中小企業の雇用・賃金に関する調査(中小企業事業対象) 

2017年02月28日
日本政策金融公庫は、中小企業の雇用・賃金に関する調査結果を発表。

【調査結果サマリー】

○雇用
・2016年12月において、正社員が「不足」と回答した企業割合は、全業種計で50.2%となり、前年同月(45.4%)から4.8ポイント上昇した。 「適正」は42.5%、「過剰」は7.3%となった。
・2016年に正社員数を前年から「増加」させた企業割合は28.5%、「減少」させた割合は19.9%となった。2015年実績と比べると、「増加」は2.4ポイント低下、「減少」は1.9ポイント上昇した。一方、「増加」した企業の54.0%、「減少」した企業の64.7%が正社員が「不足」と回答しており、必要な従業員を雇用できない企業が多く存在することがうかがえる。

○賃金
・2016年に正社員の給与水準を前年から「上昇」させた企業割合は、49.3%となった。2015年実績と比べると、「上昇」は1.1ポイント低下したものの、引き続き約半数の企業が正社員の給与水準を引き上げている。上昇の背景をみると、「自社の業績が改善」(43.9%)の割合が最も高く、次いで「採用が困難」(17.9%)となっている。2017年については、 44.4%の企業が「上昇」させると回答している。
・2016年の賞与(支給月数)を前年から「増加」させた企業割合は、31.0%となった。
・2016年12月の賃金総額が、前年比で「増加」と回答した企業割合は52.5%、「減少」は10.0%となっている。

【調査結果】

Ⅰ 雇用
Ⅰ-1 従業員の過不足感

○ 2016年12月における正社員の過不足感をみると、全業種計で、「不足」との回答割合が50.2%となった。「適正」とした回答は42.5%、「過剰」は7.3%となっている。「不足」の割合は、2015年実績と比べて4.8ポイント上昇した。
○ 業種別では、「建設業」(68.5%)、「情報通信業」(67.7%)「運送業(除水運)」(66.5%)などで、「不足」と回答した割合が高い。

○ 2016年12月における非正社員の過不足感をみると、全業種計で、「不足」との回答割合が35.1%となった。「適正」とした回答は59.7%、「過剰」は5.2%となっている。「不足」の割合は、2015年実績と比べて1.6ポイント上昇した。
○ 業種別では、「宿泊・飲食サービス業」(68.4%)、「小売業」(50.5%)「運送業(除水運)」(49.7%)などで、「不足」と回答した割合が高い。

Ⅰ-2 人手不足の影響と対応
○ 人手不足の影響についてみると、「売上機会を逸失」(34.1%)と回答した企業割合が最も高く、次いで「残業代、外注費等のコストが増加し、利益が減少」(29.6%)「納期の長期化、遅延の発生」(13.4%)となっている。
○ 人手不足への対応についてみると、「従業員の多能工化」(44.0%)が最も高く、次いで「残業を増加」(40.1%)、「業務の一部を外注化」(33.9%)となっている。

Ⅰ-3 従業員数の増減
○ 2016年の正社員数の増減をみると、「増加」と回答した企業は28.5%となり、2015年実績(30.9%)と比べて2.4ポイント低下した。
また、「減少」は19.9%となり、2015年実績(18.0%)と比べて1.9ポイント上昇した。
○ 正社員数の増減実績別の過不足感をみると、「増加」と回答した企業の54.0%、「減少」と回答した企業の64.7%が「不足」と回答しており、必要な従業員を雇用できない企業が多く存在することがうかがえる。

○ 2016年の非正社員数の増減をみると、「増加」と回答した企業は22.5%となり、2015年実績(20.3%)と比べて2.2ポイント上昇した。
また、「減少」と回答した企業は12.0%となり、2015年実績(12.9%)と比べて0.9ポイント低下した。
○ 非正社員数の増減実績別の過不足感をみると、「増加」と回答した企業の46.2%、「減少」と回答した企業の56.2%が「不足」と回答しており、非正社員についても十分に雇用できない企業が多く存在することがうかがえる。

○ 従業員数の増加理由をみると、正社員では、「将来の人手不足への備え」が49.7%と最も高い割合となったほか、「技能継承のため」が28.5%みられており、長期的な観点をもって、人材の確保・育成に取り組む様子がうかがえる。また、「受注・販売が増加」は35.7%、「受注・販売が増加見込み」は31.1%となっており、受注・販売の好転が寄与したという側面もみられる。
○ 減少理由をみると、正社員、非正社員ともに、「転職者の補充人員を募集したが採用できず」が最も高く、人材獲得競争が激しさを増すなか、やむなく従業員数を減らす企業が多いことがわかる。

Ⅱ 賃金
Ⅱ-1 正社員の給与水準

○ 2016年の正社員の給与水準をみると、前年と比べて「上昇」と回答した企業割合が、49.3%となった。「ほとんど変わらない」は49.8%、「低下」は0.9%となっている。
○ 2017年見通しをみると、「上昇」が44.4%となり、2016年実績よりも4.9ポイント低下している。
○ 4割弱の企業が2016年実績、2017年見通しともに「上昇」と回答している一方、2016年実績、2017年見通しを通して「ほとんど変わらない」とする回答も4割強みられる。

○ 正社員の給与水準上昇の背景についてみると、全業種計で、「自社の業績が改善」と回答した企業割合が43.9%と最も高く、次に「採用が困難」(17.9%)、「同業他社の賃金動向」(10.8%)が続いた。
○ 業種別にみると、「自社の業績が改善」と回答した企業割合は、「業務用機械」(80.0%)、「情報通信業」(61.3%)、「建設業」(54.2%)などで高い。「採用が困難」は、「宿泊・飲食サービス業」(32.9%)、「倉庫業」(27.3%)などで、「同業他社の賃金動向」は、「水運業」(34.8%)などで高くなっている。

Ⅱ-2 賞与
○ 2016年の賞与の支給月数をみると、前年と比べて「増加」と回答した企業割合が31.0%、「変わらない」が50.8%、「減少」が12.5%となっている。
○ 業種別にみると、前年と比べて「増加」と回答した企業割合は、「倉庫業」(45.5%)、「宿泊・飲食サービス業」(35.2%)などで高くなっている。

Ⅱ-3 賃金総額
○ 2016年12月の賃金総額をみると、前年と比べて「増加」したとの回答割合が52.5%と最も高く、「ほとんど変わらない」が37.5%、「減少」が10.0%となっている。2015年実績と比べて、「増加」の割合が低下し、「減少」の割合が上昇している。
○ 2017年の見通しをみると、48.8%の企業が「増加」すると回答している。「減少」は、4.5%となっている。


【調査概要】
調査時点:2016年12月中旬
調査対象:当公庫(中小企業事業)取引先 12,905社
有効回答数:5,144 社 [回答率 39.9 %]

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[日本政策金融公庫]
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