「プレミアムフライデー」に関する意識調査(20歳以上の男女対象) 

2017年02月12日
アサヒグループホールディングスの、アサヒグループホールディングス生活文化研究所は、2017年1月25日(水)~1月31日(火)にインターネットで、「プレミアムフライデー」に関する意識調査を実施し、3,250人の有効回答を得ました。その結果から、下記のような傾向があることが分かりました。

【調査結果サマリー】

・6割以上が「よく分からない」「知らない」-プレミアムフライデーの認知はまだ低い

・4割近くが「賛成派」-経済活動のほか「疲労回復」「家族団らん」に期待する声

・「仕事のしわ寄せが来る」「サービス業、非正規雇用は無関係」など、反対派の声も

・「外食」「飲み会」など、プレミアムフライデーの導入で「飲食」を中心に消費拡大

・「片づけ」「ゴロゴロ」「家族団らん」など、日ごろ出来ないことを実行する機会に

・女性は「掃除」「料理」など家事中心 男性は「お酒」「スポーツ」など趣味嗜好中心

・半数以上が「休暇が少ない」と回答-「有給が消化できない」「残業が多い」など

・「もっと働かなければ、グローバル社会で勝ち残れない」という否定的な声も


【調査結果】

6割以上が「よく分からない」「知らない」-プレミアムフライデーの認知はまだ低い

まず、「プレミアムフライデー」という言葉を知っている人はどの位いるのでしょうか。「(プレミアムフライデーの)内容を理解している」と回答した人は39.2%。その一方、「聞いたことはあるが、よく分からない」(35.6%)、「知らない(今回、初めて聞いた)」(25.2%)という声は6割以上を数え、今月24日からスタートする新しい取り組みながら、まだまだ認知・浸透がなされていないことが明らかとなりました。性別で「知らない(今回、初めて聞いた)」という声を見てみると、男性回答は23.6%。その一方で、女性回答は男性よりも4%以上も高い27.1%を占め、家計の財布を預かる主婦層も多い女性に対して、認知が進んでいないことがうかがえます。

年代別ではいかがでしょうか。「内容を理解している」という声は、若い20代で最も高い41.5%。その一方、「知らない(今回、初めて聞いた)」という声は、50代で27.1%と最も高く、さらに30代、60代、70代以上でも25%前後を推移し、若い層に比べて中高年層への事前の告知が十分でないことが判ります。消費活動に影響力の強い主婦やシニア層への浸透が、今後の「プレミアムフライデー」成功の鍵を握っていると言えるかもしれません。

4割近くが「賛成派」-経済活動のほか「疲労回復」「家族団らん」に期待する声

では皆さんは「プレミアムフライデー」に賛成なのでしょうか、それとも反対なのでしょうか。「土日と含めて旅行に行ったり、買い物や食事に行ったりして、経済効果が上がる気がする」(女性50代、東京都)など、「賛成」と回答した人は36.8%。消費活動の活性化のほか、「賛成派」の主な理由では「もう金曜日は疲れてへとへとになっているので、もし仕事が早く終わったら、早めに寝て体力を蓄えてリフレッシュもできる」(女性20代、千葉県)、「そろそろ働き方を変えないと日本人は疲れ切ってしまう」(女性30代、山口県)など、体の休息とともに心にもゆとりが生まれ、月曜日からの仕事の効率や質のアップに寄与するのではないかという声。さらに「主人はいつも遅いので、平日に早くお父さんが帰ってきて、一緒に食事ができると子ども達も喜ぶと思う」(女性40代、岡山県)、「72歳の猛烈社員だった小生には考えられませんが、いいことだと思う。もう少し家族と接する時間がほしかったと、今は思う」(男性70代、宮城県)など、家族で過ごす時間が増えて、家庭円満にも効果があるだろうと期待する人もいました。

「仕事のしわ寄せが来る」「サービス業、非正規雇用は無関係」など、反対派の声も

その反面、「反対」という声は15.2%を占めました。主な理由は「バブル時代を知る世代としては『24時間戦えますか!!』が当たりまえ。仕事せずにお金が回る?」(男性60代、島根県)、「ただでさえ忙しくなる月末の週末に時短なんて、どこかにしわ寄せが来て苦しくなるだけ」(男性50代、富山県)など、就業時間の短縮化で、かえって月曜日以降の仕事が増える、仕事の生産性が落ちるのではないかと懸念する声。「大企業と公務員だけでどうぞ、というもの…」(男性50代、山形県)、「年中無休のショッピングセンターで働いているため」(女性30代、滋賀県)など、中小企業やサービス業には無関係の取り組みで、根本的な働き方改革や経済効果アップには結びつかないだろうという声。さらに「時給で働いているので、その分の補償があるならいいが、そうでないなら反対。同一労働同一賃金といいながら、非正規の人のことを全く考えていない制度だと思う」(男性40代、神奈川県)など、派遣社員やアルバイトにとっては収入減につながる可能性もあるため、否定的な声も寄せられました。また、女性の中には「金曜日に夫が早く帰って来られても、主婦としては自分の時間が減りそうで迷惑」(女性40代、大阪府)など、家事労働が増えると不満をもらす主婦もいました。

「賛成派」「反対派」のほか、「どちらともいえない」(48.0%)も半数近くを占めました。自由回答の中には「消費喚起と言われても、経済的な余裕のない私には無縁」(女性40代、大阪府)、「消費の落ち込みは、余暇の少なさよりも金銭的に余裕がないことが大きな要因であると思うから」(男性30代、福島県)など、消費喚起の前にそもそも先立つものがないので、プレミアムフライデーが導入されても「自分には関係ない」と考える人も目立ちました。

「外食」「飲み会」など、プレミアムフライデーの導入で「飲食」を中心に消費拡大

プレミアムフライデー導入に対しては、賛否様々な意見が寄せられました。実際に退社時間が早まるか否かは各企業に任せられており、一部の大企業や公務員だけの取り組みに終わるのではないか、と懐疑的な声も少なくありませんでした。では、「月末の金曜日15時で仕事を切り上げられたとしたら」と仮定した場合、皆さんは拡大した週末を利用して、一体何をするのでしょうか。最も回答が多かったのは「外食する(家族、恋人などと)」(31.8%)でした。「月に1度の外食ディナーの日と決めれば、楽しみが増えそう」(女性40代、茨城県)など、夕方から家族や友人と外食しながらゆっくり過ごすという声。さらに「夕方からの一杯を楽しみに飲み会が増える」(女性40代、東京都)など、9位に「職場の同僚や友人と飲み会」(19.1%)、10位にも「街散策・食べ歩き」(16.8%)が挙げられ、プレミアムフライデーの導入に伴い、「飲食」を中心とした消費の拡大が見込まれそうです。その一方で、レストランや居酒屋などの飲食店側もプレミアムフライデーの需用を見込み、「ハッピーアワー」のようなお得な早割キャンペーンが増えてくるかもしれません。

月末の金曜日は15時で仕事を切り上げたら何をする?
1 外食する(家族、恋人などと) 31.8%
2 家族団らん・子どもと遊ぶ 28.2%
3 家の片づけ・掃除・洗濯する 27.5%
4 泊りがけで旅行に出かける 24.6%
5 ゆっくりとショッピングを楽しむ 22.7%
6 とにかく寝る(睡眠)・ゴロゴロする 22.5%
7 TV・ビデオ(DVD)を鑑賞する 22.3%
8 映画を観に行く 20.6%
9 職場の同僚や友人と飲み会 19.1%
10 街散策・食べ歩き 16.8%
MA(複数回答)/n=3037人

トップと同じく「外出・レジャー」では、4位に「泊りがけで旅行に出かける」(24.6%)。「金曜日に早く帰宅し旅行の準備を整え、夜行バスに乗って安い費用で遠くに旅行したい。土曜日はフルに楽しみ、日曜日の昼には帰宅し、月曜日から体調万全で出社する」(女性40代、岐阜県)など、金曜日出発で、旅行計画に余裕が生まれるという声。中には「2泊3日であればアジア旅行くらい出来るそう」(女性50代、愛知県)など、海外旅行も夢ではないという人もいました。さらに「ショッピングモールで買い物と映画を楽しみたい。今でも映画チケットの半券で食事が割引になりますが、早い時間に利用すればもっと安く映画を観ることができたり、時間限定のメニューがあれば利用したい」(女性40代、東京都)など、5位に「ゆっくりとショッピングを楽しむ」(22.7%)、8位にも「映画を観に行く」(20.6%)が挙げられ、ショッピングモールなどでの複合的な割引サービスや、キャンペーンの実施に期待を寄せる人もいました。昨年は「映画の当たり年」で大ヒット作品が目立ちましたが、プレミアムフライデーの導入に伴い、映画館で映画を観る頻度も高まるかもしれません。

「片づけ」「ゴロゴロ」「家族団らん」など、日ごろ出来ないことを実行する機会に

「外出・レジャー」が目立った一方、3位は「家の片づけ・掃除・洗濯する」(27.5%)がランクイン。「溜まった家事を行う。普段は掃除できないところを徹底的にやる」(男性50代、茨城県)など、日ごろは忙しくて、なかなか手の回らない掃除や片付けを行うという声。中には「金曜日に掃除をして、土日は有意義な休日を過ごす」(女性30代)など、金曜日に家事を終わらせ、土日は何もせずにのんびり過ごしたいという人もいました。さらに「通勤時間が長く睡眠不足なので、ここで解消したいと思う」(男性40代、神奈川県)など、6位にも「とにかく寝る(睡眠)・ゴロゴロする」(22.5%)、7位に「TV・ビデオ(DVD)を鑑賞する」(22.3%)が続き、外出を避けて、疲労回復や十分な休養に充てるという人も目立ちました。

そのほか、見逃せないのは2位「家族団らん・子どもと遊ぶ」(28.2%)。「子どもとアウトドアしたい。普段一緒の時間が少ないので楽しい思い出を増やしたい」(男性40代、長野県)、「子どもと一緒に過ごす時間を増やす。普段、保育園に預けているので、平日は一緒にいる時間が数時間しかなくて、もっと一緒に成長を感じたい」(女性30代、東京都)など、子どもとじっくり向き合い、一緒に遊ぶ時間をつくりたいという声。日ごろはなかなか相手をしてやれない罪悪感を持つ親も多く、かわいい盛りに家族の思い出をいっぱい作ってあげたいという親心がうかがえます。プレミアムフライデーは「消費喚起」が第一目的ですが、「家族団らん」をつくる絶好の機会にもなっていることが判ります。

女性は「掃除」「料理」など家事中心 男性は「お酒」「スポーツ」など趣味嗜好中心

性別で見てみると、女性回答で多かったのは「家の片づけ・掃除・洗濯する」(男性=22.0%、女性=33.5%)、「いつもよりも時間・手間の掛かる料理をする」(男性=5.5%、女性=17.4%)が挙げられました。「(いつもは)手抜き料理が多かったので、凝った料理を作りたい。とにかく、できていない家事を片付ける」(女性40代、佐賀県)など、日ごろは「時短」「手抜き」で済ませている家事をゆっくり丁寧に仕上げたいという声が意外に目立ち、折角の休日拡大とはいえ、家事を中心に考えている世の女性たちがとても多いことがうかがえます。さらに「ゆっくりとショッピングを楽しむ」(男性=16.1%、女性=29.8%)など、時間を忘れて、ゆっくりと自分の洋服を選びたいと願う女性も少なくありませんでした。

その一方、男性回答に多かったのは「職場の同僚や友人と飲み会」(男性=20.0%、女性=18.2%)。さらに「ナイターのスポーツ観戦を開始から参加できる」(男性70代、神奈川県)など、「スポーツ観戦する」(男性=12.2%、女性=6.8%)、「スポーツをする(フットサル、草野球、ジョギング、ジムで筋トレなど)」(男性=10.5%、女性=6.3%)という回答が続き、男性は「お酒」「スポーツ」を支持する人が目立ちました。女性はゆっくりと身の回りの充実を図りたい、男性はアクティブに過ごしたいと考えており、余暇に求める内容が男女間で異なっていることがうかがえます。

半数以上が「休暇が少ない」と回答-「有給が消化できない」「残業が多い」など

「月末金曜日の早い帰社」を呼び掛ける、プレミアムフライデーの導入が進んでいますが、皆さんは現状の日本の休暇日数を多い方だと感じているのでしょうか。それとも、まだまだ少ない方だと感じているのでしょうか。「旅行が好きなので長期休暇が欲しい。ヨーロッパ諸国のように2週間くらいのバカンスを自分の好きな時に取れるような文化ができれば良いなあと思う」(男性40代、東京都)など、「まだまだ休暇が少ないと思う」と回答した人は52.9%。その反面、「とても休暇が多いと思う」という声は12.0%に留まり、「休暇が少ない」と感じている人が圧倒的でした。また、多くも少なくもなく「ちょうど良いと思う」という声も35.1%を占めました。

「休暇が少ない派」の主な理由は「有給休暇を取得したいが(企業風土として)取りにくいので、休日等を増やして、強制的に休めるようにしてほしい」(男性40代、島根県)など、フルタイムで半年以上働けば、10日間の有給休暇が認められていますが、自分の仕事の代わりがいないなど、実際には有給休暇が消化出来ないという声。「毎日毎日、残業しなければ成り立たない仕事は、人員が不足しているからで、働かされすぎだと思う」(女性50代、千葉県)など、週休2日とはいえ、平日は毎日残業という会社も少なくなく、休暇日数と共に労働環境の改善が必要ではないかという声も寄せられました。また、自由回答の中には「連休は嬉しいけれど、道路・観光地等人が集中して混雑するので自由に休みがとれるのがいい」(男性60代、静岡県)など、盆・暮れ・正月、国民の祝日の一斉休暇はどこに行っても混雑するため、自由に好きなタイミングで休暇が取れる仕組みを求める人もいました。

「もっと働かなければ、グローバル社会で勝ち残れない」という否定的な声も

一方、「休暇が多い派」の主な理由は「これ以上祝日が増えると、副業をして収入アップをはからないと大変」(女性40代、大阪府)、「日本経済が没落したのに休暇を増やしてどうするのでしょうね、ほんとに」(男性30代、神奈川県)など、日本経済や家計を考えたら、もっと働く必要があるという声。「(休んでばかりいたら)日本の技術力や品質、学力などで、諸外国に劣って行ってしまう。残業や多少の無理も必要だと思う」(男性40代、広島県)など、高度成長期の日本ように多少の無理をしなければ、グローバル社会で勝ち残れないという声。さらに「アメリカの友人と話していて、日本の祝祭日の日数は多いことが分かりました。年間の就業日数はアメリカより少ない=就業時間も少ないので、(日本の)残業時間が長いのは仕方ないように思えたので」(女性40代、熊本県)など、外国と比べても、決して日本の祝祭日数は少なくないという意見も寄せられました。

年代別で「まだまだ休暇が少ないと思う」という声を見てみると、20代で61.5%、30代で58.3%と高い数値を示しましたが、50代で50.5%、60代で46.3%と徐々に減少。さらに70代以上では36.2%まで急落し、代わってシニア層では「ちょうど良いと思う」(70代以上=42.6%)、「とても休暇が多いと思う」(70代以上=21.3%)という声が目立ちました。自由回答の中には「時代の流れにもよりましょうが、昭和の暖簾をくぐってきた労働者からみれば、恵まれていると思う」(男性70代、京都府)など、現役世代とリタイア世代では、休暇に対する捉え方に隔たりがありました。


【調査概要】
調査対象:全国の20歳以上の男女
有効回答数:3,250人
調査方法:インターネット調査
調査期間:2017年1月25日~1月31日

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[アサヒグループホールディングス]
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