による売上増加」が続いた。国・地域別に見ると、ラオス以外は軒並み改善し、特にミャンマー、カンボジア、バングラデシュ、インド、ベトナムなどの新興国では、DI値が50ポイントを上回るなど景況感の改善が顕著であった。
中国、東南アジアで事業拡大意欲の低下に底打ちの兆し。南西アジアは低下続く
今後1~2年の事業展開の方向性についてみると、全体では「拡大」とする企業の割合は52.2%となり、15年(51.2%)から1.0ポイント上昇した。中国は、「拡大」が3年ぶりに上昇(2.0ポイント)し40.1%、「縮小」は3.5ポイント低下し5.3%となった。東南アジアも「拡大」が1.2ポイント上昇の55.4%となり、回復の兆しが感じられる。「拡大」の割合を東南アジアと中国で比較すると、12年に中国が急落し、以後東南アジアが中国を上回る状態が続き、16年にその差は15.3ポイントとなった。なお、事業拡大意欲が相対的に高いのは、ミャンマー(79.7%)、カンボジア(72.5%)、パキスタン(71.0%)、インド (70.7%)などである。
黒字企業が微増、赤字企業が微減
2016年の営業利益(見込み)を「黒字」とした企業の割合は62.8%で、15年調査(62.2%)から0.6ポイント上昇した。一方、「赤字」とした企業の割合は21.8%となり、15年調査(22.8%)から1.0ポイント低下した。国・地域別では、韓国(81.0%)、フィリピン(77.5%)で黒字企業の割合が高く、台湾、ニュージーランド、オーストラリアがこれに続く。他方、業歴が浅い企業の多いミャンマー(25.7%)、カンボジア(30.3%)、バングラデシュ(35.2%)などでは、黒字企業の割合は4割未満であった。
賃金上昇は最大の経営課題だが昇給率の高騰は概ね終息へ
経営上の問題点では、「従業員の賃金上昇」を挙げる企業が全体では最も多かった(65.3%)。国・地域別にみると、インドネシア(82.2%)が中国(77.8%)を抜いて首位となった。以下、ベトナム(75.5%)、ミャンマー(75.3%)が続いている。16年の昇給率(前年度比、全業種平均)はパキスタン、ミャンマー、インドネシア、インドの4カ国で、10%台を記録。中国では13年以降、昇給率が1桁台で推移しており、17年は5.7%に落ち着く見込み。昇給率は多くの国・地域で近年の実績を下回る見込み。
ベトナムで現地調達率の伸びが顕著、中国の現地調達率は7割に迫る
材料費が製造原価に占める割合は約6割となった。その低減に向け「現地調達率を引き上げる」方針を示した企業の割合は、全体の72.0%に上る。現地調達率を国・地域別にみると、中国が67.8%と最も高く(10年は58.3%)、特に輸送機械器具は72.3%に上った。経年変化をみると、中国、タイ、インド、ベトナム、フィリピンで現地調達率が2010年比で上昇し、特にベトナムの伸びが顕著であった。なお、東南アジア主要国では、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピンにおいて中国からの調達率が上昇するとともに、インドネシア、マレーシア以外は日本からの調達比率が低下した。
TPP協定が発効した場合の経営への影響について
環太平洋パートナーシップ(TPP)締結国でのTPP協定が発効した場合の経営への影響については、「ある」が22.9%、「ない」が22.0%とほぼ拮抗。半数以上が「分からない」とした。ベトナムとマレーシアでは「影響あり」の比率が高く、シンガポールおよびオセアニアでは「影響なし」の比率が高かった。全対象国・地域で、業種別に見ると、「影響あり」とするのは、「食料品」「繊維」「運輸業」で、「影響なし」とするのは、「精密機械器具」「輸送機械器具」「電気機械器具」「通信・ソフトウェア業」。影響の有無双方とも高かったのは「金融・保険業」だった。輸出、販売、生産面でのプラスの影響は、締結国で期待が大きく、マイナスの影響は中国、台湾、タイなどの非締結国・地域で指摘が多かった。
【調査概要】
調査方法:アンケート調査
実施時期:2016年10月11日~11月11日(※中国のみ9月1日~25日)
アンケート回答企業:北東アジア5カ国・地域、東南アジア9カ国、南西アジア4カ国、オセアニア2カ国の計20カ国・地域に進出する日系企業(有効回答は4,642社、有効回答率は42.3%)。
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