「節約意識」に関する調査(20歳以上の男女対象) 

2017年02月20日
アサヒグループホールディングスの、アサヒグループホールディングス生活文化研究所は、全国の20歳以上の男女を対象に「節約意識」をテーマに調査を実施。

【調査結果サマリー】

・9割以上が「節約意識を持つ」と回答-消費税10%延期でも節約意識は下がらず!?

・「老後不安」が消費マインドを低下させる一番の要因-年代と共に不安が増大

・長引く不況で「ミニマムな暮らしや生き方が身に付いた」という声も

・節約生活の基本は「電気」「水道」「ガス」の3つのライフラインの省水・省エネ

・家計負担の高い「食費」「通信費」も節約ターゲット-特に通信費の見直しが急増

・4割近くが「景気が悪くなる」と予測-トランプ米大統領の就任で貿易摩擦が再燃へ


【調査結果】

9割以上が「節約意識を持つ」と回答-消費税10%延期でも節約意識は下がらず!?

さて日ごろ、「節約」を意識して生活している人はどの位いるのでしょうか。「2人目を妊娠したのをきっかけに退職し、旦那の給料だけで生計を立てているから」、(女性20代、熊本県)など、「強く意識している」と回答した人は34.1%。さらに「まあまあ意識している」という声も59.0%を数え、全体の9割以上の人びとが「節約意識」を持ちながら、日々の生活を送っていることが明らかとなりました。自由回答の中には「貯蓄があれば、いざという時に安心なので、日頃から貯金を意識している」(女性40代、埼玉県)など、先行きの見えない日本社会を不安視し、なるべく無駄な出費は避けたいという声も少なくありませんでした。

過去同時期に実施した同調査によれば、「強く意識している」(2013年=28.7%、2014年=32.7%、2015年=35.6%、2016年=35.0%、2017年=34.1%)という声は、2015年から35%前後を推移し、4、5年前よりも一層高まる傾向が見られます。消費税10%の引き上げは2019年まで延期、さらに株価が上昇傾向にあるなど、景気回復への好材料が並んでいる状況とも言えますが、国民の不安が拭い切れていないことがうかがえます。

また、性別で「強く意識している」という声を見てみると、男性回答では31.5%。その一方、女性は男性よりも4%以上高い36.3%を数え、家庭の財布を握る主婦層も多いせいか、節約に対する意識の高さがうかがえます。次に年代別ではいかがでしょう。「強く意識している」という声は20代で47.0%と最も高く、30代で35.8%、40代で32.2%と徐々に減少。さらに60代は27.2%まで落ち込み、全体的に節約意識が高いとはいえ、年代と共にその強度は軽減されていることがうかがえます。自由回答の中には「子どもが産まれてから学資保険に入ったり、成長する過程でその都度いろいろなお金が掛かる。身体のサイズもすぐ変わるので、服などもしょっちゅう買い換えている。コツコツ節約しないと将来が不安になる」(女性20代、大阪府)など、若い年代では子どもにお金が掛かるという声が目立ちました。

「老後不安」が消費マインドを低下させる一番の要因-年代と共に不安が増大

全体の9割以上の人びとが「節約意識を持つ」という回答でしたが、次にその理由を具体的に見ていきましょう。最も回答が多かったのは「老後の生活不安のため」(36.3%)でした。「年金制度も将来どうなるか全く不透明なので、老後に備えて節約を強く意識している」(男性60代、大阪府)、「年金受給年齢がどんどん先延ばされて、もらえないことになりそうで不安しかありません」(女性50代、北海道)など、現行の年金制度に対する不信感と不安感が募り、老後の暮らしに備えるべく節約意識を持たざるを得ないという声が目立ちました。世代別で「老後の生活不安のため」(20代=22.0%、30代=30.2%、40代=40.5%、50代=49.2%、60代=65.0%、70代以上=46.3%)という声を見てみると、40代を境に一気に老後生活に対する不安が急増し、定年退職を控える60代でピークを迎えていることがうかがえます。消費活性化を妨げる大きな要因は、「老後不安」が一番と言えそうです。

なぜ「節約」を意識する?
1 老後の生活不安のため    36.3%
2 長引く経済不況のため    27.5%
3 子どもの教育費のため    26.7%
4 給与が減少したため    20.7%
5 「節約する」ことが趣味のため    19.2%
6 無駄を排除した「シンプルな生活」を目指しているため    17.6%
7 住宅購入または住宅ローンの支払いのため    14.8%
7 年末年始に出費が嵩んだため    14.8%
9 近い将来の消費税アップに備えて    13.9%
10 日本の政治が不安なため    13.0%
MA(複数回答)/n=1456人(節約を意識している人)

次に2位は「長引く経済不況のため」(27.5%)。「政治家は景気が上向きと言っているけど、国民の大半は貧困に陥っている」(男性60代、長崎県)など、日経平均株価が2万円に迫り、景気や企業業績の期待感が高まっている一方で、日々の暮らしは何も変わっていない、むしろ悪くなっているという声。さらに「私の会社が倒産危機のため、給与減」(男性40代、山梨県)など、4位にも「給与が減少したため」(20.7%)が挙げられました。消費拡大には賃金上昇が必須ですが、日本経済の不透明さから売上を内部留保する企業も多く、なかなか給与アップに結び付いていない現況がうかがえます。また、景気対策の一環として政府は消費税10%の引き上げ延期を発表したにも関わらず、9位には「近い将来の消費税アップに備えて」(13.9%)がランクイン。政府の思惑とは裏腹に、一般庶民の財布の紐は固く結ばれたままであることが判ります。こうした背景には消費税アップの延期に伴い、年金や医療・介護など、社会保障に充てられるはずの予算確保も難しくなり、「老後生活」に対する不安感が依然解消されていないことが挙げられます。「景気対策」と「社会保障」がうまく噛み合っていない現状をうかがえます。

長引く不況で「ミニマムな暮らしや生き方が身に付いた」という声も

また見逃せないのが、5位の「節約することが趣味のため」(19.2%)。「環境に良いし、小銭も貯まるので、節約は楽しい」(女性40代、大阪府)など、長引く不況の間に節約が自然に身に付き、いつしか趣味や楽しみに変化したという前向きな声。さらに「自然体であえて無駄なお金は使わない主義」(男性50代、静岡県)など、6位にも「無駄を排除した『シンプルな生活』を目指しているため」(17.6%)が挙げられ、なるべくモノを持たずにミニマムな暮らしや生き方を信条とする人も目立ちました。そのほか、「子どもが小さいのでまだ働く事が出来ないのですが、住宅ローンや税金、子どもの教育資金など、お金がかかる事ばかり…」(女性30代、福岡県)など、3位に「子どもの教育費のため」(26.7%)、7位に「住宅購入または住宅ローンの支払いのため」(14.8%)が続き、「老後の資金」に加えて、「教育費」「住宅ローン」は家計に大きくのし掛かる三大負担と言えそうです。

節約生活の基本は「電気」「水道」「ガス」の3つのライフラインの省水・省エネ

ここまで節約意識や、その理由を聞いてきましたが、では皆さんは具体的にどのような節約を実践しているのでしょうか。堂々のトップは「節電している」(66.8%)でした。「待機電力はカット、出来るだけ暖房冷房を使わず過ごしている」(女性30代、大阪府)など、日常生活の中で、小まめに節電対策を行っているという声。さらに「省エネ家電に買い替えた」(女性40代、愛知県)、「ソーラー発電を取り入れている」(男性60代、埼玉県)など、最新家電への買い換えや太陽エネルギーの上手な利用で、根本的に使用電力の削減を図っているという人もいました。節電対策は家計費をスリム化させるばかりではなく、地球温暖化の原因とされるCO2排出量の削減にも貢献し、エコノミー&エコロジーな暮らしを実現してくれます。

現在、「節約」していることは?
1 節電している    66.8%
2 食費を抑えている(なるべく安いものを探す)    56.3%
3 ファッション・衣類を買い控えている    55.2%
4 外食費・飲み代を抑えている    50.1%
5 節水している    48.1%
6 美容室・散髪の頻度を抑えている    32.9%
7 旅行・レジャーを控えている    31.2%
8 家電を買い控えている    29.0%
9 電話(ケータイ、スマホなど)・インターネットなど通信費を抑えている    27.8%
10 節ガスしている    26.7%
MA(複数回答)/n=1562人(節約を意識している人)

「電気」と同じくライフラインの節約で目立ったのは、5位「節水している」(48.1%)。「お風呂の残り湯を洗濯や掃除に回す」(女性30代、群馬県)、「前日のお風呂のお湯をバケツに入れて、トイレに流すことに使っている」(女性40代、兵庫県)など、お風呂の浴槽には、約200リットル前後のお水が使われていますが、その残り湯を洗濯や掃除、トイレ、お庭の水遣りなどに再利用するという声。さらに「ガス代節約のため、圧力鍋を使っている」(女性40代、大阪府)など、10位にも「節ガスしている」(26.7%)が挙げられ、「電気>水道>ガス」の順番で節約が行われていることがうかがえます。生活に欠かせないインフラである一方、まだまだ無駄が省ける余地があるとも言えそうです。

家計負担の高い「食費」「通信費」も節約ターゲット-特に通信費の見直しが急増

ライフライン以外では、2位「食費を抑えている(なるべく安いものを探す)」(56.3%)。「スーパーは3軒ハシゴして、1番安いもの、大きめサイズのものを買う。週一回買い物に行って冷凍しておき、その中でやりくりする」(女性30代、神奈川県)など、1円での安い食材を買い求めているという声。さらに「外食すると1回1万円ほどかかってしまう。自炊するとかなり安く済むので、外食は誕生日などのお祝い事以外はしません」(女性30代、神奈川県)など、4位にも「外食費・飲み代を抑えている」(50.1%)が挙げられ、ライフラインと同じく「食事」も必要不可欠なものですが、食費を削りながら、3度の食事をやり繰りしている人がとても多いようです。また一方で、自由回答の中には「時々の外食や飲み代などは、せめてもの息抜きとして節約しない」(女性50代、東京都)など、日ごろの「節約疲れ」を解消するべく、気晴らしの外食は削らないという人もいました。

過去3年間の同調査を見てみると、「節電している」(2015年=75.7%、2016年=75.3%、2017年=66.8%)、「節ガスしている」(2015年=34.4%、2016年=31.7%、2017年=26.7%)のライフラインは大幅に減少。その一方、「ファッション・衣類を買い控えている」(2015年=47.7%、2016年=45.0%、2017年=55.2%)、「家電を買い控えている」(2015年=24.8%、2016年=23.0%。2017年=29.0%)という声は急増し、衣類や家電などの買い控えがうかがえます。また節約対策の中でも、特に目立ったのは「電話(ケータイ、スマホなど)・インターネットなど通信費を抑えている」(2015年=16.8%、2016年=16.8%、2017年=27.8%)でした。「スマホを格安スマホに変更し、月々の使用料を半減させました」(男性30代、神奈川県)など、大手キャリアのほか、格安SIMや格安スマホを扱う会社が増えたことに伴い、自分に合うプランに乗り換えて、通信費削減に成功したという人も少なくありませんでした。昨今では家計に占める通信費(インターネット、スマホなど)の割合がとても高く、特に家族の多いご家庭では大きな負担となっています。公共料金や食費とともに、「節約ターゲット」の第一優先として「通信費」に重きを置く傾向がうかがえます。

4割近くが「景気が悪くなる」と予測-トランプ米大統領の就任で貿易摩擦が再燃へ

トランプ米大統領の就任に伴い、為替や株価にも影響を与えていますが、今後の日本の景気に影響を与えるのでしょうか。皆さんのご意見を具体的に見ていきましょう。「日本製品に高額な関税が掛けられたり、日本に不利な政策が執られそうな気がする」(女性50代、兵庫県)など、「景気がますます悪くなると思う」と回答した人は最も高く38.7%を占めました。主な理由は「白人至上主義は結構だが、諸外国を目の敵にしていてはアメリカ自体おかしくなると思う。トランプ政権をちゃんと牽制できないと日本の景気は上がると思えない」(女性40代、大阪府)、「大統領の顔色を伺うことで経済が縮こまりそうな気がする」(男性40代、岐阜県)など、トランプ大統領の暴言に振り回されるという声。「やると言ったことを強行するタイプなので、貿易摩擦が再来しそう」(男性30代、京都府)、「保護貿易は日本に円高をもたらすと思う」(男性60代、大阪府)など、TPP離脱を宣言し、日米2国間の貿易協定を迫られたとき、日本はどこまでアメリカと戦うことが出来るのか、かつての貿易摩擦の再燃を懸念する人も少なくありませんでした。

その反面、「景気が上向くと思う」と回答した人は僅か5.0%。主な理由は「良くも悪くもビジネスライクになるのではないかと思う。それに伴い、景気は上がるのではないかと期待している」(男性30代、大阪府)、「今の暴君は大統領になってすぐのパフォーマンスもあるんじゃないかな。やはり根は商人だと思うので」(女性40代、大阪府)など、トランプ大統領は政治家というよりも、ビジネスマンや投資家に近いため、アメリカの景気回復に合わせて日本も上向くという声も寄せられました。そのほか、「一人の大統領の思惑で、世界の経済が左右されるほど簡単ではない」(男性60代、埼玉県)など、「(良くも悪くも)今までと変わらないと思う」(27.4%)、「よく分からない」(28.9%)という声も半数を占めました。

世代別ではいかがでしょうか。「景気がますます悪くなると思う」という声は、20~40代では30%台でしたが、50代を境に一気に増加。さらに60、70代以上では50%前後まで達し、年代と共に景気の悪化を不安視する声が目立ちました。その一方、「景気が上向くと思う」(20代=6.8%)、「(良くも悪くも)今までと変わらないと思う」(30代=30.9%)という声は20、30代に目立ち、楽観的な見方をする若者層も少なくありませんでした。


【調査概要】
調査対象:全国の20歳以上の男女
有効回答数:1,996人
調査方法:インターネット調査
調査期間:2017年2月1日~2月7日

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[アサヒグループホールディングス]
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