「人材(人手)不足の現状等に関する調査」(企業調査)と「働き方のあり方等に関する調査」(労働者調査) 

2016年12月27日
労働政策研究・研修機構は、「人材(人手)不足の現状等に関する調査」(企業調査)結果及び「働き方のあり方等に関する調査」(労働者調査)結果を発表。

【研究の目的】
景気の緩やかな回復基調を背景に、人材(人手)不足が顕在化している。その実態を把握し、効果的な対策を探るとともに、人口減少下における経済の持続的な成長に向けた労働力確保のあり方等を展望するため、企業とそこで働く労働者を対象にアンケート調査を実施した。

【研究の方法】
企業及び労働者(正社員)に対するアンケート調査※
※30人以上規模の企業1.2万社(産業・規模別に層化無作為抽出)を対象に調査票を配付し、2,406社より有効票を回収。また、同企業を通じて正社員6万人分の調査票配付を依頼し、7,777人より有効票を(直接)回収。

【主な事実発見】

・人材(人手)不足を生じている企業(52.1%)に、人材(人手)不足が企業経営に及ぼしている影響について尋ねると、何らかの影響があるとする割合が約3分の2にのぼり、具体的には(複数回答)、「需要の増加に対応できない」や「技術・ノウハウの着実な伝承が困難になっている」「事業運営上に支障を来している」「募集賃金の上昇や既存人材の処遇改善、時間外労働の増大等で人件費が増加している」等が多く挙がった(図表1)。

・人材(人手)不足が職場に及ぼしている影響としては(複数回答)、「時間外労働の増加や休暇取得数の減少」が約7割にのぼった。次いで「従業員間の人間関係や職場の雰囲気の悪化」や「教育訓練や能力開発機会の減少」「従業員の労働意欲の低下」「離職の増加」等が挙がり、何らかの影響があるとする企業が9割を超えた(図表2)。

・人材(人手)不足を生じている企業に、これを緩和するための対策への取組状況を尋ねると、61.9%の企業が「取り組んでいる」と回答した。具体的には(複数回答)、「中途採用を強化する(採用チャネルの多様化、応募要件の緩和等含む)」や「採用対象の拡大を図る」のほか、「新卒採用を強化する(通年採用化、新卒定義の拡大、インターンシップの受入れ強化等含む)」「業務の効率化を進める(無駄な業務の削減、仕事の分担・進め方の見直し等)」「募集賃金を引き上げる」「定年の延長や再雇用等による雇用延長を進める」等が多く挙がった(図表3)。
こうしたなか、人材(人手)不足を緩和するための対策に既に「取り組んでいる」企業に、これまでのところどの程度、効果があったかを尋ねると、「大いに効果があった(人材不足がかなり緩和された)」が0.9%、「一定の効果があった(人材不足がやや緩和された)」が39.3%で、計約4割が「効果があった」とする一方、「(未だ)実感できるような効果はない(よく分からない含む)」とする企業も約6割(59.3%)にのぼった。

・一方、労働者調査で、自身の職場における人材(人手)の過不足感と業務量やストレス等の関係を調べると、人材(人手)の不足感をより強く感じている労働者ほど、1年前と比較して自身の業務量が「かなり増えた」あるいは「やや増えた」とする割合が高くなっている。また、自身の能力等に照らして、業務量が「かなり多い(多すぎる)」ないし「どちらかといえば多い」とする割合も高い(図表4)。
こうしたなか、職場の人材(人手)が「かなり不足している」とする労働者では、3人に1人以上がストレスを「強く感じて」おり、「やや感じている」と合わせて8割を超えている(なお、職場の人材(人手)が「過剰である」と感じている労働者でも同程度に、ストレスが高い点には留意する必要がある)。また、人材(人手)の不足感をより強く感じている労働者ほど、「役職や専門性に係わらず、もっと良い処遇・労働条件であれば転職したい」や「専門性を追求できるなら、現在の勤務先にはこだわらない」など、転職等を志向する割合が高く、職場の人材(人手)が「かなり不足している」と感じている労働者で約3割にのぼっている(図表5)。

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[労働政策研究・研修機構]
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